【巨人】前代未聞の先発取りやめ…山口俊、誕生日酔って暴行トラブルの疑い 利き手の右手負傷も
◆中日6―1巨人(18日・ナゴヤドーム)
巨人の山口俊投手(30)が18日、予告先発の予定だった中日戦(ナゴヤD)の登板を取りやめた。11日未明に都内の病院で扉を破壊し、さらに警備員を負傷させた暴行トラブルの疑いが発覚したため、チームは起用を自粛した。都内の飲食店で友人と過ごした際にガラスで右手甲を痛め、酒に酔った状態で病院に行ったという。球団側は試合出場を当面見合わせる方針。予告先発の投手がけがや病気以外で登板を取りやめるのは史上初。試合は投打に振るわず、連勝は4で止まった。
午後2時過ぎ。選手を乗せたバスがナゴヤDに到着した。そこに、先発予定だった山口俊の姿はなかった。ナインや裏方スタッフも「確かに見てないね」と首をかしげた。その後、日本野球機構(NPB)から先発投手の変更が発表された。すぐに球団広報が対応し、報道陣に対して事情説明を行った。
30歳の誕生日を迎えた11日未明、都内で知人との食事中にガラスで右手甲を負傷したという。酒に酔った状態で都内の病院へ移動。扉を破壊し、警備員を負傷させた疑いが持ち上がった。だが、この情報が球団側に入ったのはこの日の午前中とあって、「事実関係を確認中です」と対応に追われた。当面は右腕の起用を見送る方針も明かし、ナインには練習前のミーティングで報告された。山口俊はナゴヤDに姿を見せず、試合前に帰京した。
警視庁によると、巨人が明らかにした内容と同様のトラブルは11日未明に目黒区で発生。病院側と警備員からは器物損壊と傷害の疑いで被害届が出され、受理している。警備員は胸や腰の打撲といい、関連を調べている。
山口俊は前日(17日)の練習で普段通りに走り込み、キャッチボールも行っていた。チームは今季3度目の4連勝と上昇気配にある中で、この暴行トラブル疑惑が浮上した。勢いに水を差す形となり、試合前に由伸監督は「出ている情報以外、まだ何も分からないので」と困惑気味に話した。予告先発で発表された投手がけがや病気以外で取りやめたのは、史上初めて。チームメートも動揺を隠せなかった。
今季、DeNAからフリーエージェント(FA)で入団。右肩痛で出遅れ、6月14日のソフトバンク戦(東京D)で初先発した。自身1勝1敗で迎えた9日の阪神戦(甲子園)では、5回9安打6失点でKOされた。2戦連続で打ち込まれ、雪辱に燃えていた矢先だった。利き手の右手を負傷したことも含め、球団内部からは「意識が低い」と非難の声も出ている。
巨人にとっては15年に野球賭博関与が発覚し、球団を挙げて再発防止に努めている最中だった。今回の件については事実確認を慎重に行っている状況ではあるが、暗い話題でファンを落胆させたことは間違いない。今季は球団ワーストとなる13連敗を喫するなど、現在はリーグ4位に低迷中。首脳陣やナインが巻き返そうと必死に取り組む中で、不名誉な事態となってしまった。
NPB・井原敦事務局長「巨人からは、中日側に先発投手変更の了承を得たことも含めて連絡があった。詳細が分からないということなので、(NPBとしての対応は)球団の調査を待ってからになる」
◆山口 俊(やまぐち・しゅん)1987年7月11日、大分県生まれ。30歳。柳ケ浦から05年高校生ドラフト1巡目で横浜(現DeNA)に入団。06年には高卒新人として中日・近藤真一以来、19年ぶりに巨人戦でプロ初登板初先発初勝利。16年オフにFAで巨人に移籍。今季は4試合に先発し、1勝1敗。防御率6・43。187センチ、97キロ。右投右打。背番号42。今季年俸は8000万円。