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海兵隊員は非常に高い志を抱いて任務についていますが、それは休暇中であってもなんら変わりありません。 沖縄県浦添市にあるキャンプ・キンザーに勤務する仲のいい5人の海兵隊員が、アメリカ独立記念日の休暇を利用し、富士登山を楽しんでいました。 ティエレ伍長、エムス伍長、グッドマン伍長、マルティネス上等兵、ゲバラ・オスナ上等兵の5人は7月3日、富士山山頂を制覇し、楽しみながらゆっくりとした足取りで下山していました。 下山途中、先頭を歩いていたティエレ伍長は助けを呼ぶ登山者に遭遇し、上から降りて来るグッドマン伍長らに手を振り、呼びかけました。 グッドマン伍長らが急いでティエレ伍長のもとに駆け付けると、そこには日本人男性がひどく狼狽した様子で地面に横たわっている女性を介抱していました。 男性は父親の織田祥裕(よしひろ)さんで、地面に横たわっていたのは娘のモエさんでした。 彼女は高山病で過呼吸になり、高熱を出し震えが止まらない様子で、すぐに救急処置が必要な状況でした。 祥裕さんは隊員たちから携帯電話を借り受けると、救助を要請しましたが、山中であることから車が入れない場所だと聞かされました。 そこで隊員らはちゅうちょすることなく、持っていた金剛杖二本と着ていたTシャツを脱いで、即席の担架をこしらえました。 エムス伍長は「この行動は私たちにとって、しごく自然なことです。私たちは直ぐに、彼女を下山させなければいけないと判断しました。その状況の中で、私たちはとても落ち着いて行動していました」と当時を振り返り説明してくれました。 他の隊員らがモエさんを担架で運んで下山する間に、エムス伍長は、一刻も早い救急処置を要請するため、一人で急いで山を降りました。 隊員らは彼女を担いで約3キロの道のりを素早くかつ安全に下山し、20分足らずで無事7合目から6合目にある安全指導センターに到着しました。
数日後、グッドマン伍長は、現場にたまたま居合わせた新潟県の山田亘(わたる)さんからフェースブックを通じてメッセージを受け取りました。 山岳ドローン・ジャイロ代表を務めるCertified Drone Pilotの山田さんも、その助けに加わった登山者の一人でした。 山田さんは、モエさんが無事回復し、彼らの親切、勇気、そして友情に感謝していることを伝えました。 さらに山田さんは、「安全指導センターに待機していた救急班が、隊員たちが下山してきた速さにびっくりしていた」と教えてくれました。 ティエレ伍長は「彼女がその後、大丈夫だったのか、とても心配でした。無事だったというメッセージを受け取り、とても嬉しいです」と話しています。 織田さんは電話インタビューに答え、「彼らのすばやい判断と行動力に感謝しています。彼らの鍛え抜かれた肉体で、米軍関係者ではないかと思い、海兵隊に連絡を取りました」とそれまでの経緯を説明してくれました。 織田さんは、「本当に感謝しても、感謝しきれないくらい感謝している」と話してくれました。 ごく普通の5人の海兵隊員が、緊迫した状況の中で、ちょっとした勇気を示しましたが、これは普段の海兵隊での訓練や思いやり、そして隊員らの人間性から来るものです。 彼らと同僚のジャスティン・ジャドソン一等軍曹は、彼らが緊急事態に対応できたことは、驚くべきことではなく、海兵隊員としてしごく当然の行為だと話し、「むしろ、もし助けの手を差し伸べていなかったら、逆にとてもショックだったよ」と笑顔で話してくれました。 |
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