コンビニなどで販売されているプリペイドカード式の電子マネーを購入させて、金をだまし取るニセ電話詐欺が、県内で急増している。今年一月から六月末までの認知件数は四十四件で、昨年一年間の三十九件を半年で上回った。被害額は計千六百十万円で、昨年の二千五百八十四万円を下回っているが、少額を購入させる手口が増えており、県警が注意を呼び掛けている。
 県警によると、有料動画の利用料名目でだまし取られる手口が多いという。「有料動画サイトの未納料金がある」などとメールが届き、指定された電話番号にかけると「電子マネーで払え」と要求される。飛騨市の女性(59)は、六月にメールが携帯電話に届き、コンビニで電子マネーを購入し、約百七十万円をだまし取られた。
 電子マネーは識別番号さえ分かれば、誰でも使える。詐欺グループは購入者から番号を聞き出し、悪用しているとみられる。
 これまでのニセ電話詐欺は金融機関で振り込ませたり、受け子に直接現金を渡させたりする手口だった。しかし県内では、金融機関で高齢者が高額の引き落としをする際は、警察に通報する「全件通報」の取り組みが浸透。県警生活安全総務課の井奈波俊正警部補は「振り込ませる方法や、還付金詐欺などへ、高齢者の警戒心が高まっている」と話す。
 県警は、県内のコンビニ約千店に、高額の電子マネーを購入する人がいた場合、通報するように要請している。だが、百七十万円をだまし取られた飛騨市の女性は、五万円の電子マネーを約三十店で購入させられていた。井奈波警部補は「電子マネーを買わされるのは、全部詐欺。最寄りの警察に相談を」と呼び掛けている。
 (高橋貴仁)