豊田議員の怒りに共感を示す私はおかしいのか

「4つの住所録」と「20分の空白」は実在した

2017年7月14日(金)

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最近話題の豊田議員騒動、どう思いますか?(30代女性)

遙から

 ここのところ、豊田真由子衆議院議員の「暴言」が各種メディアで繰り返し取り上げられている。もう第三弾になる。その言葉に辟易とした表情を見せるコメンテーターを見るにつけ、「本当か」と思う。まるで自分にはその類の怒りはないかのような、驚きを隠さないリアクションが揃いも揃う様子を見るにつけ、「嘘をつけ」と私は思っている。

私だけなのか?

 なぜなら、私には豊田議員の「怒り」がなんと言うか、すんなりと耳に入ってきたからだ。怒りの周波数が合ったといえばいいか。私の心の奥底にマグマのように渦巻いている、しかし現実には噴火させることのない怒りが、豊田議員の怒りと期せずして重なったようなのだ。

 私がコメンテーターなら、「どうですか」の質問に、「共感する部分があります」と答えるだろう。

 彼女の言動に相槌を打つことが憚られる昨今であることは承知している。でも、私と似た思いを密かに抱える人がいて、じっと口をつぐんでいるはずだと確信している。

 もちろん、彼女の「暴言」はNGだらけだ。

 「死ね」などと言ってはいけないし、肉体的特徴を罵るのもいけない。そんなことは世の中の常識で、いちいち指摘するまでもない。こんなことも分からないとすればそもそも社会人としてNGだし、分かっていて言っているなら、それはそれでNGだ。こうした罵詈雑言を連日浴びせられた人たちの憤りが相当なものになることも容易に想像できる。

 自分より弱い立場の人に一方的に怒りをぶつけるというのも、いわずもがなでNGだ。

 国会でおかしなことが起きたら、「違うだろ!」と思わず激しい言葉が口をつき、たとえ相手が自分より力のある者であろうと、自ら信じる正義を成すために敢然と立ち上がったのならば、その「暴言」は少なからぬ賛同を得たかもしれない。が、強きには笑顔をたたえ、弱きには怒声とあっては…。

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「豊田議員の怒りに共感を示す私はおかしいのか」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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