広島に出張や観光で来たら絶対食べたいもの。それは何と言っても広島風お好み焼きですよね!
今回、広島出身の筆者が、自分の足と舌で探してきた「広島人が薦める本当に美味しい広島風お好み焼き店・厳選5店!」をご紹介します。
【もくじ】
- 広島お好み焼きのルーツはここ!全ては「みっちゃん総本店」から始まった
- 製麺業者直営!芸能人やスポーツ選手が多く通う人気店「まるめん本店」
- 職人気質な「かんらん車」のオヤジさんの焼くお好み焼きはこだわり満載、マヨネーズ不要のうまさ!
- 広島市内中心部では珍しい庶民的な「もり」にカープのレジェンドたちも足しげく通った
- 広島駅から電車で45分!1日限定100枚!地元民で常に行列の「焼助」
- ビジュアルで見る5店舗の肉玉そば一覧(1軒肉玉うどん)
広島お好み焼きのルーツはここ!全ては「みっちゃん総本店」から始まった
そのお店は「みっちゃん総本店」さんです。
創業昭和25年、半世紀以上続く広島の名店です。全てはここから始まりました。
読者の皆さまが「広島風お好み焼き」に持たれているイメージで一番強いものとは、
・そばが入る
ということじゃないでしょうか。
広島で初めてお好み焼きにそばを入れたのが、みっちゃん総本店の会長・井畝満夫(いせ みつお)さんになります。他にも、今では一般に普及している「お好みソース」の原型も井畝さんの発想が元になり開発されました。
そういった意味で、今現在の一般に普及している「広島風お好み焼き」の基本スタイルは、当時のみっちゃん総本店さんがその基軸となっておられます。
誰もが認める広島風お好み焼き元祖のお店なんですね。
とりあえずアレ
まずは細かい説明の前に、誰もが広島のお好み焼きのお店を訪れたら、絶対に見たい職人芸を先に載せておきますね。
何度見ても素晴らしいですね!
広島に来たら、これを見ないと始まらないですよね!
(撮影させてくださった「みっちゃん総本店八丁堀本店」の店長様、どうもありがとうございました!!)
それでは「みっちゃん総本店」さんの味の解説、いってみましょう!!
基本の「肉玉そば」の焼き方
みっちゃん総本店さんでは、図のように材料を積み重ねていかれ、それから引っくり返して蒸し焼きされます。
ポイントとしては、塩コショウなどの味付けは一切されない!ということでしょうか。
材料を重ねて、じっくりと蒸し焼きすることで、素材の旨味が引き出し、素材の味のみで勝負、というスタンスだそうです。
上記のお好み焼きを蒸し焼きにしている間に、お好み焼き用のそばを生麺から茹で上げ、茹で立ての麺を鉄板で白絞油(しらしめゆ。食用ナタネ油)を使い香ばしく焼き上げます。
麺はヤキソバのように炒め混ぜるのでなく、円形にまとめたら、そのままいじらずに表面がパリッと香ばしくなるまでそのまま焼き続けます。
そしてドッキング!
下を卵でとじ固め・・・
引っくり返して、玉子を上面にし、そこに特製ソースを薄く塗り拡げたら・・・
完成です!!
ソースの上に振るのは、青ノリのみ。
横から見た図。
断面図。
肉玉そばの構成要素(みっちゃん総本店)
- 麺:磯野製麺の生麺を茹で上げて使用、麺に味付けはしない
- キャベツ:国産品を使用
- ソース:自社オリジナル(オタフクソースさんが製造を担当)
- 焼き方:基本的に「押さえない」派
- 特徴:塩コショウなどの味付けは一切せずに、唯一の味付けは薄く塗った自社オリジナルソースのみ。素材からじっくりと「焼き」で引き出した旨味で勝負!
う・・・うまい!!
この複雑に絡み合ったウマさが、塩すら使わずに、素材だけで作られた美味しさだとは、生粋の広島人の私でも、取材で教えていただくまで信じられませんでした。
まさに広島お好みマジック!!
「焼きの技術」がこの美味しさを引き出すのですね~!
広島での初お好み焼きを食べるなら、ぜひ元祖&ルーツの「みっちゃん総本店」さんの味を確かめておくと、まずは自分の中に広島風お好み焼きの比較基準を作ることが出来て、その後の様々なお店さんでの食べ比べが楽しくなりますよ!
まずは行ってみてください!
紹介したお店
みっちゃん総本店 八丁堀本店
住所:広島県広島市中区八丁堀6-7チュリス八丁堀1F
TEL:082-221-5438
営業時間:平日11:00〜14:30(14:00 L.O)/ 17:30〜21:30(21:00 L.O)
土日祝11:00〜15:00(14:30 L.O)/ 17:00〜21:30(21:00 L.O)
定休日:なし(2017年8月より定休日なしになります)
URL:https://r.gnavi.co.jp/mbbcwxms0000/
※注意:さすがの「元祖店」だけあって、行列する人気店です。いつも開店15分前には既に行列が出来ており、平均待ち時間は平日で30分、土日で30分~1時間待ちだそうです。ただし、電話で持ち帰り注文も受けてくださるので、行列待ちしたくない人は、電話で注文して持ち帰りにしてホテルで食べると、待たなくて済みますよ!
あとは、広島駅の新幹線乗り場の1階の名店街にも支店がありますので、そちらの利用もどうぞ!
それでは、2軒目のオススメお好み焼き屋さんを、続いてご紹介します!
製麺業者直営!芸能人やスポーツ選手が多く通う人気店「まるめん本店」
広島出身の人気ミュージシャンと言えば奥田民生さん。
その奥田さん行きつけの広島風お好み焼き屋さんと言えば、こちら「まるめん本店」さんです。
店内のいたるところに、いろんな芸能人さんやスポーツ選手さんたちのサインや写真が一杯です。
奥田さんが「まるめん本店」さんを愛されているエピソードとして、過去に某ビール会社さんのCMに奥田さんが出演なさる時に「CM撮影で使う広島風お好み焼きは『まるめん』さんのお好み焼きにしてください」とリクエストをされたほどだそうです。
他にも店内のサインをいろいろ見てみますと・・・
パフィーさん
サンボマスターさん
カープ選手の皆さま方。
他にも、藤井フミヤさん、斉藤和義さん、妻夫木聡さんなども来店されたこともあるそうです。
キリが無いので、この辺にしておきますが、つまり、これほど多くの著名人が通う人気の広島風お好み焼き店、ということです。
人気の秘密は「麺にこだわりまくったお好み焼き」!
写真は「まるめん本店」さんのテーブル席から見える風景です。
実は「まるめん本店」さんは、広島風お好み焼きの製麺業者「磯野製麺」さんの本社に併設されているので、店内からお好み焼きの麺の製造風景が見学できるようになっているのです!!
(麺の製造風景を眺めることが出来るのは、11:00~12:00、13:00~15:00の間だそうです)
ちなみに、今回ご紹介する5店のうちの3店は磯野製麺さんの麺を使用されています。
まるめん本店さんの「肉玉そば」の焼き方!
まるめん本店さんは麺の主張を前面に出したいために、野菜の水分をしっかり飛ばす焼き方をされるので、塩コショウを使います(塩には野菜の脱水効果があります)。
そして、こちらを引っくり返して蒸し焼きにする間に、麺を仕込む訳ですが
まるめん本店さんの大きな特徴は、生麺の茹で上げ麺を、ラードを引いた鉄板の上に広く拡げて、炒め混ぜたりせずに、このままじっくりと麺の1本1本がパリッと香ばしくなるまで焼き上げるところです。
ここまでシッカリと麺を焼き上げると、麺が持つ「甘み」が表面に出てくるのだそうです。
パリパリに焼き上げた麺をほぐして円盤状にまとめたら、次はお好み焼きの野菜側を高温の鉄板の上でギューッ!と押さえつけて、野菜の水分を飛ばされます。
広島風お好み焼きのお店は、大別すると・・・
「押さえる派」
と
「押さえない派」
に分かれるのですが、まるめん本店さんは完全に「押さえる派」側ですね。
製麺業者さんのプロデュースするお好み焼き屋さんなので「お好み焼きの中で麺を主役に据えたい」というコンセプトで、こういう「焼きの設計」をされているのだそうです。
そうです、広島風お好み焼きのお店を食べ歩いていけば解かってくるのですが、それぞれのお店に、焼き手の表現したい「焼きの設計」というのがあるんですよ!
それでお好み焼きの味が全く変わってくるのが、広島風お好み焼きの面白くて楽しいところなんです!!
最後の玉子も、まるめん本店さんでは他店より長い時間をかけて焦げ目が付いて香ばしくなるまで焼き上げられます。
そしてソースを塗って、青ノリ、ゴマ、コショウを振ったら・・・
「お待ちどうさま!完成ですっ!」
どのお店さんでも、いつもこの瞬間はヨダレズビィーッ!になりますね~!!
肉玉そばの構成要素(まるめん本店)
横から見た図。
断面図。
「押さえる派」のお店なので、他店より厚さが薄めなのが特徴ですね。
味ですが、さすが麺には絶対の自信を持たれているだけあって、ウマイッ!!の一言。
茹で上げ麺なので、麺の表面はカリッとしているが中はモチッとした歯応え!そこにしっかり焼かれた野菜や玉子の甘味がソースと一緒に絡んで、これはタマリマセン!!
店長さんに聞くと、作ってすぐの生麺を、あえて1日置いて熟成させて麺の旨味を引き出されているそうです。そして自社工場の強みとして、麺を保存する上での温度と湿度を完璧に保つことで、麺の美味しさを最大限にお客さまに伝えることが可能なのだそうです。
麺がメインのお好み焼き、ぜひ食べ比べて、その違いを感じてみてください。
紹介したお店
まるめん本店
住所:広島県広島市東区東蟹屋町18-15 磯野製麺2F
TEL:082-298-8903
営業時間:11:00〜15:00 / 17:00〜21:00
定休日:月曜・第2火曜
URL:https://r.gnavi.co.jp/dbuwp1r40000/
場所ですが、広島駅から徒歩10分。
マツダスタジアム・広島カープ球場の電車線路を挟んだ向かいになります(お店からマツダスタジアムが見えるよ!)。
さあ、ここからは更にディープなお店を紹介していこうと思います。続いて3軒目です。
職人気質な「かんらん車」のオヤジさんの焼くお好み焼きはこだわり満載、マヨネーズ不要のうまさ!
地元民も足しげく通う、知る人ぞ知る地元の人気店「かんらん車」さんです。それではさっそく焼き方を紹介してみましょう。
かんらん車さんの「肉玉そば」の焼き方!
かんらん車さんも、基本的には他店と同様のスタイルですが、大きな特徴は焼きの後半で生地上の具材を全て反転することです。
そして塩コショウは使われない主義のようです。
焼き方を見ていて気付いたのは
鉄板の温度に対するこだわりがものすごい!
焼きながら、鉄板に水滴を落としては、その水滴の蒸発具合や弾け具合で鉄板の温度を逐一確認しながら焼かれます。
1枚のお好み焼きを焼くのに、5~6回くらいは鉄板の温度を確かめながら焼かれていました。
オヤジさんによると「その日の温度や湿度で麺の状態も違えば、時期や産地によってキャベツの状態も変わる。それを毎日自分の舌で確かめて、その日の素材のコンディションに合わせて、その日の『焼き』を調整している」のだそうです。
そのため、お店を開ける日は毎日、その日の第1食目を必ず自分で広島風お好み焼きを焼いて食べるそうです。それを開業してから14年間、毎日ずっと続けてらっしゃるそうです!!
文章で書くとシンプルですが、実際に10年以上毎日お好み焼きを食べ続けられるかと言うと、例え仕事であっても筆者はちょっと自信がないですね。すごいと思います。
またお腹の膨れた状態で食べると味覚が変わるから、という理由で、必ずその日の第1食目と決めてらっしゃって、お好み焼きを食べるまでは何も口にされないそうですよ。
「その日ごとに自分で食べて確かめたものでないと、お客さまに提供はできない」とオヤジさんはおっしゃいました。
このエピソードだけで、オヤジさんのお好み焼きにかける熱意が伝わってきませんか!?
そして「かんらん車」さんの焼きの特徴は両面焼き。
焼きの途中で中の具材の表裏を返すというのは、広島でもかなり珍しい焼きのスタイルですね。
長年、創意工夫をしながら焼き続けるうちに、このスタイルに行き着かれたそうです。
麺は生麺の茹で上げを円盤状にまとめたら、いじらずに鉄板でラードで焼き上げるのですが、これも引っくり返して両面焼き。
こうして両面焼きした具材とそばを合わせたら、玉子は軽めの火入れで半熟に仕上げ、ソースを薄く塗り、青ノリを振って完成です!
なんとなくオヤジさんのストイックさが表れた、ワイルド感あふれる骨太なルックスじゃないですか。
肉玉そばの構成要素(かんらん車)
- 麺:磯野製麺の生麺を茹で上げて使用。円盤状にまとめて両面を香ばしく焼き上げる。
- キャベツ:国産品を毎朝手切り。太めのザク切りで食感重視。
- ソース:カープソース
- 焼き方:「押さえない」派。具材も麺も両面を焼き上げる。
- 特徴:必ず毎日オヤジさんが試食し、それを元にその日の素材の状態に合わせて焼き加減を細かく調整する。
横から見た図。
断面図。
中の具材を反転させたことで、麺側に肉の層を挟まずキャベツが密着し、より一体感のある仕上がりとなっていますね。
食べた感想としては、強火で両面しっかりと焼かれて、外側は焦がして香ばしいキャベツなのに、その中心部にはみずみずしさが残り、ザクザク食感が素晴らしい。
そこに茹で上げ麺のカリッモチッのハーモニーと、全体の香ばしさをカープソースが包み込んで、絶妙なバランス感でした。うんめえ~!!
最後に、オヤジさんのこだわりエピソードをひとつ。「かんらん車」さんでは、卓上にソースやマヨネーズが置かれていません。
ソースを塗る前に、オヤジさんがお客さまにソースは濃いめか薄めかを聞いて、それぞれに味のバランスを考えてオヤジさんの責任でもってソースを塗られるのです。
一部のお寿司屋さんが、最初から醤油を塗ってお客さまにお寿司を供するのと似ていますね。マヨネーズも味のバランスが崩れるからという理由で置かれていないそうです。
ストイックなこだわりのお好み焼き、ぜひ試してみてください。
紹介したお店
かんらん車
住所:広島県広島市中区猫屋町2-16
TEL:082-233-7027
営業時間:11:30~14:00 / 18:00~21:00
定休日:月曜
URL:https://r.gnavi.co.jp/mr8t8kzj0000/
場所ですが、観光名所の原爆ドーム・広島平和公園から徒歩10分程度です。
続いて4軒目のお店です。広島風お好み焼きマニアクス、どんどん佳境に入っていきます!
広島市内中心部では珍しい庶民的な「もり」にカープのレジェンドたちも足しげく通った
そのお店は「もり」さん。
広島市内中心部は人の往来が多いために、現代風のお好み焼き屋さんがほとんどなのですが、こちらのお店はそんな中で希少な、広島人なら誰もが馴染み深い昔ながらの「近所の店」系のお店なんです。
昼間のみの営業。
トイレが無い。
クーラーが無くて暑い。
など観光客さんにはハードルが少し高いかもしれませんが、最近では有名グルメ雑誌や、有名グルメ芸能人のオススメのお店として紹介されたりと、だんだんと知られてきた広島風お好み焼きの隠れた名店です。
ちなみに、みっちゃん総本店さんと同じく、創業から半世紀以上を経ている老舗店さんです。
お店には、上述のグルメ芸能人さんの写真をはじめ、過去に取材に訪れた芸能人の方々の写真がたくさん飾られています。
今の店主さんは三代目ですが、二代目店主さんが焼かれていた昔には、元カープの黒田博樹投手もよく通われていたそうです。三代目の時代では、同じく元カープ前田智徳選手がよくいらしていたそうです。
さて、「もり」さんでは、そばよりもうどんがオススメとのことで「肉玉うどん」をお願いしてみました。
もりさんの「肉玉うどん」の焼き方!
さあ、ここで広島県外の読者の皆さまは「え!?生地のすぐ上に麺を置くの?」と驚かれたのではないでしょうか?
「そば(うどん)は別で焼いて後からドッキング」、それが広島風お好み焼きの定説かと思っておられませんでしたか。
実は筆者の今は亡き祖母も、こうやって最初からそばやうどんを中に入れ込む焼き方をしておりまして、田舎など郊外店のオールドスタイルの広島風お好み焼きには、こういう焼き方が多かったりします。
そういう意味では、もりさんのお好み焼きは、筆者にとっては家でお祖母ちゃんの焼いてくれたお好み焼きの味を彷彿とさせ、最も馴染み深い懐かしい味です。
みっちゃん総本店さんから派生した現在の広島風お好み焼きですが、庶民一般に広く浸透する過程で、さまざまな焼き手によりさまざまな焼き方が試みられたので、広島風お好み焼きの焼き方はどれが正解ということは無い、というのが本質でしょう。
もりさんは田舎風のオールドスタイルですが、新しい系の広島風お好み焼き店では、
- バリのサンバルソースで麺を炒める広島風お好み焼き
- グアテマラ人の大将が焼くハラペーニョの乗った広島風お好み焼き
- ケールとチーズがたっぷりのワインに合う広島風お好み焼き
- 口どけを重視したトロトロ食感のスプーンで食べる広島風お好み焼き
- 二郎系デカ盛り広島風お好み焼き
- 3Dな立体的広島風お好み焼き
など、新しい焼き手・焼き方もどんどんと登場してきています。
ある1店舗だけで食べて「これが広島風お好み焼きか」と思い込んでしまうのでなく、ぜひたくさんのお店を食べ歩いて、その違いを楽しんで欲しい!というのが広島人の筆者の切なる願いですね。
話がそれました。もりさんの「焼き」に戻りましょう。
上述のとおり、全てを最初にドッキングさせた後に引っくり返したら、
あとは超高温の鉄板の上で触らずに放っておく。これがもりさんの焼きのスタイルです。
画像は解かり易く早送りにしていますが、お好み焼きが自分で勝手に焼けていくんですね。焼けたら後は卵で閉じて引っくり返すだけなのですが、なんと!
卵の半熟感においては、もりさんは今回紹介する5軒の中で最も半熟感にこだわられています。
卵を鉄板に割り落としたと思ったら、次の瞬間にはもう引っくり返されています。トロトロにまぶされた半熟卵、これがもりさんの特徴のひとつと言えましょう。
あとは卵が半熟のうちに素早くソースを塗って、コショウ、青ノリなどをふりかけたら完成です!
このざっかけない気取らないビジュアル。
観光客をメインターゲットに据えたお店では、まずこういうお好み焼きは出てきませんよ!
肉玉うどんの構成要素(もり)
そしてなんといっても雰囲気が最高!郊外の住宅街の中で、おばちゃんが自宅の一部でお好み焼き店をやっているような、ザ・リアル広島お好み焼き店の雰囲気を市内中心部で味わえます!!
横から見た図。
見た目から、なんだか「優しそうなフンワリとした柔らかさ」が伝わってきませんか。
断面図。
私は普段は基本的に「そば派」なのですが、なるほど、このフンワリ柔らかい優しいお好み焼きには、丸麺の袋麺のやおいうどんがベストマッチング!!
クーラーの無い店内で、汗をかきかきハフハフと食べるお好み焼きのンマイこと!
開け放った窓と戸口から、時おり吹き込む自然の風も、なんだか懐かしい気持ちにさせてくれて、余計にお好み焼きがウマく感じてしまう。
(ちなみにクーラーを導入しない理由は「鉄板の温度を下げたくないため」だそうですよ)
そうそう、お持ち帰りは必見です。
なんと、新聞紙に包んでくださる。私たち、昭和世代のオジサンには、こういうの、ノスタルジックで超泣けてきますよね。
最近では行列が出来て入店できない日も多いようですから、電話で持ち帰りを頼んで取りに行ってホテルで食べる、というのも1つの手かもしれません。
広島人が小学生の頃から通う「近所のお好み焼き店」って、まさにこういう感じなんですよ。ぜひネイティブの広島風お好み焼きを体感してみてください。
紹介したお店
もり
住所:広島県広島市中区富士見町14-11
TEL:082-241-5358
営業時間:【7月~9月】11:00~14:30(売切れ次第終了)
【10月~6月】11:00~17:00(売切れ次第終了)
※事前に電話で、まだ材料があって売切れしてないか確認してからご来店ください、とのことです。
URL:https://r.gnavi.co.jp/jr2gm0dj0000/
場所は、原爆ドーム・平和公園から徒歩20分あるいはタクシーで5~10分、広島駅からは路面電車「1番線・広島港行き」に乗り「中電前駅」で下車して徒歩10分、あるいは広島駅からタクシーで10~15分。
さあ、ここまでのお好み焼き屋さん、あなたは何軒知ってらしたでしょうか。
ラストの1軒は、超マニアックな地元民御用達のお店をご紹介します。
今回の5軒を全て網羅したら、あなたはマジで広島風お好み焼きのマニアになれますよ!
広島駅から電車で45分!1日限定100枚!地元民で常に行列の「焼助」
ラストにハードルの高いお店を持ってきて、読者の皆さま、スミマセン。。
しかしぜひ行って頂きたい名店なのです。
まずは広島駅から7・8・9番乗り場「芸備線」に乗り「中深川駅」まで行ってください。約45分で到着します。
ちなみに中深川駅行きは1時間に1本か2本しかありません。
あと、うっかり快速に乗ると中深川駅に止まらず通過するというトラップもあるので要注意です。
ちなみに、この箱が改札です。いわゆる無人駅です。
中深川駅からは徒歩5分で着きますので、行き方は簡単ですが、1日100枚焼いたら閉店というお店なので、必ず広島駅から出発前に材料がまだあるか電話確認してから行きましょう(席の予約は受けておられません。来られたお客さま順のお店です)。
さあ、着きました!
そのお店は「焼助」さんです。昭和59年創業で、30年以上も地元に愛される、こちらも「近所の店」系の名店です。
それではさっそくお好み焼きを頼んでみましょう!
焼助さんの「肉玉そば」の焼き方
さて、これで今回ご紹介した5軒、全て焼き方が異なっていることがお分かりいただけたと思います。(図解を見比べてみてね!)
使う具材だったり、生地に乗せていく順番だったり、塩などの調味料だったりと、微細な違いが大きな味の違いを産むんですよ(ちなみに偶然ですが、ソースも5軒とも全て異なっています)。
これが、ハマると広島風お好み焼きの食べ歩きがやめられなくなってしまう楽しさ、面白さなんですよね~!!
焼助さんは、今回紹介した5軒の中では、唯一、そばをソースで味付けしながら炒め上げるというスタイルです。
たまたま今回に取材をお願いした5軒のうち4軒は「麺を炒めない」派のお店でしたが、広島県外の読者さまの多数は「広島風お好み焼きは、そばをソースで味付けして炒めるもの」と思ってらっしゃる人が多いでしょうから、意外だったのではないでしょうか。
なお、焼助さんは、鉄板を170℃、220℃、250℃と温度の異なる3つの鉄板を使い分けてらっしゃり、そばは250℃の超高温で一瞬で素早く炒め上げられるので、ドロッとしたソースをまぶし付けてもベタベタせずにパラリとした香ばしい仕上がりになるのが、味の秘訣だそうです。
焼きながらギュッギュッと押さえつけてらっしゃるので「焼助さんは押さえる派ですか?」と質問したところ、「その日のキャベツに合わせて変えています」との返答。
毎朝にキャベツを手切りする際に、キャベツの水分量や固さをチェックし、例えば固い時は細めに切り、柔らかい時は太めに切りと、切り方を変えられるそうです。
そして固い時は弱火で時間をかけて芯まで蒸したり、柔らかい時は強火で一瞬で火を入れたり、同様に水分量が多いと感じたら押さえ付けて水分を飛ばしたりと、キャベツに合わせて切り方・焼き方を変えているそうです。
焼助さんによると、一般に評価の高い「春キャベツ」は、柔らかく水分が多すぎるためにお好み焼きには向かず、「寒玉」と呼ばれるキャベツを使える10~11月頃が、1年でもっとも美味しいお好み焼きを提供できる時期なのだそうです。
さて、そうして焼き上げた具材と、炒め上げたそばをドッキングさせ、玉子でとじて引っくり返し、薄くソースを塗り付ければ、あとは青ノリを振って完成です!!
余談ですが、広島風お好み焼きの美味しいお店と、そうでないお店を見分ける極めて簡単な方法があります。
それは「仕上げにソースを薄く塗る店は、大抵ウマい」という法則です。
お好み焼きそのものに自信のあるお店は、ソースで味が全部上塗りされないように、薄くソースを塗って仕上げます。今回の5軒も、もちろん全てそうでした。
逆に、ソースをどっぷりとかけて、ソースの味しかしないようなお好み焼きを出すお店を、筆者はお薦めしません。今後の広島風お好み焼きの食べ歩きの、指針のひとつとして頂ければ幸いです。
完成です!
肉玉そばの構成要素(焼助)
- 麺:山本食品。毎朝に茹でたものをサラダ油でコーティングしたもの。次の日には持ち越さずに必ずその日に使い切る。そのために100枚で売切れ仕舞い。
- キャベツ:国産品を毎日手切り。焼助さんではお好み焼きの要素としてキャベツを最も重要視しており、水分量や固さなどで切り方や焼き方を変える。
- ソース:ミツワソース
- 焼き方:基本は「押さえない」派。しかし、その日のキャベツのコンディションやトッピングの具材に応じて「押さえる」選択もする両刀使い。
- 特徴:そばを超高温の鉄板を用いてソースで炒め混ぜる。
横から見た図。
断面図。
焼助さんの味の特徴としては、サラダ油をまぶして寝かしておいた麺を、ソースと共に超高温の鉄板でからりと炒め上げるため、麺の歯応えが他店と異なります。
茹で上げ麺を使う多くの店は「カリッモチッ」系ですが、それに対してこちらのお好み焼きは「プチッと小気味良く噛み切れる」系ですね。ある意味ではラーメンの細麺を食べる時と似た食感かもしれません。
麺に絡んだソースはベトッとしておらず、あくまで麺の表皮1枚に薄く焼き付けられてコーティングされているといった印象で、ソースで炒めてあるのにしつこさを感じさせないのがポイントでしょうか。
ひと口ほおばると・・・
ああ~、うまいんじゃあ~!!
ソースで炒められ下味と香ばしさをまとった麺には、力強いコクと濃厚なコッテリ感が生じています。そのそばとしっかり蒸されたキャベツの甘味のコラボレーション&ハーモニーを楽しむお好み焼きと言えましょう。
広島駅から電車で45分かけてわざわざ行く価値ある、うまい店です。ぜひ訪れてみてください。
紹介したお店
焼助(やきすけ)
住所:広島県広島市安佐北区深川6-3-20
TEL:082-843-6126
営業時間:11:00~18:00(売切れ次第終了)
※事前に電話で、まだ材料があって売切れしてないか確認してからご来店ください、とのことです。
定休日:月火(ただし祝日の場合は営業)
駐車場あり
URL:https://r.gnavi.co.jp/23mkgah60000/
ランチタイムは平日でもだいたい席空きを待つ人が並びますが、並ぶのが苦手な人は持ち帰りを頼むのを薦めます。
あとは大将はお好み焼きを焼く時はめちゃくちゃ集中されてるので、忙しい時は話しかけられてもあまり愛想が無い時があるそうですが、お1人で10枚以上のお好み焼きをそれぞれ違う注文や焼き時間で焼き分けてらっしゃるので、そこはご理解お願いしますm(_ _)m
ビジュアルで見る5店舗の肉玉そば一覧(1軒肉玉うどん)
一覧にしてみました!いかがでしょう!?
パッと見ただけでも、5軒ともが、それぞれ違う広島風お好み焼きだと分かっていただけたと思います。
もちろん、味もそれぞれに違います。広島風お好み焼きは、店の数だけ、焼き手の数だけ、それぞれ独自の味があるんです!
ぜひあなたの舌で実際に食べ比べて「自分の好きな広島風お好み焼きの方向性」を見つけてみてください。
広島人は、ほとんど全員が心の中に「俺の店」を持っていると言います。
あなたもぜひたくさんの店を食べ歩いて「俺の店」を作ってみてくださいね!
長文、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!!もしよろしければ、この記事をシェアやツイートで広めていただければ嬉しいです!
よろしくお願いします!m(_ _)mぺこり
著者プロフィール
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