関ヶ原の戦いは、当時の人々は「徳川×石田」ではなく「徳川×宇喜多」と認識していた!?

宇喜多秀家(岡山城所蔵)

 “天下分け目”と言われる関ヶ原の戦いはどんな争いだったかと問われれば、「徳川家康率いる東軍が石田三成率いる西軍に勝った」と多くの人が答えることだろう。

 ところがこれに異論を唱える研究者がいる。「宇喜多家史談会」理事の大西泰正氏だ。

「実は、当時の感覚としては『徳川家康×石田三成』ではなく、『徳川家康×宇喜多秀家』であったのではないかと考えられます」

 宇喜多秀家は関ヶ原の戦いで副大将をつとめ(総大将の毛利輝元は大坂にいて参戦せず)、西軍最大の部隊を率いて最前線で壊滅するまで戦った。豊臣秀吉の猶子(準養子)で、五大老の一人でもある。しかし、それにしてはいまいち存在感が薄い。

関ヶ原の戦いの直前、宇喜多秀家は徳川家康に次ぐ“豊臣政権ナンバー2”だった


⇒【画像】はコチラ『備前軍記』https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1360577

岡山藩士が18世紀後半に著した『備前軍記』という軍記物。岡山県の戦国時代を語る場合によく利用される有名な史料。写真の箇所には秀家の流罪について記されている(大西氏所蔵)

「秀家の影が薄くなったのは後世になってからのこと。当時の貴族の日記などを見てみると、例えば『言経卿記』には『内府(徳川家康)が勝ち、備前中納言(宇喜多秀家)が敗北した』と書かれています。石田三成のことなど一言も書かれていない。前田利家亡き後、関ヶ原直前の時点では秀家が家康に次ぐ“豊臣政権ナンバー2”の地位にありました。五大老の中にも序列があって、書状などに名前を書く順番でわかるんです」

 それでは、江戸時代に入ってから扱いが変わってしまったということ?

「そうですね。江戸時代に講談や軍記物で、関ヶ原の物語が庶民の間で人気となりました。秀家は八丈島への流罪に減刑されて長生きしましたから、他の西軍諸将と比べてドラマ性に欠けていたという面もあったのかもしれません。しかし家康から助命を勝ち取るために秀家自身も運動していたり、旧臣花房氏を介して復権の機会をうかがうなど、秀家の後半生もなかなか魅力的です」

 石田三成や小西行長など西軍諸将が処刑されていく中で、“最大級の戦犯”であるはずの宇喜多秀家は「なぜ」殺されなかったのか!? 『週刊SPA!』7月11日掲載号「“関ヶ原最大級の戦犯”宇喜多秀家はなぜ殺されなかったのか?」では、関ヶ原後の秀家の足どりをたどり、全国各地で400年間語り継がれてきた逸話をリポート。その「なぜ」の裏には、奇跡的な“命のリレー”の物語が潜んでいた!!

【大西泰正氏】宇喜多家史談会理事。岡山県出身。宇喜多家研究の第一人者であり、著書に『宇喜多秀家と明石掃部』(岩田書院)など。『宇喜多秀家』(戎光祥出版)を8月末に刊行予定

【宇喜多秀家】1572年、備前国(岡山県)の豪族、宇喜多直家の子として生まれる。直家の病死により11歳で備前美作57万4000石の太守に(1582年)。豊臣秀吉の猶子(準養子)として庇護を受け、「豊臣」姓と「秀」の字を賜る。秀吉の天下統一に従って軍功をたて、参議(1587年)、従三位(1588年)、権中納言(1594年)を拝命、五大老に列する(1598年)など、順調に昇進。関ヶ原の戦いで敗戦、八丈島に流罪となり84歳で没した(1655年)

取材・文/北村土龍

週刊SPA!7/18・25合併号(7/11発売)

表紙の人/ 山下智久

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