インド最高裁 牛食肉処理禁止の政府通達を差し止め

牛を神聖な生き物だとするヒンドゥー教徒が人口の8割近くを占めるインドで、牛の食肉処理を全面的に禁止するとした政府の通達を最高裁判所が差し止める命令を出しました。牛肉を食べるほかの宗教の人々の間では安ど感が広がる一方、ヒンドゥー教徒からは反発も予想され、牛をめぐる論争は今後も続きそうです。
インドでは、ヒンドゥー至上主義を掲げる団体を支持母体とするモディ政権がことし5月、牛の食肉処理を全面的に禁止する通達を出しました。

インドは牛を神聖な生き物だとするヒンドゥー教徒が人口の8割近くを占める一方、少数派のイスラム教徒などが牛肉を食べるほか、肉や牛革のビジネスも盛んで世界有数の輸出国としても知られていて、通達にイスラム教徒などが猛反発していました。

こうした中でインドの最高裁判所は11日政府の通達を差し止める命令を出し、イスラム教徒などの間では安ど感が広がっています。ただ、インドでは、通達が出されたあと、牛を守りたいとする過激なヒンドゥー教徒が食肉処理業者のイスラム教徒を殺害する事件が相次いで起きていたこともあり、最高裁判所の命令に今度はヒンドゥー教徒が反発することも予想され、牛をめぐる論争は今後も続きそうです。