仕事や生活上の疑問、日々の些細なことまで「とりあえず検索」。わたしたちの生活は、今やインターネットなしではありえません。
そんななか、アメリカで最近出版され、話題になっているのが、元Googleのデータ・サイエンティストによる『Everybody Lies (誰もがみんなウソをつく)』(日本語未訳)という本です。
検索履歴とあらゆる分野のビッグデータを検証し、著者が暴きだしたのは、現代人はSNSや世論調査では見栄を張っていて、検索データにその人の本音や実態が表れるという、ちょっとドキリとする事実。
著者のセス・スティーブンズ・デビッドウィッツが、5年分のデータを検証して判明した事柄から、女性にまつわる意外なトピックをご紹介します。
AVを見ているのは実は男性よりも女性が多い?
アメリカの世論調査によると、「AVを見ることがある」と答えたのは、男性が25パーセントに対し、女性はわずか8パーセント。
ところが、実際にはインターネットでAVを見ている女性の数は意外なほど多く、とくに暴力的なAVの女性視聴者は男性の2倍にもなるそうです。
最近の日本では、女性をターゲットにしたものも出ているようですが、一般的に、AVといえば男性のもの、と思いがち。
過去には、レンタル・ビデオ店で男性たちがやや後ろめたさを感じながら借りるイメージでしたが、オンラインで気軽に見られるようになった今、女性たちが好奇心のままにポルノのサイトにアクセスしている姿がうかがえます。
アメリカ女性も悩むセックスレス問題
赤裸々すぎて、友人には相談しにくい性の悩みも、Googleになら訊けるようです。
女性が検索するパートナーへの不満の第1位は、「パートナーがセックスを拒む」。世間では、セックスレスは女性による拒絶が大半とされがちですが、実は意外に男性側が断るケースも多いことがわかります。
こちらの不満を検索する女性の数は、男性のほぼ2倍にもなるそう。パートナーから拒否された女性たちが戸惑い、ネット検索に答えを求めている姿が目に浮かびます。日本ではよく深刻と言われるセックスレス問題ですが、アメリカでも、実は悩んでいる人が多いのは意外でした。統計では、セックスの回数が多いはずのアメリカ人なのですが......。
夫に関する疑問の第1位は
そんななか、アメリカ女性たちが自分の夫について最も検索しているのは、「わたしの夫はゲイ?」という疑問。第2位の「夫は浮気してる?」よりも多いのが意外です。
著者は、セックスレスに悩む女性たちが、「夫がじつはゲイだから?」と理由づけていると見ています。
夫はゲイ? と検索したところで、自分の夫の真実がわかるわけではありませんが、同じ悩みを持つ人の体験談やブログを読むことで、女性たちは気を紛らわしているのかもしれません。
SNSでは幸せそうなのに
記念日や誕生日、バケーションでのカップルの楽しげな写真。SNS上では、みんなとっても幸福そうに見えます。
フェイスブックで妻たちが夫について語るときの上位ワードは、「ベスト」「親友」「すごい」「最高」「すごくキュート」で、ポジティブさ満開。謙虚さを美徳とする日本人とは対照的に、人前でパートナーを褒め称えるアメリカ人らしい結果です。
ところが、夫に関して検索しているワードの上位は、「ゲイ」「嫌なやつ」「すごい」「うっとうしい」「底意地が悪い」。「すごい」というワードのみ一致しているものの、妻たちのオモテとウラの落差に、思わず笑いがこみ上げてしまいました。
他人に言えないこともGoogleになら訊ける
ほかにも、検索データには、女性たちのダイエットや身体に関する悩み等が赤裸々に表れており、現代人は皆、SNSでは幸せそうに見えても、本当のところは不安や心配にまみれて生きていることが見えてきます。
誰も見ていないと思えばこその、他人には言えない本音をさらせる場所。たしかに、現代人の実情を知るのに、今やインターネット検索以上のものはないのかもしれません。個人的には、いつも気軽に検索しまくっているものの、すべて自分の知らないところでデータとして残っているのだという事実を改めて見せつけられた気がして、空恐ろしい感じもしました。
本書のデータと結果はアメリカのものですが、日本でもぜひ、同様の調査結果を見てみたいもの。アメリカよりもさらに建前社会なだけに、意外な事実が明らかになりそうです。
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