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演出で振り返る直虎の歩み

「おんな城主 直虎」も後半に入りました。商人の町・気賀に龍雲丸たちが手がけた堀川城が誕生。自治が脅かされると抵抗していた気賀の商人たちが、「直虎を城主に」と望むなど、これまで井伊の領民を潤すために奮闘してきた直虎の努力が実を結んでいます。しかし世は戦国、周囲の情勢は刻々と変化し、井伊も大きな渦に巻き込まれていきそうな予感です。そこで直虎が新たなステージに突入する前に、演出の渡辺一貴チーフプロデューサーにこれまでの演出のポイントなどを聞いてみました。

演出:渡辺一貴チーフプロデューサー「カッコいい“おんな城主”を!」

直虎のこれまでを振り返ると、やんちゃな少女時代、出家して尼となった次郎法師時代、そしておかっぱ頭に袴(はかま)をはき、小袖と打ち掛けを身にまとった城主時代と、年齢や役回りに応じて、その扮装も大胆に変化してきました。それは、次郎法師という尼が井伊の城主になったことくらいしか知られていない井伊直虎という人物を、説得力ある、なおかつ魅力的な主人公として描くために試行錯誤を繰り返した結果でした。


撮影現場でも、そんなこれまでの時代劇では見たこともない外見同様、カッコいい“おんな城主”の世界を目指しました。森下佳子さんの脚本に描かれている直虎は、とにかく“前へ前へ”と突き進み、選択肢が3つあったら、あえて最も厳しい道を選びとり、そこに活路を見出すという人物です。そんなバイタリティー、活力、行動力をしっかりと見せたいと思いました。ピチピチと飛び跳ねるような躍動感に満ちた森下さんの脚本に負けないものを映像で表現するとなると、芝居も「ドカンとやりましょう!」という雰囲気になってきます。出演者のみなさんにも、ウェットにならず明るさを最大限に表現してほしいとお願いしてきました。

そんな中、小野政次については当初から井伊直親との対比で「光と影」の影を担ってもらっていますが、ちょっとした影や裏を感じさせるなかで時折見せる笑顔がポイントでしたね。あの笑顔に政次の切なさや不びんさを感じ取り、応援したくなる。ただの悪役ではないということを回を重ねる中で感じ取っていただく。そこを大事にしてきました。

後半に入り、井伊家の運命も大きく変化していくなか、直虎も“七変化”とまでは言わないまでも、またもや状況に応じて見た目も変化していきます。そんな姿もぜひ楽しみにしてください。