|
|
|
| BRM708神戸400km・城下町と宿場町 |
ブルベは私にとってツーリングの一環。 そのルートの選び方や見せたい物が、ルートを作った人から垣間見えるのも面白い。 とは言え、色々と縛りがあるのが今までの気ままなツーリングとは違ったりして、新鮮だったり煩わしかったり。
今回、BRM708神戸400kmに自転車仲間がエントリーしていたので、また新鮮な気持ちが味わえるのかと、伴走させてもらう事にした。 城下町と宿場町。 サブタイトル通り、その情景を楽しむ事が出来るのか? 400kmと言う、私には未体験の距離を無事に走りきる事が出来るのか、不安を感じつつも期待感はそれ以上にあった。
 フォトコントロールのかつて余部橋梁に使われていた部材の前にて。 実は記念撮影的な写真はこれだけだった。 ----------・----------・---------- 自転車仲間が3人エントリーしているBRM708神戸400km。 takumaさんもエントリーを予定していたが既に定員に達していた。 私は時期的に予定が微妙でエントリーすら考えていなかったが、予定も無事に終わり、増えた体重を減らしたかった。 そこでエントリーを蹴られていたtakumaさんにモグリ参加しませんか?と言う連絡をした。
予報では天気が非常に微妙だった。 雨の中を走る事も覚悟しなければならないほどだったが、直前になってその心配がかなり薄れた。 その心配が薄れた段階で、takumaさんから同行しても良い旨の返信を得た。 takumaさんの同行も確定した段階で、正式エントリーをしていたDaichiさんに「我々も同行させてもらいます」と言う連絡をした。
迎えた当日は、走り終わるまで雨に遭わなさそうな予報に変わり、かなり気分が軽くなっていた。 スタート&ゴール地点になっているHAT神戸近くの駐車場で合流し、挨拶を済ませると「天気が持ちそうで良かったですね」と心配事のひとつが無くなってくれる様にと、期待を込めた言葉が口をついて出た。
今回のメンバーは正式エントリーを済ましているDaichiさんにhebochuさん、setano kaze(以後kaze)さんに、モグリの私達と5名。 kazeさんは初ブルベになるが、いきなり600kmより難関と言われる400kmでデビュー。 しかし、エンデューロ入賞の常連だからして、脚力的に私たちの誰より余裕を持って完走される事は想像に難くない。 なかなか楽しみなメンバーとなった。 これも私がモグリ参加を決めた要因のひとつだった。
ブリーフィングや車検を終えるのを待ち、準備が整えば最初の上り、再度山へと向かって走り出す。 ここから再度山を越えるまでは、前回参加したBRM527神戸300kmと同じルート。 道の様子も覚えているし、今回は更に長丁場なので少し抑え気味で登る事に決めた。 上りで皆を引っ張ると言う役目が私の仕事だと思っている。
序盤が激坂で始まるのでなかなか強度を抑え辛いけれど、そこを越えると心拍数が最大の80%を越えないようにコントロールする。 時折振り返る程度で、後は気配を感じつつ。 激坂で少しばらけはしたものの、斜度が緩んで落ち着くと、隊列が整った感じがした。
心拍計を眺めつつ、目的の強度で抑えているのに今日はやけに汗がしたたってくる。 暑さと湿気に知らず知らず身体が堪えているのだろう。 息も少し上がってきた。 いや、しっかりと息遣いが周囲に伝わるほど大きくなってきた。 そして最初のPCに辿り着くと、二人が千切れてしまっている事に気が付いた。 少しペースが速かったなと、反省しなければならない。 フォトコントロールを済ませている内に二人が追いついてくると、その二人の写真撮影を待って先を急ぐ。
前回の記憶を探りつつ、そしてその記憶とはお別れをして、新たな上り道へ。 先程の反省を生かしつつ、先程よりは強度を落としたつもりになり、後は気配を感じつつ登って行く。 大きな気配がしっかりと付いて来ている事を認識させたが、その気配は先程の上りを付いてきた二人の気配で、遅れた二人に気が付かなかった。 おかしいな…こんなに遅れる筈は無いのに。
そのままピークを越え、下り坂を下り、麓付近で後続を待つ。 そんな調子が小さなアップダウンでも続いた。 時刻は10:00前になっていた。 2時間以上走っているし、程好い場所にコンビニを見つけたので休憩するか皆に伺いを立てた。 じゃあ、と言う事で休憩を挟む事にした。
度々遅れていたhebochuさんは、このブルベで投入する事になったハイドレーションバッグが完全に錘になっていた。 それに加えて体調も思わしくない様子で、残された道のりを考えると困難を極めそうだった。 そしてこの暑さ。 暑さに関してはみんな参っているようだった。
水分を十分に補給して再出発。 再出発後は非常に穏やかな道のりが続いた。 やや追い風気味も我々のスピードを上げてくれる。
Daichiさんから先導を引継ぎ、今までのスピードを殺さないように引っ張った。 背中を押してくれる風は感じたが、心拍数が思いも寄らぬほど上がってきた。 それはヒルクライム時よりも高く。 信号停止のタイミングでtakumaさんに引き継いで貰って、最後尾を走る。 しかし、心拍数が全然落ちてこない。 この暑さの影響がじわりじわりと体を蝕んでいたようだ。
先導がkazeさんになり、しばらくすると隊列が間延びしてきた。 ここでみんなも同様に疲労してきているのだと感じた。 kazeさんのペースに付いて行くのがやっとの状態。 右手に道の駅が見えると、そこで休憩する事になった。 そして、hebochuさんが靴擦れしていると訴えてきた。
神様は越えられない試練を人には与えない、と言う。 しかしこれ程の試練があるだろうか? 体調は思わしくないし、ハイドレーションバッグは完全に裏目、そして靴擦れ。 靴は真新しい物ではなく、今まで散々履いてこられた物だ。 何故このタイミングで? 今まできつめと言われていたが、靴擦れを起こす事は無かったと言われる。 満身創痍のhebochuさんを見ていると、残された道のりは半分以上ある…と言うかまだ1/4も走っていないと言うのに、この状況は本人ならずともリタイヤと言う言葉が頭に浮かんだ。 そしてこの試練の後押しを私がしてしまった…かも知れない…と言う重荷を背負う事になった。
疲労を感じてきたので、手持ちの補給食を消費する。 先程の休憩からそれ程時間は経過していないし、昼食時間も近い。 けれど食べないとやって行けない、と言うのは私の持論。 胃腸が弱りだす前に食べておかないと後の祭りになってしまう。
再出発してすぐに上りが始まった。 ここでも私は先導してみんなを楽させたいと思うが、私が思うほどみんなを楽にはさせていないようだった。 ただ単に、ペースが少し速い。 十分に付いて来れるペースだと思っていたが、現実は千切ってしまっている。 ここも前回、前々回、そして小さなアップダウンの続いた道の反省を生かしたつもりだったが、結果は同じになってしまった。
ピークを過ぎて下りきった所で待っていると、上り手前で追い抜いた女性のソロライダーが先に下って来た。 ブルベにはとんでもない健脚が揃っていると初めて参加した時に感じたけれど、今回はその想いが寄り一層強くなった。 この時からみんなで協力し合うロングライドも悪くないけれど、いつかは自分自身の力をブルベで試してみたいと言う小さな種が芽吹いた。
すぐに昼食休憩の為にコンビニに立ち寄った。 hebochuさんの靴擦れは処置をしてから酷くはなっていないようで一安心。 何気ない昼食選びだったが、私にはある思惑があったので、ご飯物を避ける傾向にあった。 それを察してかtakumaさんが「ドギーさんはパンばっかり食べてはりますね」と。 「いや、夕食でご飯(米)をたくさん食べるつもりですから、ご飯物は避けているんです」と、その思惑を告げた。 おそらく夕食の時間帯に訪れる事になるだろう鳥取市内で、デカ盛りのお店を見つけておいた。 それはtakumaさんもご存知の筈だったが。
昼食を終えて、次のPC神鍋高原を目指す。 この神鍋高原への上りが前半…と言うかブルベ全体…最後の本格的な上りになる。 その神鍋高原が目前に迫ると、鉛色の分厚く低い雲がその上に圧し掛かっているのが見えた。 これは…
雨に出会わない事は無いかも知れない…とは思っていたが、それは終盤も見えた頃だと決め付けていた。 それが前半も半ばを少し過ぎた段階で訪れるとは予想外の早さだった。 道が徐々に斜度を強め、本格的な上りが始まってすぐに、顔に雨粒が当たるのを感じた。 それは最初は小さな物だったが、やがて本降りになり、道を濡らして行った。
Daichiさんが雨具を身に付けると言うので、私はフロントバッグにレインカバーを掛けた。 それ以外に雨対策はしない。 雨養生が済んで走り出すと、雨はすぐに勢いを増し、土砂降りに。 道には川が流れ、叩きつける雨粒が派手にミルククラウンを作り出していた。 体が一気に冷やされる感じが心地良かったが、視界が思うように確保出来ないのと、靴の中がびしょ濡れになるのが気持ち悪かった。
 (Daichiさん撮影) カメラで雨を撮影するのは難しいと言われるけれど、その雨が写ってしまうほどの豪雨。
逃げ込むようにPCのコンビニに辿り着いた。 全身がずぶ濡れで、この姿のままコンビニに入るのは忍ばれた。 漏れ聞こえる声に耳を傾けると、この雨はつい先程降り出したようだ。 後30分、何とかならなかったのかと残念な気持ちになった。
正式参加者のチェックも終わり、雨が小降りになった所で出発する。 長いトンネルを越えると、そこには雨の降った様子は無かった。 本当に後30分、何とかならなかったのか…
走っている内にウエアは乾いたが、靴の中だけがどうにも湿っぽく、この状態は最後まで続く事になる。 この足元の気持ち悪さは慣れる事が出来ない。
平坦基調を先頭交代しながら走っていく。 代わり映えしない風景とそして前について行くだけで精一杯な事もあり、PCがある事を頭から抜け落ちた。 正式参加していないから、どうにも集中力が失われているようだ。 私がこう言う状態だから、他の面子も同じ状態だと勝手に思っていたが、そうではなく一安心する。
余部にある道の駅の向かい側にある橋梁跡がフォトコントロールの場所になっていた。 写真撮影の後、道の駅に移動して小休止。 一息付けばこの後も細かなアップダウンは続く。 神鍋高原への上りが終えたとは言え、安心は出来ない。
海岸線の九十九折り、バイパスによって忘れ去られた道、海岸線を辿っているように思えて、海が見られたのはその半分ほど。 日は傾きつつあり、ルート作成者の思惑通り、夕日の鳥取砂丘を拝める事は出来るのか? PCに指定されていたコンビニに立ち寄り、鳥取までの距離を思うと、その思惑は少し外れそうな感じもした。
砂丘道路に入る頃には、太陽は海岸線の向こうに沈もうとしてた。 ただその姿は雲に遮れられて見えなかった。 鳥取砂丘に辿り着いたのは急速に辺りが暗くなり出す直前だったが、趣は全く感じられなかった。 そのまま鳥取市内へと向かう。
すっかりと暗くなった市内を少し走り、夕食にと考えていたお店に向かう事になったが、サイコンのルート案内がかなり怪しい感じになった。 と言うのも、二店舗ほどピックアップしていて、そのどちらにも向かうルートを入力していた。 どっちが今回向かう店だったかな? 余分な行程は進みたくない。 結局はtakumaさんにお店の情報を調べてもらって、Daichiさんのサイコンのナビに頼るというお粗末な結果になってしまった。
無事に目的のお店『べるしい』に到着し、テーブル席に案内されてメニューを手渡される。 メニューを眺める直前に「このお店の大盛りって、かなり量があるんですよね?」と尋ねた。 すると店員さんはご丁寧に、大盛り用の器を持って来て下さって、その器にこれくらいですと手振りで示してくれた。 実際にメニューには『普通』『中』『大』と記してあって『中』と『大』にこのボウルの様な器が使われる。
そう、ボウルの様な器。 その器のでかさを見た瞬間から怯んでしまった。 相当な大食自慢の方も、ここの『大』には苦戦すると言う。 疲れて胃腸の調子も落ちて来ているだろうから、日和見をして『中』を注文する事にした。 大食漢のtakumaさんも同じく。 残りの面子は普通サイズでカレーを注文した。
 チキンカツカレーの中。 この写真ではサイズ感が伝わり辛いけれど、開口部も深さも普通サイズのボウル程ある。 『大』になると、ご飯は器よりも高くよそわれるそうだ。 kazeさん達が注文した普通サイズが妙に小さく見えるが、これは本当に普通のサイズだった。
takumaさんは序盤から「やばい」を連発しつつも先に完食された。 私は逆に序盤は余裕を見せていたが、後半に怪しくなりつつも完食。 これで十二分に補給は出来た。 ここまで米断ちをしてきた甲斐もある。
しばらくゆっくりしてからお店を出ると、ぱらぱらと小雨が降り始めていた。 雨は酷くもならず、いつしか止んでしまっていた。 ブルベのルール通り、指定されたルートから外れた分を戻り、正規ルートへと復帰する。 鳥取の市街地を抜ける頃には雨は止んでいた。 止んでいたと言うか小康状態だった。 空は漆黒の闇で、雲行きを見計れない。
道がゆっくりと勾配を増してきた。 とは言え、十分にアウターで登れる程度だった。 しばらくはそこそこのペースで進んでいたが、すっかり死んだと思っていたhebochuさんが先頭に立たれた。 そしてその勢いのまま引っ張って行く。
鳥取の市街地を抜ける頃、急に路面が濡れだす。 ついさっきまでかなりの勢いで雨が降っていた様子だ。 夕食をのんびり食べていたお陰で避けられた雨。 しぶきが煩わしいが、それだけ我慢すれば問題は無かった。 ぱらぱらと小雨が降り出す時間帯もあったが、それも短い時間だった。
hebochuさんの勢いはどれ位続くのだろうか? かなりの時間を引かれている。 燃え尽きる前のろうそく…そんな輝きを見ている感じがして、心配になるほどだった。
ピークまであと少し、そこで先頭を交代。 その交代を機会にhebochuさんはじりじりと遅れだされた。 ろうそくの火は燃え尽きたのか? トンネルを前にしてhebochuさんを待つ。 少し遅れてやってきたhebochuさんは意外に元気そうだ。
トンネルからはまだ緩い上り基調の道が続いた。 分岐点にあるコンビニで小休止。 みんな一様に眠気を訴えていた。 私は眠気よりもお尻の痛みが気になりだしていた。 400kmは体力的に問題の無い距離だと思っていたけれど、代わりにお尻が持ってくれるだろうか心配だった。 その心配事が、残り100km以上を残して発生していた。 これから先はまさにダンシングマシーンのごとく、ダンシング…と言うより立ち漕ぎする機会が増えた。
このブルベのサブタイトル、城下町と宿場町。 それがすっかりと頭から抜け落ちていた。 と言うのも、ここまでまるでそれを実感する事が出来なかったからだ。 それを思い出させたのはこれから続くPCだった。 しかし、訪れた時間帯は深夜。 その情景を存分に味わう事無く、それらの町並みは過ぎていった。
takumaさんがぼそりとつぶやいた。 「こんな深夜に一体何をしているんだ?」と。 それを言われると誘った私の居場所が無い。 確かに何をやっているんだ? 進んで苛酷な環境に身を置いている。 苛酷な環境に身を置きながらも得る物はそれに見合ったものじゃない。 だけど、これを乗り越えたと言う経験は大事だと思いながらも「そうですね、何をしているんでしょう?」と応えておいた。
目がしょぼしょぼし出して来た。 しっかりと開けていられない。 集中力も無くなってきた。 これが睡魔と言うヤツか? 自転車に乗りながら味わう睡魔とは、こんな感じなのか。 脚を動かしているから落ちると言う感覚ではなく、ずっと苦虫を噛み潰したような表情をし、機械の様に前のテールランプを追い続けた。
姫路の信号峠を越え、R250から東へと向かう。 案外、信号地獄と言われた、R250から神戸に至るまでは順調に進めた。 夜明けを向かえ、特に見所も無く淡々と神戸を目指す。 早くゴールに辿り着く事だけが頭を支配していた。 限界を迎えたお尻がもうサドルに腰掛ける事を拒否していた。
おそらくメンバーのほとんどが同じ心境だったのだろう。 きつい上りでもないのに立ち漕ぎをする姿が目立つ。 立ち漕ぎをしすぎた所為で、Daichiさんが膝に違和感があると訴えかけてきた。 違和感はハッキリした痛みとなって、クランクを回す事を拒否しだしているようだ。 Daichiさんの風除けを買って出て、少しでも楽をしてもらおうと思うにも、睡魔、お尻の痛みが集中力を削ぎ落としていった。
満身創痍のhebochuさん、膝に故障が発生したDaichiさん、お尻が限界の私。 まだ余裕がありそうなのはtakumaさんとkazeさんくらいか? この二人にしても万全とは言えない筈だ。 最後のPC…実質的なゴール…に辿り着いた頃には安心感よりも、まだ3km強道のりが残っている事が恨めしかった。
ゴールは目前、なのに最後のPCに指定されていたコンビニで補給をし、少し気持ちが落ち着くだけの時間を消費した。 スタート&ゴール地点に辿り着くと緊張していた気持ちの糸がぷっつりと切れた。 周りには空元気を振舞って見せたが、すぐにでも倒れ込みたかった。 まだ私にはtakumaさんを職場に送り届けると言う仕事が残っているので、切れた糸を結び直した。
今回のルート(前半)スタート~べるしい
今回のルート(後半)べるしい~ゴール
 にほんブログ村 ↑楽しくこの記事が読めたと言う方は、このバナーをクリックして下さると私のモチベーションが上がります。
- 関連記事
-
|
|