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回復術士のやり直し~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ 作者:月夜 涙(るい)

第四章:回復術士は魔王を超える

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第六話:回復術士は卵を手に入れる

 黒翼族の村はお祭り騒ぎだった。
 お腹が膨れたので、巨大串焼きを作るために用意された、巨大なたき火の周りで黒翼族たちが踊っているのを遠目に見る。

 黒翼族の作る、内臓の煮込みと串焼きは絶品だった。
 豆で作った調味料で煮込んだ内臓は柔らかい上に、臭みがとれ、甘い味付けとトロリとした内臓が素晴らしく相性がいい。
 串焼きはシンプルに塩をかけて焼いただけのようだが、シンプルゆえのうまさがある。

 イヴの話では黒翼族は大物が獲れると、腐りやすい内臓は全部煮込みにして、二、三日で食べてしまい、柔らかく上等な部位は串焼きにして狩りの当日に盛大に楽しむ。
 そして、残りの部位は保存食にして各家庭に分配されるそうだ。

 昨日は大物二頭だったので、この村全員が腹いっぱい食べられた。
 村中が一気に明るくなっている。
 何人かの村人に、久しぶりのご馳走が食べられたのは、あなたのおかげだと泣きながら頭を下げられた。
 そこまで追い込まれていたのはさすがに想定外で、少し気まずくなった。

「ケアルガ、ありがと。ケアルガのおかげでみんな喜んでるよ」
「どういたしまして。これで俺のことを少しは見直しただろう。これからは親切で心優しいケアルガ様と呼ぶがいい」
「そういうことを言うから台無しになるんだよ!」

 イヴがむすっとした顔で怒鳴ってくる。
 そんなに怒らなくてもいいのに。いつものケアルガジョークじゃないか。
 イヴは顔を背けて、おずおずと手を伸ばしてきた。

「その手はなんだ? 小遣いでもほしいのか?」
「違うよ! ケアルガは私のこと好きなんでしょ。だから、踊ってあげる」

 ダンスの誘いか。
 楽しそうではある。

「あの踊りは初見だ。リードを任せていいんだな?」
「任せて。踊りは得意なんだ」

 俺はイヴの手をとる。
 イヴは翼を広げていた。
 ブラニッカではいつも翼を隠していた。こうしてみると……。

「イヴの翼は綺麗だな」
「なっ、いきなり、変なこと言わないでよ! エッチ!」
「エッチなことは否定しないが、意味がわからないぞ」

 褒められると恥ずかしいものを、こうして晒している黒翼族は、いろいろと問題があるのではないだろうか?

「もう、はやく行こう」

 イヴは照れ隠しに手をひっぱりせかしてくる。
 立ち上がり、ついていく。
 背中から視線を感じた。

 セツナたちが俺を期待を込めた目で見てくる。
 わかっているさ。ちゃんと、あとでセツナたちとも踊ろう。
 俺は所有物おもちゃを大切にするご主人様だ。

 ◇

 食べて、踊り、宴は終わり借りている家に戻っていた。
 全員と踊ると体力に自信がある俺でも疲れる。……でも楽しかった。
 借りている二つ部屋があって、今日可愛がる女と俺。それ以外といつもの部屋割りだ。

 明日からも、またレベル上げを兼ねて森に行こう。
 ついでに食料を手に入れる。
 塩漬けにすれば、一年近い間保存がきく。
 俺たちが居なくなっても、黒翼族たちがしばらく食事に困らないようにするのも悪くはない。
 幸い、岩塩が近くで採取できるらしく塩には困っていない見たいだし。

「ケアルガさまぁ」

 甘ったるい声で、セツナが俺を呼ぶ。すでに服を脱いで大事なところを白い尻尾で隠している。こういう仕草はなかなかそそる。
 今日はセツナを可愛がってやっている。
 やっぱりセツナはいい。安心感があって一番馴染む。
 それに可愛らしい。
 白い狼耳を甘噛みすると、嬌声を上げた。
 ついでに尻尾を可愛がってやる。

「ちゃんと、おまえも愛しているからな」

 セツナは体の刺激も好きだが、愛してやると言われるとひと際喜ぶ。
 この反応を見るのがなかなか好きだ。

 そして、部屋の隅でそれを見つめている少女が一人。
 イヴは強制されているわけでもないのに、ちゃんと見に来る。
 俺とセツナを見ながら内股をこすっている。
 理由はわかる。

 隠れ見ていたころは、自分で自分を慰めていたが、こうしてオープンに見ている状況だと、自分を慰めることができない。なにせ、さすがのイヴでも俺が見ている前で、そういうことができないのだ。

 高まっているのに、触れないという状況は今まで以上にずっともどかしいだろう。
 狙い通りだ。

 セツナを可愛がってやったあとは、イヴの番だ。
 今日は、以上に高まっている上、前に俺の手で可愛がられた実績があり、さらには好感度もうなぎのぼり。
 そうだな、今日は舌で可愛がろう。
 それが終われば、次は一歩手前、スマタぐらいはやらせてもらい、その次は……いよいよ食べてしまおう。先は長いが確実に進んでいこうじゃないか。

 ◇

「ケアルガ様。好き」

 セツナがぐったりとして、呆けた顔でつぶやいた。
 足腰が立たなくなるまでセツナを可愛がってやった。

 彼女に毛布を掛けてやる。キスをすると、セツナは幸せそうに微笑み眠りにつく。

「イヴ、待たせたな」
「まっ、待ってないもん! 全然、変なこと考えてないから」

 真っ赤になって否定するが、いろいろと説得力がない。
 俺は苦笑して、後ろから抱きしめて服の中に手に入れイヴを弄る。
 大事なところを刺激していく。

 イヴは否定せずに身をゆだねる。だいぶ、出来上がっているようだ。俺の手にいちいち反応する。

「イヴ、キスをしようか」
「キス、駄目だよ。そんなの」
「友達以上、恋人未満だろ? それにここまでやったんだ。キスも、いいだろう。知ってるか、キスも気持ちいいんだ」

 後ろから抱きしめているせいで、イヴの顔は見れないが耳まで真っ赤だ。
 つい、さっきセツナとたっぷりと濃厚なキスを見せつけたので、興味津々なんだろう。

「ねえ、ケアルガ、ケアルガは私のこと好きなんだよね」
「そうだ。だから、こうして大事にしてるんだ。好きでもない女のためにここまでしない」

 イヴだからこそ、薬で頭をパーにするなんてことをせずに、こうして段階を踏んでいるのだ。

「なら、いいよ。キス、しても。ケアルガのこと、嫌いじゃないし」

 お姫様の許しが出た。
 イヴの体をひっくり返してこちらを向かせる。
 イヴの眼は潤んでいた。とてもエロい。

「ありがとう。じゃあ、キスをしようか」

 唇を合わせて、そして大人のキスをした。
 たっぷりと、キスの良さを教えてあげる。
 イヴの背筋がぴんと伸び、次に弛緩する。
 さて、夜は長い。
 挿入以外のありとあらゆる方法で、イヴを可愛がってやろう。

 ◇

 目を覚ます。
 ううん、いい朝だ。
 昨日は満足した。まさか、イヴのほうからあんなサービスをしてくれるとは。

 次の夜が楽しみだ。
 そんなことをしながら、朝の奉仕をセツナに受ける。
 朝は交代制ではなく、セツナだけに任せる、彼女の特権だ。
 イヴはまだ。ぐっすり寝てる。
 奉仕が終わると、セツナが口を開く。

「ケアルガ様、今日はどうするの?」
「昼はレベル上げだな。そして夕方からミルじいとやらのところに行く。イヴは神鳥の試練のことは知っていてもその内容まで知らなかった。情報をできるだけ集めたい」

 おおまかには聞いている。
 神鳥の試練は、神鳥がまき散らす病を乗り越えるものらしい。
 俺の【回復ヒール】があれば容易くこなせるだろう。
 だが、念には念を入れたい。集められる情報はすべて集める。

「ん。わかった、じゃあセツナはみんなを起こしてくる」

 セツナが服を着て、部屋を出て行った。
 さて、俺も朝食を作るとしようか。
 精をでるものを作らないと。みんなを可愛がってやれないからな。

 ◇

 気が付けが夕方になっていた。レベル上げと食料確保を兼ねた狩りを終えて村に戻ってきたところだ。
 それに、偶然見つけた山ぶどうとコケモモも採取してある。

「久しぶりにお菓子が作れるな。セツナたちを喜ばせてやれそうだ」

 これと、村から分けてもらった小麦と山羊の乳。それだけあれば、甘いパイが作れる。
 久しぶりにお菓子が作れる。女の子は甘いものが好きだ。きっと喜んでくれるだろう。

 獲物を村の人たちに渡した後、俺はミルじいの屋敷に向かった。
 朝に、夕方に時間を作ってほしいとはお願いしている。

 あまり、大人数で押しかけても迷惑なのでイヴとフレイアだけを連れ、セツナとエレンの二人は置いてきた。

 今頃、セツナがエレンを鍛えているだろう。
 エレンは才能はないが、根性はある。日に日に体力をつけ始めていた。一月もすれば、旅についていけるぐらいには育つだろう。

 ミルじいの屋敷に着くと、客間に通される。
 五分ほど待つと、ミルじいがやってきた。手には木箱がある。

「これはケアルガどの。わざわざご足労いただき申し訳ない」
「いえ、こちらこそ突然押しかけてしまって申し訳ない……さっそくですが本題に張ります。俺たちは神鳥の試練を受け、神鳥カラドリウスを手にいたい。そのために伝承など、神鳥の試練の内容が残っていないかを聞きにきました」

 ミルじいは考え込む仕草をする。
 他の村人から聞いたが、彼はこの村の長老だ。
 彼以上に神鳥について知るものはいない。

「いくつか伝説が残っています。いわく、試すのは体の強さもそうですが、なにより心と。心が強くないと試練を超えることは叶わず……具体的なものは残っておりません。なにせ、挑んで帰ってきたのは、リース家の初代のみであり情報を得ることができないのです」

 試すのは心か。
 なるほど、面白い。

「いえ、十分です。ありがとうございます。参考になりました」

 心の強さか、繊細な心を持った俺にとってはなかなか厳しい試練だ。
 だが、覚悟があれば耐えられるだろう。

「力になれたのなら良かった。……そして、ケアルガ殿、受け取ってほしい物があるのです」

 ミルじいが、木箱を前に差し出してくる。
 この部屋に彼が持ち込んでいたものだ。先ほどから妙に気になっていた。

「開いてもいいですか?」
「どうぞ。そのために持ってきたものです」

 俺は木箱を開く。
 中身には、大量の藁と護符を張った卵があった。

「これは、なんでしょうか?」
「神鳥の卵です」
「なっ、そんな貴重品を頂けるのですか?」

 もし、本当に神鳥の卵なら値段がつけられないほど貴重なものだ。
 神鳥の試練を受けなくても、これを育てれば神鳥が手に入る。

「ええ、あなたはこの村のために骨を折ってくださった。なにより、イヴ様があなたを信頼している。もとより、私はイヴ様の父親。アムダ様より、いつかイヴの夫になるものが現れれば、これを託してくれと頼まれておりました」

 それを聞いて、イヴが顔を赤くする。

「ケアルガとは、まだ、そういうのじゃないから!」

 ほう、”まだ”か。嬉しいことを言ってくれる。

「幼いころからあなた様を見ていた、このミルにはわかります。この方がイヴ様にとって特別な人であることを。そして、あなたもイヴ様も愛していると言ってくださいました。そんなあなたに、この卵を託したい」

 俺を信じてイヴと宝を託すなんて、なかなか見る目がある人だ。
 この申し出はうれしい。
 だが、どうしても引っかかることがある。

「……なぜ、黒翼族はこの卵を使わなかった? 神鳥に成長させて使役すれば、ここまで魔王どもに追い詰められることはないだろうに」

 こんな、どうみても戦力になりそうなものを放っておく理由がわからない。

「我々では孵すことができなかったのです。この卵は魔力を喰らい成長します。それも、最初に喰らった者の魔力しか受け付けません。神鳥ですら一度に育てられる卵は一つだけ。一つの卵を育てている間に別の卵が産まれると、その卵を捨ててしまうのです。……そうやって捨てられたのがこの卵です。すでに村中のものが試しましたが、この卵を育てられるだけの魔力を持つものはいませんでした」

 なるほど、だから利用できずに宝としてだいだい受け継いできたというわけか。

「ありがたくいただく。あなたたちが祭っている神鳥も手に入れるが、こいつも無事孵して手に入れよう。神鳥が二匹なら、なお心強い」

 最悪、俺でも孵せない可能性があるが、その場合はフレイアに任せよう。【術】の勇者にして世界最強の魔術士。フレイアでだめなら、もうどうしようもない。

「一つ訂正を、神鳥の卵から生まれるのは神鳥ではありません。神と呼ばれる魔物たちは、神格を生むのです。神鳥の卵が喰らうのは魔力だけではなく、漏れ出た心、想い、その結果、卵を育てたものにふさわしい神格となる。その姿と性質はまさに千差万別」
「ほう、面白い」

 俺の影響を色濃く受けた神格の魔物か。
 きっと、俺に似て天使のような魔物が生まれるな。今から育てるのが楽しみだ。

「では、ありがたくいただきます」
「はい、ケアルガ殿にイヴ様とこの卵を託します。常に肌身離さず持っていてください。そうしていればケアルガ殿から漏れ出ている、魔力、精神力、気、そのすべてを喰らい、ケアルガ殿にふさわしい神格に成長する故……ちなみに、持ち運びに気を付ける必要がありません。全力で床に叩きつけようがびくともしないほど丈夫なので」
「わかりました。これからは肌身離さず持ち運びましょう」

 専用のリュックをあとで作ろう。
 名前も考えておかないといけない。
 あとでセツナたちにも相談しよう。俺たちの新しい仲間だ。

 神鳥の情報だけでなく、思いもよらないお土産までもらってしまった。
 神鳥の試練の日はもうすぐだ。
 この調子なら、あっさりと神鳥を得て、魔王を攻めることができる。
 なかなか順調だ。
 ……ただ、俺の勘が言っている。こういうときに限って厄介ごとはやってくるのだ。 
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