スティーブ・ジョブズ亡きいま、人類の代表はベゾスだろう
「ジェフ・ベゾス果てなき野望」を半分くらい読んだ
アマゾン・ドット・コムには以前から興味があったし、2015年くらいからは「世界ではじめて時価総額1兆ドルになるのはアマゾン・ドット・コムだ」と主張していた。
まあ、初の1兆ドル企業はアップルかサウジアラムコかといった状態なので予想は外れたが。
ジェフ・ベゾス果てなき野望は、アマゾン・ドット・コムについて書かれた最も有名な書籍だと思う。結構分厚い本なのだが、今日読み始めて半分くらい読み終わったところだ。
ベゾスはもともとウォール街で働いていた金融のエンジニアなので、この本の中にはウォール街の話題がよく出てくる。ビジネス書を読んでいるとなんの脈絡もなく高頻度で出現するウォール外の企業には脱帽だ。
アマゾンのビジネスモデルは金融と同じ
金融は「資金の融通」の略である。アマゾン・ドット・コムのビジネスはまさに「資産の融通」であり、省略するところが違えば「資融」で金融と全く同じになっていたところである。
これは個人の考え方なので、世の中のすべての人が「資産の融通」というビジネスモデルだとは考えていない。しかし、私にはそう見える。
仕入れ能力の融通
創業当初のアマゾンは書籍のオンラインストアだった。しかも、世界初のオンラインブックストアですらなく、他社の後追いだった。
しかし、当初からほかのオンラインブックストアとは考え方が異なった。一般的なオンラインブックストアが「本を販売するサイト」という認識であったのに対して、アマゾン・ドット・コムの認識は「買い物についての客の判断を助けるサイト」だった。
私は創業期のアマゾン・ドット・コムを「仕入れ能力を融通する会社」だと考えている。
仕入れ能力を融通するとは、仕入れるかどうか(購入するかどうか)はカスタマーにゆだねられており、仕入れ能力を融通してもらうことで他店より安くかえるということを意味する。アマゾン・ドット・コムは販売で儲けているのではなく、仕入れ能力を融通することで儲けている。
サイトの融通・倉庫の融通・サーバーの融通
アマゾン・ドット・コムが融通したのは仕入れ能力だけではない。
「マーケットプレイス」という仕組みを作って、自社の販売ページをほかの小売業者に融通した。アマゾン・ドット・コム以外の小売業者が、ウェブページという資産を融通してもらって商売をする。アマゾン・ドット・コムは、ウェブページという資産を融通することで儲ける。
倉庫も同じだ。アマゾン・ドット・コムには、中小メーカーに自社の倉庫を貸し出して、注文があれば自社の倉庫と物流システムを使って配送するという仕組みがある。倉庫という資産を融通することによって儲けているのだ。
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)も同じである。Amazon.comという巨大なサイトを快適に動かすために、アマゾン・ドット・コムは巨大な自社サーバーを持っていた。顧客が増えるにつれてサーバーの強化が必要になったが、アマゾン・ドット・コムは必要以上のスピードでサーバーを強化した挙句、サーバーの貸し出しを始めた。
現在、利益の半分以上がAWSによって稼がれているが、これはサーバーという資産を融通しているのである。
最強の融通企業「アマゾン・ドット・コム」
アマゾン・ドット・コムは、規制も限界もない「融通」という市場で戦っている。いずれは、火星への運送能力を融通するようになるのだろう。
ウォール街の企業は、「融通」という市場のうち資金の部分だけを担っていてもあれだけ成長しているのだ。あらゆる「融通」という市場に乗り出すアマゾン・ドット・コムが成長しないわけがない。
私には、クラウドの成長が云々、グーグルがクラウドの投資を強化している云々というのは、アマゾン・ドット・コムにとってすごく些細なことだと思う。人類の代表と呼べるであろうジェフ・ベゾスが目指しているのは、無限の市場である「融通」の市場なのだ。