【シリコンバレー=小川義也】米グーグルは10日、人工知能(AI)と人間の正しい“付き合い方”を研究する新プロジェクト「PAIR(ペア)」を立ち上げると発表した。技術的性能の向上に焦点が偏りがちだった従来の研究手法を見直し、人間にとっての使いやすさや透明性などを重視した「人間中心」のAI研究を目指す。
「PAIR」は「People+AI Research」の略。グーグル社内の研究者や技術者に加え、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らも参加する。
人間の脳をまねた「深層学習」と呼ぶ情報処理手法の研究が進み、最難関の知的ゲームと呼ばれる囲碁で人間のプロ棋士を破るなど、AIはめざましい進歩を遂げている。一方で、与えられた目的と枠組みの範囲内とはいえ、自ら学習し行動するAIには「暴走」の懸念も高まっている。
新プロジェクトはブラックボックス化の懸念が指摘される最新AIの“頭の中”を解明するツールを開発・公開するほか、人間社会に潜む偏見をAIが受け継ぎ、特定の人々が不利益を被らないようにする対策などを研究する。
同様の取り組みは米マイクロソフトや、起業家のイーロン・マスク氏らが支援するNPO(非営利組織)「オープンAI」なども推進している。