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 安倍首相の友人が理事長をつとめる加計学園の獣医学部新設をめぐる政策決定は、公平・公正に行われたのか。衆参両院の閉会中審査が開かれた。

 前川喜平・前文部科学事務次官が参考人として出席し、「規制改革のプロセスが非常に不公平で不透明だ。初めから加計学園に決まるように進められたと見える」と指摘。「背景に官邸の動きがあったと思っている」と述べ、和泉洋人首相補佐官の名前をあげて「直接指示を受けた」と語った。

 国会の場で、国民の代表の質問に答えた重い発言である。

 和泉氏の言い分はどうか。その言葉も聞き、前川氏の主張と突き合わせて真実を探る。それが本来の道筋のはずだ。

 しかし残念なことに、きのうの国会に和泉氏の姿はなかった。野党が求めた和泉氏の出席を与党が拒否したからだ。これでは何が本当なのか、国民は判断のしようがない。

 首相は国会閉幕後の記者会見で「何か指摘があれば、政府としてはその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たす」と語った。その国民への約束はどうなったのか。

 さらに問題なのは、首相自身が不在だったことだ。

 そもそも自民党は閉会中審査の開催自体に後ろ向きだった。都議選惨敗を受けて、ようやく受け入れたが、首相の出席は拒み続けた。

 一連の問題で問われているのは、首相自身や萩生田光一官房副長官、和泉補佐官ら側近の関与の有無である。外国訪問中の首相の帰国を待って開くのが当たり前ではないか。

 本紙の最新の世論調査では、内閣支持率は33%に下落した。不支持率は47%だった。加計問題に対する安倍政権の姿勢を「評価しない」と答えた人は74%にのぼった。

 説明責任から目を背けようとする首相をはじめ政権幹部の姿勢が、国民の不信を招いていることは明らかだ。

 加計学園を特区の事業主体に選ぶ過程にどう関わったのか。首相はもちろん、和泉氏ら官邸や内閣府などの関係者は、前川氏と同様に、国会の場で国民の疑問に答える責任がある。

 国民が納得できる審議を尽くすには、十分な時間が必要だ。憲法53条に基づき、野党が求めている臨時国会召集に、安倍内閣は直ちに応じるべきだ。

 自民党自身、野党だった5年前にまとめた憲法改正草案では、少数者の権利を守る観点から、要求から「20日以内の召集」を内閣に義務づけていることを忘れてもらっては困る。

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