2017年07月07日

食遊上海404 『敦煌楼蘭州清真牛肉拉麺』 - 宿願!十人で羊の丸焼きを喰らう!!

新たな若手駐在員の赴任を受けて、若手10名(に僕も入れてくれ)で歓迎会をすることになった。せっかくの大人数だ、それを活かした店選びをしたい。

そこでふと思いついたのが、烤全羊(羊の丸焼き)である。ネタとしては完璧だし、主賓に中国の羊肉の旨さを知ってもらうことも出来る…と理由付けしたが、実のところ、僕が食べたかっただけである。

中国歴もそこそこ長くなってきたが、なんせ友達が少ないので、これまで大勢でないと頼めない烤全羊を食べる機会は、11年前の内蒙古草原ツアーでの一度しかなかった。これだけの人数が集まり、しかも好き勝手に店を手配していい機会など、今後滅多にあるまい。これを逃してはいけない。

烤全羊は別に上海の名物ではないが、調べたところ、出している店は結構あった。価格はどこも1000〜1300元で、人数は15人くらいが理想のようだ。今回は10人しかいないけど、そこは目をつぶろう。だって、一人当たりの値段は高くてもたったの130元(約2100円)だ。大した負担ではないし、余ったら持ち帰ればいいではないか。

更に調べたところ、上海で食べられる烤全羊は、二種類に分けられるようだ。1つは、羊の頭を落として腹開き(?)にし、2本の鉄棒に足をくくりつけて焼くタイプ。もう1つは、頭は落とさずに、生きているときの姿のままオーブンで丸ごと焼き上げるタイプ。どうせ喰うなら後者の方が面白そうだよな。

上海には前者の店が多いようで、後者の店をターゲットにしたら、一気に候補が絞られた。そこで引っかかったのが、『敦煌楼蘭州清真牛肉拉麺』だ。上海で最も本格的な蘭州牛肉麺と甘粛料理を出す店として、以前、何度か紹介したことがある(→過去記事

そうか、この店でも烤全羊を出していたんだな。これはいい、この店なら羊以外の料理も美味しいし、羊そのものも美味しく仕上げてくれるに違いない…と、会場選びは終了。すぐさま予約の電話をかけた。実のところ、前者の烤全羊を出す店は、チェーンのBBQ専門店ばかりで全然そそられなかったというのも、後者をターゲットに据えた理由だった。

さて、当日。酒は甘粛省の地ビール・黄河啤酒と、持ち込んだ白酒が数本だ。

↓黄河啤酒。
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↓白酒たち。
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ビールで喉を湿らせていると、早速、主役の烤全羊が登場した。

↓どーん!!烤全羊!!!
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うわはははは、期待通りの豪快なお姿!剥き出しになった臼歯が草食動物としてのアイデンティティを主張している。しかしまあ、これにリボンを巻いたり花をくわえさせるセンスが実に素敵だ(笑)。

「これはすごい!!」
「テンション上がりますね!!」
「頑張って食べましょう!!」

ここでテンションが下がるメンバーが一人もいなかったことは、実に喜ばしい。

↓歯軋りする羊さん。
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大騒ぎする僕らの声でこっちに振り向いた他のテーブルの中国人客も、見開いた目が釘付けになっていた。でも、その後すぐに店員を呼び寄せて、「あれ、いくらだ?」と聞くあたりはさすがとしか言いようがない。

撮影大会がひと段落すると、北京ダックと同じように、コックが羊を切り分け始めた。上手い具合に包丁で骨から肉を外し、部位ごとに盛り付けてくれる。まだ若いコックだったが、手付きは確実で、安心して作業を任せられた。

↓手慣れた解体。
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で、それぞれの皿をまとめたのが下の写真なのだが、食べていたときも今も、どれがどこの肉なのだか、さっぱり分からない(笑)。

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ただ、はっきり言えるのは、「どこの部位も旨かった」ということ。総じて柔らかくジューシーで、脂身の多い部位では羊の香りを楽しみ、肉だけの部分では肉自体の旨さを堪能した。

↓肉。
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↓肉。
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↓これも肉。
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↓またも肉。
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↓卓上が全部、肉(笑)
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「これは美味しいですね!」
「すさまじい肉の量ですが、ビールも白酒も進みますね!」
「食べても食べてもまだある、という安心感がいいです!」

メンバーのテンションも過熱気味だ。

そうそう、塩味の付いた羊肉はそのまま食べても旨いが、下の写真のような薬味を付けると、味が変わってまた箸が進む。唐辛子粉、花椒粉、クミンの粉、唐辛子粉と塩など。生の白葱や赤玉葱もいいアクセントになる。

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因みに、歯を食いしばっていた頭も飾りではなく、舌や目玉や脳みそもちゃんと出てきた

舌は歯応えがよくクセのない味で、牛肉のタン感覚で食べられた。目玉は思ったより汁気も弾力もなかったが、ムニッとしたゼラチン質という感じで悪くない。脳みそは、ややパサパサした白子というところ。オーブンで焼くという調理法は、脳みそを食べるには適していないのかもしれない。

↓目。
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↓脳みそ。
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15人で食べるのが普通の烤全羊を10人で食べようというのだから、それ以外の料理は全て野菜料理にした。

下の写真の左上から右に、小茴香拌杏仁(ウイキョウと杏のさねの和え物)、酸辣土豆絲(じゃが芋細切りの酸っぱ辛炒め)、涼拌山椒芽(山椒の芽の和え物)

中央は、荷塘月色(サヤエンドウ、木耳、山芋の炒め物)、潤肺百合(百合根の冷菜)

下段は、虎皮青椒(獅子唐の醤油炒め)、蒜蓉油麦菜(ムギレタスの大蒜炒め)、韭黄炒蛋(黄韮と卵の炒め物)、白灼芥藍(茹でカイラン)

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この戦略が大成功。僕がわずかに持ち帰った分を除いて、丸ごと一匹の羊を見事十人で食べ尽くすことが出来た。大量の野菜があったからこそ、大量の肉を消費できたのだ。注文のバランスは、やはり大事だ。

しかも、主食を食べる余裕まであった。冒頭にも書いたとおり、この店は上海で最も本格的な蘭州牛肉麺の店なので、本場同様、麺の太さや形状を8種類から選べる。さすがに全て頼む余力はなく、10人で3種をシェア。左から二細(やや細)、三棱(三角形)、大寛(極太)だ。

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「おお、太さで全然印象が変わるなあ」
「これは面白い!」

〆まで、皆のテンションは下がることがなかった。

この頃には白酒もすっかりなくなって、泥酔の満腹!月曜日だったので潔くお開きにし、丸ごと羊の宴は綺麗に幕を閉じた。数年来の宿願が適って、僕としても満足。羊の本場の西北地方で食べたらもっと旨いのかも知れんけど、十分美味しかった。

私も食べてみたい!という人は、十人集めて、GO!この店の烤全羊は、1288元(約2万円)。事前予約必須なので、ご注意あれ!


<2017年4月> ■店舗情報■

↓P.S. 持ち帰った羊は、翌日香菜と炒めて莞爆羊肉にしましたー。
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