ギャンブル依存症の対策を巡り、警察庁はパチンコの出玉の上限を現在の約3分の2に規制する方針を固めた。パチスロも同じ水準に規制強化する。ギャンブル性を抑える狙い。11日からのパブリックコメント(意見募集)を踏まえ、風営法の規則などを改正、来年2月1日の施行を目指す。
警察庁は、依存症対策に取り組むNPO法人「リカバリーサポート・ネットワーク」への相談者の7割は1カ月の負け金が5万円以上である点に注目。1回の標準的な遊技時間とされる4時間で獲得できる出玉が5万円分を下回る新基準を設け、負け金をまとめて取り戻せないようにする。現行の基準と比べると、出玉の上限は約3分の2になるという。
「大当たり」の出玉も規制を強め、現行の9600円相当から6千円相当まで引き下げる。「大当たり」の連続回数の上限もこれまでの16回から10回に減らす。
警察庁の担当者は「一発当てて取り戻そうというインセンティブをなくすことで、過度にのめり込むことを防ぐことができる」と説明している。
負け分についても現行は10時間で発射した玉数の2分の1を下回らない基準だったが、新たに1時間で3分の1、4時間で5分の2を下回らないように基準を設けた。
パチスロの獲得メダル数も「大当たり」の際に現行の480枚から300枚に引き下げる。
カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)が昨年12月に成立したことを受け、政府はギャンブル依存症全般に関する対策を検討。警察庁は業界団体と意見交換などして改正案をまとめた。意見募集は8月9日まで。
日本生産性本部のレジャー白書などによると、パチンコの遊技参加人口は2015年に1070万人で、1989年(2990万人)の4割以下となっている。