マネー研究所

ヴェリーが答えます

今回適用される配当所得の節税とは? 住民税から申告

2017/2/28

 「今年度の税制改正大綱から適用できる上場株式の配当所得の節税策について詳しく教えてほしい」(大阪府、50代男性、ほか多数)
マネーを呼ぶ「マネ~き(招き)猫」のヴェリーが、読者の疑問を解決します。

 12日付の日経ヴェリタスの連載ドラマ「人生これから」で、2017年度の税制改正大綱で明確になった節税策を紹介したところ、読者から大きな反響がありました。上場株式の配当所得への課税に関して、所得税は他の所得と合算して申告する総合課税を選ぶ一方、住民税は「申告不要」にすれば、課税所得が900万円以下の人なら、それまで最も有利だった方法よりも税率で約2%お得になる、というものです。

 この節税策は現行の地方税法でも可能でしたが、今回の税制改正大綱でその解釈が改めて明確になりました。法改正を伴っているわけではないため、16年分の所得に対する確定申告、つまり今回分から適用できます。注意すべきは、税務署に所得税の確定申告書を提出する前に、住民税の申告書を市区町村の税務申告窓口に提出する必要がある点です。

 もっとも、地方税法の解釈が明確化されたことをまだ把握していない市区町村の税務申告窓口も多いようです。もし市区町村の税務申告窓口の担当者と話しても受け付けられない場合は「その窓口に対し、都道府県の市町村課に問い合わせて解釈の明確化を確認してほしいと要望してみる」(地方税法を所管する総務省の自治総務局市町村税課)とよいかもしれません。

 配当所得の多い人にとっては魅力的な節税策かもしれませんが、周知徹底されるまでにはまだ時間がかかりそうです。今回の解釈の明確化は個人住民税が対象です。所得税の確定申告を受け付ける税務署は無関係なので税務署に問い合わせても関知していない可能性は高いです。

[日経ヴェリタス2017年2月19日付]

マネー研究所新着記事