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回復術士のやり直し~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ 作者:月夜 涙(るい)

第四章:回復術士は魔王を超える

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第一話:回復術士はブラニッカと友に別れを告げる

 俺の目の前で、裸のセツナとノルン姫が折り重なって気絶している。
 ううーん、いいことがしたあとは気持ちがいい。
 ノルン姫は、俺の妹であるエレンに生まれ変わってもらったが、まだまだ悪しき心が胸の中に渦巻ている。

 特に亜人や魔族に対する差別意識を消す必要があった。
 そのため、亜人であるセツナと一緒にたっぷりと可愛がってやり、亜人も人間も一緒だと思い知らせる必要があった。

 最後には亜人であるセツナと舌を絡めたり、いろいろと絡み合ったので、もはやノルン姫の心には差別心はない。亜人も人間も、俺のち○この前では、ただの雌だと気付いてくれただろう。

「さてっと、今後のことを考えないとな」

 二人をぼうっと眺めながら、いろいろと考える。
 二人が眠っているのをいいことにちょっとしたいたずらをする。これがなかなか楽しくて辞められない。舐めたり、つついたり、いろいろだ。
 ノルン姫を手に入れることができ、ブラニッカに来た目的である情報収集もできた。

 旅支度は整えたし、路銀も十分に稼げている。これ以上ブラニッカにいる意味もない。そろそろ旅立ちのときだ。

 金なんてなくても、俺のサバイバル能力があれば生きていくだけなら森の恵みでなんとかなる。
 とはいえ、俺は甲斐性があるご主人様なので、所有物おもちゃたちに苦労をさせるつもりはない。

 所有物おもちゃに愛着もわいてきたし、快適な暮らしをさせてやりたいのだ。

 本音を言えば、初めのころ、フレイアあたりには男の相手をさせて、金を稼ごうぐらいは思っていた。
 俺のために、薄汚い男たちに股を開く王女フレアを眺めてあざ笑うのは、なかなか楽しい余興だと思っていたのだ。
 だけど、フレイアとなり共にすごしているうちに、あの女が可愛くなってきた。
 今となっては、俺以外の男に触れさせるのはどうしようもなく苛立つ。

「まさか、俺は丸くなってきているのか? くそ、優しく正義感が溢れ、清い心をもった俺だ。十分ありえる」

 怖くなった。
 俺の復讐心が薄れている?
 ありえない。

 憎い、殺してやりたい。
 俺を苦しめたあいつらをぐしゃぐしゃにしてやりたい。
 大丈夫、まだこの胸の炎は消えていない。

 最後に残った【砲】の勇者を殺す。
 それもただの殺すだけじゃ、飽き足らない。
 あのサイコパスのショタ専門のホモ。

 愛していると言いながら、俺のケツを掘り。
 少しでも気に入らないと、『どうして、こんなに愛して優しくしてやってるのに、言うことは聞かないんだ!』
 と、常人なら死んでしまうほど殴られた。

 ……薬物耐性を得て正気に戻ってからは本当に地獄だった。
 目的のために、狂った振りをしていたが、あいつと二人きりになっているときは、狂っていたほうが楽だったと何度も思っていたほどだ。
 罪状で言えば、ノルン姫と同じく殺すだけではなく、所有物にして弄ばないといけないのだが、あのホモを所有物にしても楽しくないので殺すしかない。まったく、あのホモはどこまでクズなんだ!

「どうせ、そう遠くないうちに会えるだろうな」

 フレア王女に続いて、ノルン姫までさらわれた。
 ジオラル王国の威信は地に落ちた。それをやつらは許さない。

 フレア王女が現れたことで、今回も俺が糸を引いてることは向うにも伝わっているはず。
 必ず【砲】の勇者ブレットを呼び寄せるだろう。
 そして、三英雄のうち残り二人も。そこを狙うのだ。
 それには時間がかかるだろう。
 そのためにも……。

「まずは【賢者の石】だな」

【砲】の勇者の足取りを追うのは難しい。他国にいる勇者の情報はなかなか手に入らない。
 だから、おびき出すという手段を選んだ。
 その待ち時間を使って現魔王を倒して、心臓を抉って手に入れよう。
 あれがあれば、最悪失敗しても時間そのものを【回復ヒール】してやり直せる。

 そのために黒翼族の使い魔たる神鳥を従える。
 魔王と挑む以上、戦力は少しでも多いほうがいい。神鳥は【砲】の勇者を相手にするときにも役に立つだろう。

 今日一日だけ、この街で過ごして明日出発だ。
 そういえば、剣聖はどうしているだろうか?
 あれだけ、男を教え込んだんだ。体がうずいてしょうがないはず。
 どこかで一度可愛がってやろう。

 ◇

 昼間から酒場にいた。
 カルマンが死ぬ前にいくつかのおすすめの店を教えてくれている。
 その中で、まだ来れていなかった店だ。

「うわぁ、ケアルガ兄様。すごいご馳走ですね」
「エレン、はしゃぎすぎ」
「そういうセツナだって。エレンもセツナも子供だよね」
「「おまえが言うな」」

 エレン、エレン、イヴのお子様三人組がはしゃいでいる。
 エレンを俺の妹だというと、気を使って仲良くしてくれている。
 タイプの違った美少女三人がこうしてにぎやかにしていると、華々しい。

「ケアルガ様、だいぶ仲間が増えましたね」
「そうだな」

 最初は、【術】の勇者フレア、いやフレイアと二人だけで始まった旅立った。
 だが今は、氷狼族の天才セツナ。
 黒翼族の魔王候補イヴ。
 そして、ジオラル王国第二王女にして軍略の天才エレン……もといノルン姫。
 この三人が加わり、別行動をしているが剣聖クレハもいる。

 こうしてみると、そうそうたる面々だ。
 全員がすさまじい才能を持っているし、美少女であっちの具合もいい。

 きっとこれも俺の人徳によるものだろう。
 正しい行いを続けている俺に、神様ががんばれと言ってくれているのだ。

 ただ、最近辛くなってきたのもある。
 いくら俺でも体がもたない、あれが渇く暇もないのだ。
 お気に入りかつ、レベル上限上げが必須なセツナは毎日可愛がることにして、他は日替わりにしよう。
 そっちのほうが飽きが来なくて良さそうだ。

「ケアルガ様、なにか考えごとをしていますか?」
「ああ、どうしたらもっとみんなが幸せになれる世界を作れるかって考えていたんだ」
「世界平和ですね。素敵です。ケアルガ様!」

 嘘は言ってない。
 世界は俺のためにある。
 俺の幸せはこの世界の幸せだ。

「みんな、明日にはこの街を出る。食べたいものは全部注文していいぞ」

 そう言った瞬間、セツナとイヴの欠食児童組が目の色を変えて注文を見る。
 二人とも、育ちがいいのでちゃんと文字が読める。
 次々に注文していく。

「あの、セツナさん、イヴさん、そんなに頼んで食べきれるのでしょうか?」

 おずおずとエレンが声をかける。

「五人もいる。一人当たりの量は少ない」
「エレンは飢えを知らないんだよ。ふふふ、食べれるうちに食べないと」

 二人の真剣な顔が面白くて、笑ってしまった。
 好きなだけ頼むといい。
 楽しんだ分だけ、体で払ってもらうが。
 そうして、豪勢な昼食タイムが過ぎて行った。

 ◇

 なかなか、楽しめた。
 そして、昼食が終わってから旅支度を再度整えた。
 エレンが新たに増えたので、いろいろと必要なものが増えていたのだ。

模倣ヒール】を使い、記憶をあさっているが、ノルン姫は戦いの経験がまったくない。
 頭脳には期待できるが、戦力としてはまったく期待できない。
 とはいえ、最低限の自衛能力は身に付けてもらわないと困る。
 しばらくはフレイアやイヴと一緒に、セツナ教官の地獄の特訓に参加してもらおう。
 多少は動けるようになるだろう。

 ◇

 そして、次の日。
 いよいよブラニッカを出る日だ。

「久しぶりだな。ラプトル。また、頼むぞ。それから新入りもな」

 ラプトル二頭が泣き声をあげる。
 もともと、セツナとフレイアと俺。三人でいっぱいいっぱいだった。

 イヴとエレンが加わったことで一頭ではどうしようもなくなった。
 なので、もう一頭ラプターを購入した。
 ラプトルは同種族で縦社会を構成する習性がある。

 強力な個体がいると、後から購入した個体も言うことを聞く。俺たちと旅をしてきたラプトルは鍛え上げられており、すでに後輩を舎弟にしていた。

「セツナ、ラプトルを操れるよな?」
「ん。任せて……でも、かなしい。ケアルガ様と一緒がいいのに」
「ごめんな。でも、他のみんなはラプトルを操縦できないから」

 セツナに今まで乗ってきたラプトルを任せる。
 乗り慣れないラプトルは俺が乗るべきだろう。

「フレイアはセツナと一緒に向こうのラプトルだ」
「はい! わかりました」

 理由は言わない。
 ラプトルの負担をほどよく分散するために、女性陣の中で一番重いフレイアをセツナとペアにしたなんて言えば、へそを曲げられてしまう。

「イヴとエレンはこっちだ」
「わかったよ、ケアルガ」
「ケアルガ兄様と一緒なんてうれしいです!」

 というわけで二頭のラプトルに別れて乗る。
 ラプトルの首と俺の間にエレンが収まり、イヴがためらいがちに後ろから抱き着いてくる。

 セツナの可愛い背中と尻尾、フレイアの柔らかい感触が恋しくなるが、こっちはこっちで新鮮でいい。
 ふむ、俺はロリコンではないのに気が付けばパーティの平均年齢がぐっと下がった。

「さて、行こうか。目指すは東だ。イヴ、途中に村があるんだよな」
「うん、神鳥をあがめてる魔族の村があるよ」
「なら、目的地はそこだ」

 そうして、二頭のラプトルが並んで走る。
 待っていろよ神鳥。必ず俺のものにしてやる。
 そして、神鳥を得たら次は魔王だ。
【賢者の石】という保険は俺のものだ。
 いや、あるいは保険にするより面白い使い方がある……。
 なにはともあれ、これからが楽しみだ。
 ブラニッカがどんどん遠くなる。
 最後に振りかえる。

「カルマン、おまえはいつかこの街を出て、世界中を旅して商品を仕入れてでっかい商店を広げたいと言ってたな……俺がおまえの分までこの世界を見て回るよ。だから、安らかに眠ってくれ。さらばだ親友」

 今は亡き友の顔を浮かべて別れを告げた。

「ケアルガ兄様、カルマンって誰ですか?」
「この街にいた俺の親友だよ。キ○○イのせいで死んだんだ」

 俺はキ○○イ……もといエレンに微笑みかける。
 そうなんですかとエレンは他人事のように言ってる。ほう、いい度胸だ。夜はたっぷりいじめ抜いてやろう。

 振り向くのをやめて前を向く。
 カルマンが微笑んでくれた気がした。
 ブラニッカが見えないほど遠くにきた。
 街だけでなく、友に別れを告げ、ラプトルを走らせる。俺の旅はこれからも続くのだ。
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