ノーベル平和賞の作家 劉暁波氏が危篤状態

ノーベル平和賞の作家 劉暁波氏が危篤状態
中国で、服役中にノーベル平和賞を受賞し、がんを患って仮釈放された作家の劉暁波氏について、治療にあたっている中国東北部の瀋陽の病院は10日午後、劉氏は血圧が低下するなど病状が悪化し危篤状態に陥っていると発表しました。
中国で、共産党の1党支配を批判するなどして有罪判決を受け、服役中の2010年にノーベル平和賞を受賞した作家の劉暁波氏は、末期の肝臓がんを患って先月に仮釈放されたあと、東北部・瀋陽の病院で治療を受けています。
劉氏について病院は10日、血圧が低下したほか肝臓から出血するなど病状が悪化し、危篤状態に陥っていると発表しました。

そのうえで病院では、低下した血圧を戻すための措置など、専門家の意見に基づいて手当てを行っているとしています。

また、発表では、すでに劉氏の家族も劉氏の病状について把握しているとしています。劉氏をめぐっては、8日に家族の要望でアメリカとドイツの医師2人による診察が許可され、劉氏や家族は今後の治療を外国で受けたいという希望を伝え、2人の医師も医療的な立場から国外への移送は可能だという見解を示していました。

これに対して、中国の医療チームは「移送は安全でない」と国外への移送を認めない方針を示していたほか、中国外務省も外国による内政への干渉は受け入れられないとして、あくまで国内で治療を続ける立場を強調していました。

中国外務省 劉氏の国外移送を認めず

劉氏をめぐっては、8日、アメリカとドイツの医師2人による診察が許可され、2人の医師も医療的な立場から国外への移送は可能だという見解を示していました。

これに対して、中国外務省の耿爽報道官は、10日の記者会見で、「これは外交問題ではなく、中国の内政問題だ。関係国が中国の司法の主権を尊重し、個別の案件を利用して、中国の内政に干渉しないよう望む」と述べ、国外移送を認めずあくまで国内で治療を続ける立場を強調しました。