Thursday, January 12, 2017

天動編零式3層 フロンティア激闘編(2)

ブラックリストの人数は膨れ上がる。特に参加を切望される立場である、キャスターと詩人の数が多かった。一時は100人を超えた。目を血走らせ、水をがぶ飲みし、動画を見直し、お手洗いとPCの前を行ったり来たりしながら募集とレイドファインダー(以下、RF)に参加する。受験の時だって、締め切りまで8時間しかない仕事の時だって、こんな必死ではなかったと思う。

私は頭がおかしくなるほどに、ムキになっていた。
怒っていた。もはや何に怒っていたのかはよくわからなかったけれど。

何度やってもクリアできない。何度やってもギブアップになる。だからこそ、あきらめきれなかった。なんとしてもあのチンパンどもより先にクリアしてやる。そのためなら最後の手段、傭兵による出荷(1人につき成功報酬100万を予定した)か、サーバ移動をも考えていた。 一足先に難関を乗り越えたMTに、もう休めと言われたがその提案も聞かなかった。後で尋ねてみたところ、初めて怒り狂う私を見た彼は大変にショックだったらしい。以後微妙におとなしい。発狂した女が怖いのだと思う。

レイドファインダーや募集で何度も顔を合わせる者たちと、励まし合ったりもした。

同じ地雷に何度も当たり、口げんかが始まるのを仲裁したりもした。自分自身が口げんかに参加したこともあった。

踏破済みのフレンドに頭を下げて練習に参加してもらったあげく、クリアできずに申し訳なさだけが残る日もあった。

ボイスチャットで釣り、にわか従者を作ってみたはいいものの、最終フェーズにも行けないミスだらけの連中で、怒りと失望でふて寝するときもあった。

とうとう私はたった一人で、真夜中から朝までの8時間、レイドファインダーに申請し続ける3層コンプリート目的モンスターと化した。

2週間目が過ぎても、クリアはできなかった。お祈りするのも疲れた。
さすがにくじけそうになった時に、奇跡的にけっこういい募集を見つけた。もうそろそろクリアしたいと心から願う、それなりのプレイヤーが6人集まったのだ。黒と詩人はなかなかよかった。MTが調達できずにいたが、メインキャラと同FCの仲間が、サブキャラを投入してくれた。これほど心強いことはない。

しかしにわかに育てたキャラなのでILが255に届かない。なので募集に入れない。私は古巣の仲間である彼が、どのロールを務めても平均以上の腕を発揮できることを知っていた。そこで募集主の戦士に持ちかけたのだ。

「いいMTを知っています。ILは足りませんが、きちんと役割を果たし、必ずクリアに貢献することを保証します。私の言葉を信じていただけませんか」

募集主は少し迷ったように思えた。が、返事はすぐに帰ってきた。

「信じます!」

こうして私はようやく3層をクリアした。
練習開始から2週間半、半固定崩壊から1週間半が経っていた。疲れた。ほっとした。クリアできてよかった。力が抜けた。戦利品がなんだったか、メンバーがなにをしゃべっていたのかは覚えていない。

私は英断を行なった募集主に感謝のメールと、★4の食事を送っておいた。
当時はまだ自作できなかったので、マーケットで買った。フロンティアでは最高級の食事が、なぜかかなり安い。あまりに安すぎて、原価と変わらないぐらいだ。なのに食べない連中が多いのは不思議でならない。募集主はきちんと食事をとってはいたが、あまりいいものではなかった。送ったものが今後の練習に役立てば幸いだ。

その後よれよれになって布団に入り、寝た。

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