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【社会】

前川氏、加計問題で発言 「背景に官邸の動きがあった」

衆院の閉会中審査で発言する文科省の前川喜平前事務次官。(右から)松野文科相、山本地方創生相=10日午前(小平哲章撮影)

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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡り、衆院文部科学、内閣両委員会は十日、前川喜平・前文部科学省事務次官らを参考人招致し、閉会中審査をした。前川氏は国家戦略特区で学部新設を認める過程について「はじめから加計学園に決まるようなプロセスを進めてきたように見える」と発言。「背景に官邸の動きがあった」との見方を示した。

 前川氏は昨年九月、和泉洋人首相補佐官に呼ばれ、「総理が言えないから私が言う」と学部新設の早期対応を直接要請されたことを認め、「和泉補佐官がさまざまな動きをしていたことは、(昨年)十月二十一日の文書を見ても明らか」と述べた。

 この文書は、「10/21萩生田副長官ご発言概要」の表題で、獣医学部新設に関し、萩生田光一官房副長官の発言をまとめたとみられ、「総理は『平成三十年四月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」と官邸側の関与をうかがわせる。

 「加計学園が誰も文句が言えないような良い提案をできるかどうか」などと、加計学園を前提にしたようなやりとりが記されている「10/7」の文書について、前川氏は「在職中に担当課から説明を受けた際に受け取り、目にした文書に間違いない」と述べた。「10/7」の文書は、文科省の調査では存在が確認できなかった。

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 萩生田氏は昨年十月七日に文科省の常盤豊高等教育局長と面会した事実を認め、「特区のことについても説明された記憶がある」と発言。ただし、学部新設における自身の関与には「私が総理から指示を受けたり、文科省や内閣府に指示を出したりすることはない」と否定した。

 野党から「加計ありき」と批判がある決定プロセスについて、特区審議にかかわったワーキンググループ委員の原英史氏は「全くの虚構」と反論した。これに対し、前川氏は「順次条件を付すことで、加計学園しか残らない。ブラックボックス化されている」と疑問を呈し、「非常に不公平で、国民の見えないところで決定が行われている不明瞭さがある」と指摘した。

 この日の審査には、安倍首相や和泉首相補佐官は出席しなかった。政府・与党は、東京都議選の自民党大敗を受け、野党が求めてきた閉会中審査に応じた。参院文教科学、内閣両委員会でも午後から審査がある。

<加計学園問題> 岡山市の学校法人「加計学園」が、政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部を新設する計画を巡り、文部科学省が内閣府との計画公表前のやりとりを記録したとされる複数の文書が明らかになった。学園理事長は安倍晋三首相の友人で、文書には「総理の意向」などと記載されていた。文科省は文書の存在を確認できないとしたが、前川喜平前文科事務次官が「確実に存在」と証言。文科省は再調査で14文書を確認した。その後、萩生田光一官房副長官の発言をまとめたとされる文書も公表したが、萩生田氏は発言を否定している。

<参考人招致> 衆参両院は憲法62条が保障する国政調査権に基づき、重要事案の調査のために関係者を参考人として委員会に招致し、発言を求めることができる。ただし、参考人が出頭するかどうかは任意で、虚偽の発言をしても罰則規定はない。同じく国政調査権に基づく証人喚問の場合は、正当な理由なく出頭や証言を拒否したり、偽証したりすると議院証言法により罰せられる。今年3月には森友学園への国有地払い下げ問題で、財務省の迫田英典・元理財局長らが参院予算委員会に参考人招致されている。

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