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千葉真一“憎んで別れた訳じゃない” 追悼「野際陽子」インタビュー

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週刊新潮 2017年7月13日号 
2017/7/6発売

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野際陽子

〈皮肉なことだが、それと相前後して、野際は女優として円熟期を迎えていた。とりわけドラマ「ずっとあなたが好きだった」で息子「冬彦さん」を溺愛する母役の“怪演”は、大きな話題となった。〉

「別れた後の陽子を見て、やっぱり家庭に入る女じゃなかったんだな、としみじみ思ったね。結婚している頃は、女房としての責任、というのがあったのかもしれない。俺が後輩なんかを連れて家に帰るでしょ。すると、大量のスパゲッティをゆでるの。それで、トマトソースとか明太子ソースとか、10種類くらいのソースを作るんだよ。納豆に刻みのりを和えた和風パスタとか。あれもこれも買ってきて、一生懸命準備をしていたね。それでみんなが好き好きのソースをスパゲッティにかけて食うんだよ。これはもう絶品。それを見ながら、陽子は楽しそうに赤ワインを呑んでいたな。

 俺は『帰った時にいろよ』『ご飯作れよ』と言ったこともない。でも、陽子にはどこかでそういう意識があって、仕事をセーブしていた面はあった。だから、実は俺と結婚してから、彼女はあまり売れなかったんだよね。それが別れて、亭主とか周りに気兼ねがなくなって、自由奔放に生きている感じがした。溌剌としていたよね。それが演技に出ていて、実際、売れたよね。あぁ、陽子は、俺と結婚していない方が良かったんだ……そう思ったよ。

 憎しみ合って別れたワケじゃないから、その後も樹里の誕生日のお祝いとか、時々は会って飯を食っていた。最後の会話も、やっぱり娘のことだったと思う。『アメリカに行きたいって言うけど、大丈夫かな』と聞くから、『やらせるべきだよ』と。

 今、振り返ってみても、俺は陽子との生活に、良い思い出しかないな。からめ捕られた結婚だったけど、幸せだったよ」

■幸せな人生だったと思うよ

  • 週刊新潮
  • 2017年6月29日号 掲載
  • ※この記事の内容は掲載当時のものです

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