テクノロジーによる生活の変化と未来を、小泉耕二が解説

上海でGoogleが使えない3日間を過ごしたら、日本人は考え方を変えたほうがいいことがわかった

MWC上海

先日、通信業界のイベント、Mobile World Congress(通称MWC)の取材で、上海に行ってました。

取材の模様は、IoTNEWSで見ていただくとして、上海は言わずもがな中国なのですが、GoogleやFacebook、LINEなどが使えません。

会社のメールやカレンダーだけでなく、ドライブやアルバムもGoogleを使っている私としては、これが使えないのはとっても困ります。さらに、知らない土地では便利なGoogle Mapも使えないのでは自由に行動もできません。

 

もちろん、この道の専門家なので、そんなことは百も承知です。モバイルルータにVPS接続サービスというのをつけていくことで回避できることも分かっていたので、その準備もしてました。

 

ただ、VPSなしでも、地図は、百度マップを使えばGoogleマップと同じくらいの精度で位置情報だけでなく、交通機関の乗り換えなども教えてくれるので、インターネットはしばらく封印して、現地の状況を足を使ってみてくることにしたのです。

 

自転車文化はとっくにシェアリングエコノミー化していた

私は、知らない土地に行ったらとにかく歩くことにしているのですが、ホテルを出て初めに出会ったのが、トップ画像にある自転車です。

 

UBERという個人タクシーサービスや、AirBnBという民泊サービスなどは、「シェアリングエコノミー」と言われています。

なにが、シェアなのかというと、クルマや自宅をみんなでシェアするサービスだからです。

 

これがすごいと言われているのですが、同じコトが「自転車」で起きているということです。

 

日本だと、こんな道端に自転車を並べたら「道路は公共のものだろ!」って怒られそうですが、上海の市街地には至る所にこんな風に自転車が止まってます。

 

いくつか方式があるのだけど、利用料金はだいたい30分10円〜20円くらいで、利用者は自転車についているQRコードを読み取って、スマホにでてくる番号を自転車についている鍵に入力するだけ。乗捨て可能なのだけど、車体にGPSがついているわけではないので、事業者は正確な場所がわからないみたいです。

適当に乗り捨てられてしまうので、雑然としそうなものだけど、実際は深夜に業者が自転車を集めて写真のように朝には綺麗に並べているようです。他にもいろんな問題があるようですが、あまり気にしない国民性なのでしょう。

 

この方式だと、チョイ乗りもできるし、とっても便利ですよね。

実際、市民の足として定着しているようでした。

 

日本でも「シェアリング・エコノミー」という言葉だけ一人歩きしていますが、チョイ乗り自転車が普及すれば都心でのタクシーの移動が減ったり、その効果は高いとされていますが、結局自転車を置く場所(=不動産)がないと始められないのでは、初期投資が高すぎてとてもじゃないけど発展していくとは思えません。

事業者が街中を夜に見回り、キレイにするという約束を前提として、街のいたるところにシェアバイクを置くことができるようにはできないものでしょうか。

 

電気自動車のための大規模な駐車場が出現し始めている

MWC上海

さらに、歩いていて気づいたこととしては、電気自動車のためのインフラが整いつつあるなということでした。

 

現在中国では、大気汚染の問題もあって、電動自動車の普及が促進されています。また、中国は米国と並ぶ石油輸入国なので、ガソリン車をやめたい気持ちはもともと強いはずです。

それで、やるとなったら一番必要なのって、充電施設なのですが、実際に街では、パーキングが大規模に充電施設付きに変わりつつありました。

 

MWC上海

一斉にやってしまうのことで、普及を社会全体で後押ししているのが誰にでもわかります。こういうところで、中国のスピード感が垣間見れます。

 

一方で、日本も決して推進していないわけではないのです。

2007年時点で、CO2削減のことから、すでに電気自動車化、ハイブリッド車化についての指針は打ち出されていて、現在でも2020年に保有台数100万台にするというロードマップが経済産業省から打ち出されています。(※ちなみに日本全体での車の保有台数は約8,100万台。昨年度の電動自動車の販売台数は中国がトップで35万台)

 

クルマの買い替えニーズが減る中、割高な電気自動車を補助金をつけて売るという考え方だけでは、なかなか進みません。

中国では、補助金はもちろんのこと、減税、電気ステーションの拡充とかなり手広く投資しているようです。

 

また、先日スウェーデンの自動車会社であるボルボ社が「今後2年間ですべての自動車を電気自動車にする」と発表しました。

これは、「GEELY」という中国の自動車ブランドを持つ「浙江吉利控股集団」の傘下にボルボがいて、中国側の意向を汲んでいるというものありますが、逆に言うと中国の変化の波にうまく乗ろうとしている作戦が垣間見れます。

 

日本の場合、単純にガソリン車を電気自動車に変えて販売するのではなく、一気にシェアリングする(所有しない)ところに持って行ってしまえば、狭い国土で維持費の高いクルマを所有し続けるコストも減るので、一気に家計は楽になるはずです。

 

こういうことって、一部の政府やメーカーが一所懸命PRしても、考え方を変えたくない人はとても多いと思うけど、「得する」という事実を体験する場さえ作ってしまえば、あとは勝手に進むものですよね。

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Lifetech.todayでは、IoTNEWS代表の小泉耕二がIoTNEWSでは語れない、よもや話や、生活者に密着したテクノロジーの話をわかりやすく解説しております。 著書に、「2時間でわかる 図解IoTビジネス入門(あさ出版)」があるので、よかったら読んでみてください! ここに書かれている見解は、あくまでも個人の見解です。
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