緑色の光が次々と壁に当たり、激しい音がトンネル内に響き渡る――。量子科学技術研究開発機構の関西光科学研究所(関西研、京都府木津川市)とレーザー技術総合研究所(大阪市)は6月下旬、コンクリート内部の欠陥をレーザーで高速検出する技術の実証実験に成功した。実用化されれば作業時間の大幅な短縮が見込め、高度成長期に建設され老朽化が進むトンネルの点検への活用が期待される。
壁面にレーザーを当てて振動させ、正常な部分との揺れの違いを測定することで欠陥を見つける。計測速度は1秒間に50回。ハンマーでたたき耳で音を聞き分ける従来の方法に比べ安全で、大幅に時間が短縮できる。結果はデータ化し、検査員による判定の個人差をなくせる。
静岡県富士市の模擬トンネルで行われた実証実験では、試験用コンクリの深さ5センチにある空洞の発見に成功した。関西研の長谷川登主幹研究員は「2018年度には現行のトンネルでも実験し、開発を早めたい」と話す。