バイドゥ、自動運転ソフトの無償公開で市場独走狙う
バイドゥは、自律自動車の頭脳部分を無料公開する「アポロ計画」を推進している。アポロ計画が軌道に乗れば、自社のコードを非公開にする競合企業が自動運転分野の覇権を握るのは困難になるだろう。 by Will Knight2017.07.07
バイドゥのロビン・リー(李彦宏)最高経営責任者(CEO)が2017年7月3日の週に北京で開催された同社初の人工知能(AI)開発者会議に到着したとき、自動運転自動車の世界を作り変える可能性を秘めた車に乗っていた。
この車両を制御するソフトウェアは、バイドゥ(2017年版スマート・カンパニー50)がアポロ(Apollo)と呼ぶプロジェクトで、今後数年かけて無料公開を計画しているものだ。自動運転車の頭脳部分を誰でも利用可能にするアポロ・プロジェクトは、多数の中国新興自動車メーカーの開発スピードを急激に加速するだろう。
アポロ・プロジェクトは、中国がAI開発の主要拠点としての地位を確立するという、より大きな野望の現れでもある。バイドゥが自社のAIトレーニング用データを広く公開しようとしているのは、かつてない動きが商用AI分野で始まることを意味する。というのは、この分野では最新式アルゴリズムのトレーニングに使う情報は、異常とも言えるほど機密扱いにされるのが普通であるからだ。
アポロ・プロジェクトは、開発途上段階にある自国のAI産業の競争力を増し、基礎となるテクノロジーを新都市設計などの未来計画に応用したいという中国政府の強い願いに合致している。事実、もしアポロ計画が軌道に乗れば、自社のコードを非公開にする競合企業が自動運転分野の覇権を握るのは困難になるだろう。
「アポロは自動車産業にとって重要な節目となるものです」と、バイドゥのチー・ルー(Qi Lu)副会長は会議の出席者に語りかけた。「アポロは基本的に、自律運転産業にとって、スマホ業界のアンドロイドに相当する役割を果たすものですが、よりオープンでより強力なプラットフォームです」
アポロのテクノロジーを活用して自律自動車を開発するスケジュールは野心的だ。目標では、2017年7月末に地域を限定してアポロを利用した車両の試験運転を開始し、2020年末までに都市部の …