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史上初検証?
「桂馬」だけで将棋するとどうなる?

  • エンタメ

2016.8.23

トリッキーな動きが特徴で、将棋のプレイヤーからも上級者向けの駒と言われている「桂馬」。2マス前のその左右1マスに動くことができます。この駒をどのように使うかによって局の流れが変わるとも言われています。


諸説ありますが「桂馬」は、馬が由来ともいわれています。競馬好きとしては、馬にゆかりがある駒にもっと活躍してほしい! もし全部の駒が桂馬だったらどんな対局になるのか……。


そんな思いつきだけで始まったくだらない勝負を「東京理科大学将棋部」のみなさんご協力のもと、検証してみました!

 東京理科大学将棋部

今回検証にご協力いただく東京理科大学将棋部の小林君(左)と野崎君(右)


対局者プロフィール


野崎正司

段級位>アマチュア4段

将棋を始めたきっかけ:幼少期に祖父の相手をしていた


小林秀典

段級位>アマチュア3段

将棋を始めたきっかけ:小学生のころ、父に教えられた




うまび:本日はよろしくお願いします!桂馬だけで将棋をしていただきますが、経験はありますか?

将棋部:さすがに無いです……。思いつきもしませんでしたが、面白そうですね!


〜ルール説明〜

王将以外のすべての駒を桂馬に置き換えます。通常の将棋と同じく成桂(成金)もアリ。

 将棋盤

これが王将以外を桂馬に差し替えた盤面。うわぁ、すごい違和感


それでは早速対局していただきましょう!


【1戦目:先手・小林君】

 小林君

あっ…


将棋

小林君:負けました……。


うまび:えぇ? もう!? いくらなんでも早すぎませんか?


野崎君:8手で勝負が着きましたね。完全に詰みです。


小林君:序盤の判断ミスが原因ですね……。気付いたときにはどうしようもなかったです。

 将棋盤

小林君:こうなると左に逃げても右に逃げても相手の桂馬が成ってしまい、逃げ場がなくなってしまうんですよ。


野崎君:2段目(2列目)に自陣の桂馬は干渉できませんからね。


うまび:なるほど。となると、どの局面が決定打だったのでしょうか?

 将棋盤


小林君:5手目で王将を動かしたのが悪手でしたね。ここで勝敗が決まりました。

 将棋盤

野崎君:僕が6手目をここに打ったことで、小林君は追い詰められたんですね。後方に逃げるか、前方の桂馬を動かして前に逃げるか。どちらを選ぶにせよ、この段階で勝負は決まっています。

 将棋盤

小林君:王将を動かさないで、桂馬を前に動かすのが正解でしたね。


野崎君:あれ?こうなると一気に僕が劣勢になりますね。もしかしたらこれは先手が圧倒的に有利かもしれません。


うまび:そうなんですか !?素人目にはよく分かりませんが……。もう少し同じ条件で試してもらってもいいでしょうか?小林君が判断ミスをした局面から仕切り直しをお願いします!


【2戦目:先手・小林君】


野崎君:負けました……。


小林君:やっぱり単純なミスがなければほぼ間違いなく先手が勝ちますね。


野崎君:後手は逃げるので精一杯、反撃できる隙がまったくないですね。逃げている間にどんどん攻め込まれてしまうので、勝てる気がしないです。


うまび:うーん。これじゃゲームが成り立ちませんね。あ、では「歩兵」だけ残してみてはどうでしょう?

 対戦

野崎君:さっきよりは勝負になるでしょうが、おそらく……


うまび:理屈より実践です!では早速やってみましょう! 


〜ルール変更〜

王将と歩兵以外のすべての駒を桂馬に置き換えてスタート。歩兵の成金もアリ。


【3戦目:先行・小林君】

将棋盤

歩兵を足した盤面。さっきよりは将棋っぽい……?

 



対戦

対戦

うまび:(あれ?なんか長いな……)


〜30分後〜


うまび:今どういう状況なんでしょうか?もう30分くらい経ってます。さっきと比べて明らかに長いですよね……?


小林君:え〜、それが……。


野崎君:これはもうずっと勝負がつきませんね。終わりません。


うまび:え!?そうなの?


野崎君:やっぱり桂馬と歩兵だけじゃ詰ませることができないですね。互いの王将が敵陣深くに切り込んでしまうと、もう手の出しようがないです。


小林君:将棋の駒は後ろに下がるのが苦手なんです。飛車や角がいれば相手の王将が後方にいても詰ませることができますが、桂馬と歩兵では難しいですね。


うまび:なるほど……どちらにしても、ゲームとしては成立しないというわけですか……。


小林君:でも、普段思いつきもしないような条件での対局ができたので、勉強になりました!


野崎君:最初にオファーが来たときは「何のためにこんなことを……」と思いましたが、とても楽しかったです!

 東京理科大学

東京理科大学将棋部のおふたり、大いなる時間の無駄ご協力ありがとうございました!


結論:桂馬だけの将棋は必ず先手が勝ち、歩兵と桂馬だと永遠に終わらない!


結局桂馬だけではマトモな将棋にならないんですね〜。馬好きといえど、すでに完成されたゲームを馬だらけにするのは難しそうです。


勝敗が決まったゲームなんて、競馬ファンにとっても納得できないもの。みなさんは、通常のルールで桂馬を活躍させてあげてください!


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