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    Brandon K. Hill

    CEO of btrax, Inc

    CEO of btrax, Inc - Design Mentor to Startup Weekend - Contributor to TechCrunch Japan - Guest Speaker at UC Berkeley Asia Business Conference - Guest Speaker at Social Media Week Tokyo - Guest Speaker at 500Startups Japan Day

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  • Jul 9, 2017

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ウェアラブルはオワコンなのか? Jawboneが倒産し、Fitbit, GoProも絶不調

かつては30億ドルもの評価額を記録したJawboneが近日倒産する見込みである。スタイリッシュなデザインのリストバンドが人気で、一時は日本からアメリカに来た人たちがこぞって買って行ったのを覚えている。

Jawbone社は1999年に創業し、かつてはBluetoothスピーカーのメーカーとして人気を集めた。その後、2011年からウェアラブル業界に進出。Jawbone Upと呼ばれるヘルストラッカー系ウェアラブルデバイスは、サンフランシスコのデザイン会社、Fuse Projectがデザインし、アプリと連動することで、ユーザーの運動量を図ることを目的としていた。

数年前にピークを迎えたウェアラブルブーム

それから多くの注目を集め、著名なVCを含む複数の投資家から合計10億ドル近くの資金を調達。その勢いを増しているかのように感じられた。特に2013年から2014年は市場全体におけるウェアラブル系ビジネスへの注目がピークを迎え、多くのデバイスが世に送り出された。

関連記事: 【これからのハードウェアは装着型】注目のウェアラブルデバイス10選

しかし、Jawboneは2016年ごろから製造を中止し、同年の9月からはオフィシャルサイトでの販売もストップ。残った在庫を他のリテーラーが格安で販売する事態になっていた。そしてついに会社自体が消滅する見込みである。

Google GlassやPebbleも不発に終わる

ウェアラブルといえば、発表同時は大きな話題を呼んだGoogle Glassやスマートウォッチの先駆けであるPebbleもその期待に応えることはできなかった。Google Glassの消費者向けの提供はすでに終了し、クラウドファンディングで多くのお金を集めたPebbleはFitbitにわずか2300万ドルで買収されている。それもデバイスよりも、そのアプリやユーザーといった指摘所有権の獲得が目的と言われている。

他のウェアラブル系の会社も軒並み不振

実は調子が悪いのはJawboneだけではない。実はすでに上場を果たしているFitbitやGoProの売り上げも絶不調で、株価も上場後最安値と言えるほどに落ち込んでいる。

Fitbitの株価の推移 (2017年7月時点)
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GoProの株価の推移 (2017年7月時点)
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関連記事: 今すぐ活用したい運動系ウェアラブル&アプリ10選

短期間で利用をやめるユーザーが続出

なぜここに来て調子が悪いのか?実は統計によるとウェアラブル系デバイスは最初はその目新しさから多くのユーザーが購入するが、使い続ける率が低い。例えばFitbitの場合、30%以上のユーザーが一年以内にその利用をやめている。理由として毎回身につける煩わしさと、充電の面倒さなど、エクスペリエンスに難があると考えられる。

そうなってくると利用率が下がり、リピーターも少なくなりジリ貧に至ってしまう。

ターゲットユーザーが広すぎる

また、エクスペリエンスデザインの観点で考えると、ターゲットユーザーが明確に定まっていない点も問題だった。多くのウェアラブルデバイスは健康を望む”一般的な”ユーザー全般をターゲットとしていケースが多く、具体的なニーズを捉えていないケースがほとんどである。

そしてAppleウォッチの登場

加えてトドメの一撃だったのが、Appleウォッチの登場だろう。今までは先発の優位性を武器にそれなりの注目とユーザーを集めていたデバイスも、王者Appleによる満を持したウェアラブル製品の登場で、かなりのシェアを奪われることになる。元々のAppleファンはもとより、これまでのデバイスに不満を抱えているユーザーの多くが離れていったとされる。

また、GoProのようなカメラデバイスにとっても、より熟成したスマホ搭載型カメラの登場や、ドローン人気の限界もあり、販売台数は限定的になっている。

ビジネスモデル的にもキツイ

そして実はウェアラブルやGoProのような製品はある意味”一発屋”的な側面が強く、永続的なビジネスに繋がりにくい。デバイス自体はいわゆる”買取”型ビジネスになるし、独自のApp Storeやデベロッパープログラムといったエコシステムの構築もできなかった。B2Bのようなデータを活用しての毎月の課金モデルも存在していない。それにより、ビジネスとしてもどうしてもジリ貧になりがちである。

関連記事: 【前編】ベイエリアの日本人起業家が語る次世代のIoT – AIの駆使と徹底したセキュリティ管理でIoT本来の価値を見出す

結局スマホの”次の”デバイスにはなれなかった

むしろそもそもなぜ数年前はそんなに期待値が高く、評価額や株価の高騰を実現できたのか。これはおそらくウェアラブルデバイスこそが、スマホの次にくるデバイスになるとの期待値が大きかったからであろう。パソコンからスマホへ時代がシフトしたように、ユーザーの興味がウェアラブルに移行することで、巨大なマーケットが生み出されるとの思いが強かった。

しかし蓋を開けてみれば、やはり多くの事柄はスマホで行い、ウェアラブルデバイスはあくまで”Nice-to-Have”オプションに止まった。ユーザーはわざわざ複数のデバイスを体に装着するような煩わしさは求めない。スマホで簡単に解決するようなことを、小さな画面で細々した操作をしたくない。そして、いっぺんに複数のデバイスを毎回充電したくない、といった体験的なデメリットがこの業界の縮小を生み出してしまった。

イノベーティブなプロダクトには普遍性が必須条件

このように、一見とても画期的だと思われる製品も、ユーザーを常に喜ばせ、ビジネスに貢献する普遍的なシステムを構築できなければ、短期間の飛び道具的な存在で終わってしまう。成功するビジネスモデルを作り出すには、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザー体験、エコシステム、それぞれのパーツを上手に組み合わせる必要がありそうだ。

 

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.

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