先日、はてな匿名ダイアリーにてこんな記事がありました。
「90年代のアニソンの歌詞にフライアウェイ多すぎ問題」
当ブログに検証して欲しい、との事でした。
確かに面白そうだったのでちょっと検証してみました。
(自分、冗談を真に受けるタイプなのです)
検証方法
「歌詞の検証」なので、歌詞検索サイトを利用して「フライアウェイ」で検索、アニメ作品のみを抽出すればいけるだろうと思い、「うたまっぷ」「歌ネット」「歌詞ゲット」「JOYSOUND」などの「歌詞検索サイト」を色々と見てみました。
しかし各種歌詞検索サイトにより検索結果が異なり、さらに1000を越える曲からアニソンのみのデータを抽出するのに、ものすごく苦戦して挫折しそうになりました。
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なんとか気を持ち直し、
今回はJOYSOUNDの歌詞検索を使用させていただきました。
JOYSOUNDの歌詞検索では、日本語としての「フライアウェイ」が一番多く検索され(歌詞の「読み方」がデータベースに入っていると思われる)、また関連情報としてアニメ作品名が同時に検索されるために、どの曲がアニメ作品なのかを判別するのに便利でした。
抽出条件として、
1:同一の曲で、違うバージョンは1つにまとめた(ドラゴンボールのCHA-LA HEAD-CHA-LAは、1989年版とFLOWの「神と神ver」がありますが、1つにしてあります。ギャラクシーエンジェルのEternal Loveは5種類位ありました。)
2:ゲーム関連、特撮関連は含める。
3:初音ミクなどボーカロイドの曲は趣旨にそぐわないので除外。
ついでに、id:msdbkm様のコメントであったように
「フライアウェイ/Fly away」だけではなく、
「ファラウェイ/Far away」も調べておきました。
以後の結果は「JOYSOUND」様での検索結果を元にしています。
アレが無い、コレが無いは各自で補完お願いいたします。
結果
フライアウェイ
フライアウェイを含むアニソン一覧
フライアウェイ/flyaway/fly awayを含むアニソンは全部で102曲ありました。
内、
1980年代 4曲
1990年代 12曲
2000年代 50曲
2010年代 37曲
という結果となりました。
従いまして、
「フライアウェイ」は2000年代以降の方が多い結果となり、
仮説「90年代のアニソンの歌詞フライアウェイ多すぎ問題」はあっさりと棄却されました。
(ただし、これは単純に2000年以降にアニソンブームが起き、キャラクターソングなどが多く作られ、アニソン自体の母数が増えているのも要因の一つだと思われます。(要検証))
次いで「ファーラウェイ/Far away」です。
ファラウェイ
ファラウェイを含むアニソン一覧
ファーラウェイを含むアニソンは93曲ありました。
フライアウェイvsファラウェイ
「フライアウェイ(Fly away)」 102曲
「ファラウェイ((Faraway)」 93曲
かなりの接戦でしたが、
かろうじて「フライアウェイ」の方が多いという結果となりました。
「フライウェイ」「ファラウェイ」ともに2000年代が一番多く、
双方とも「90年代のアニソンに多い」わけではありません。
従いまして、ブックマークコメントにありました
id:misakiushida :ファーラウェイの方が多い
id:fusionstar :farawayのほうが多かったというオチか。
も棄却されました。
年代別でみると、
19980~1990年は
ファラウェイ>フライアウェイ
だったのが、
2000年以降は
フライアウェイ>ファラウェイ
になっているのがわかります。
テニスの王子様、フライアウェイしすぎ問題
2000年以降のフライアウェイの検索数を押し上げたのが「テニスの王子様」。
2000年以降の「フライアウェイ」87曲中、7曲がテニスの王子様関連の曲となりました。
テニスの王子様は、フライアウェイしすぎなのではないでしょうか。
主題歌は、80~90年代の方が多い?
印象的には、確かに2010年よりも1990年の方が「ファラウェイ」が多かった感じがします。
「フライアウェイ」というフレーズは、
<80年代>
ドラゴンボールZ(CHA-LA HEAD-CHA-LA)
<90年代>
機動警察パトレイバー(コンディショングリーン)
機甲戦記ドラグナー(スターライトセレナーデ)
太陽の勇者ファイバード(太陽の翼)
<2000年代>
交響詩篇エウレカセブン(Fly Away)
ジンキ・エクステンド(FLY AWAY)
<2010年代>
輪廻のラグランジェ(TRY UNITE!)
ガンダムビルドファイターズトライ(Just Fly Away)
「ファラウェイ」というフレーズは、
<80年代>
うる星やつら(星空サイクリング)、
超獣機神ダンクーガ(愛よファラウェイ)
鎧伝サムライトルーパー(Faraway)
FiveStarStorys(瞳の中のファーラウェイ)
<90年代>
機動戦士ガンダムW(RHYTHM EMOTION)
熱血最強ゴウザウラー(KEEP ON DREAMING)
<2000年代>
スレイヤーズNEXT (雨のFaraway)
宇宙のステルヴィア(明日へのbrilliant road)
灼眼のシャナ(夜明け生まれ来る少女)
<2010年代>
戦姫絶唱シンフォギア (Synchrogazer)
80~90年代の「フライアウェイ」「ファラウェイ」はTVアニメの「オープニング」「エンディング」に多く使われている傾向にありました。
2000年以後はTVアニメが深夜帯に行き、先鋭化したため「知っている人は知っているが知らない人は知らない」状態になった事や、オープニング、エンディングだけではなく、いわゆる「キャラクターソング」が多数作られた事などにより「フライアウェイ」「ファラウェイ」が一般的に印象に残りにくくなっている事が考えられます(要検証です。)
熱血最強ゴウザウラーは「ファラウェイ」
太陽の勇者ファイバードは「フライアウェイ」
です。覚えておきましょう。
プリキュアは「負けない」ために戦う
よく考えたら、ここはプリキュアのブログでしたので最後にプリキュアに関する事でも。
今回使用したJOYSOUNDの歌詞検索サイトをはじめ、うたまっぷ等の歌詞検索サイトには膨大な歌詞データが蓄積されています。
(こういった膨大なデータ群を、一般市民が無料で利用できる世の中って素敵だと思います。)
例えば、うたまっぷに登録されている歌詞を検索してみると、
「勝つ」:966件
「負けない」:4042件
、と「負けない」のフレーズの方が多く抽出されるのです。
比率でみると
「勝つ」1に対して「負けない」が4.18と、約4.2倍「負けない」というフレーズが多いのですよね。
(ただ、今回は動詞の活用などを検索の考慮に入れていないので、あくまで参考程度ですよ)
この「勝ちよりも負けない事を優先」するのが日本人の特性なのかどうかは海外の例を調べてみないとわかりませんが、とにかく多いことは確実です。
で、プリキュアの場合、その一般的な日本の歌詞と比較してどうなのかを調べてみました。
2年前にプリキュアの歌詞を分析した時に取得したデータがあったので
(上記記事には記載ありませんが)この時の分析データを見てみると、
(うたまっぷでの検索で)
2005年8月までのプリキュアソング281曲において、
「勝つ」:1回
「負けない」:66回
出現していました。
プリキュアの歌には「勝つ」は存在しないのです。
(「笑うが勝ち!でGO!」とか「勝ち負けでない未来へ」など「勝ち」は7件ありました。それを合わせても8件です。)
つまり、一般的な日本の歌と比較しても
プリキュアは圧倒的に
「勝つ」ことよりも「負けない」ことを選択してきたアニメーションであることがわかります。
プリキュアは敵に「勝つ」事が目的ではないのです。
「負けない」ために、時には戦い、時には対話をするのです。
プリキュアが敵にすら、お互いにwin-winの関係を築こうとしている、ということが歌からもわかりますね。
結論
1.「90年代アニソンにフライアウェイ多すぎ」は棄却。
2.「フライアウェイ」は主題歌として印象に残っているため90年代に多い様に感じた?
3.日本のアニソンは「ファラウェイ」よりは「フライアウェイ」の方が多い。
4.テニスの王子様は、フライアウェイしすぎ。
5.プリキュアは「勝つ」ためではなく「負けない」ために戦っている。
上記の事が判りました。
・・・歌詞検索サイトだけで、これだけ色々と遊べるので、皆様も色々と調べられてみてはいかがでしょうか?
(おわり)
*1:検証:歌詞検索サイト別による「フライアウェイ」の検索数。