7月5日からの記録的な豪雨で469世帯931人が避難し、10人の死亡が確認された福岡県朝倉市(8日正午現在)。
深い爪痕が残った地域を元気づけようと、地元・朝倉高校の高校1年生が雨や土砂で汚れた写真を復元する活動を始めた。
「思い出も諦めてほしくはありません」
呼びかけを始めたのは、朝倉高校写真部1年の末吉弘聖さん(@frtdw671)。7日夜から、Twitterにこんな投稿をした。
末吉さんは投稿で、「アルバムや写真は、大切な思い出です。そんな思い出も諦めてほしくはありません」と綴り、豪雨による浸水や濁流で汚れてしまった写真やアルバムがあれば、できる限り復活させます、と呼びかけた。
誰のものかわからないものも、復元すれば持ち主に返すことができるかもしれないから預けてほしいとし、「急いで写真を集めたりはしません。一人一人のペースに合わせてお答えするつもりです」と続けた。
「今まで経験したことのない大雨」
朝倉市下浦に住む末吉さん。福岡県に大雨特別警報が出された5日午後は、「今まで経験したことのないような大雨だった」と振り返る。
「特別警報が出た頃は、本当にバケツをひっくり返したような雨が降ってきて、傘をさしてるだけで重かった。雨粒がビー玉みたいで屋根に当たる音がすごくて、本当に怖かったです」
自宅や家族は無事だったが、倉庫が10cmほど浸水し、家の外も足首まで水に浸かった。
3日経ったいまも、クラスメートの中には家が被害を受けて帰ることができず、塾に寝泊りしたり、親戚の家に頼ったりしている人もいるという。
「本当に身近な友だちがたくさん被害にあって、何かしたいけどまだ現地へボランティアに行くわけには行かないし……。何か今すぐできることはないかと考えていました」と末吉さん。
そんなとき、震災がつなぐ全国ネットワークが作った資料「水害にあったときに」をSNSで見つけた。
高校から写真部に入った末吉さんの目を引いたのは、濡れてしまったアルバムや写真も「しっかり洗浄、乾燥すれば復元することができる」と書かれた箇所。
「僕たちの世代はスマホやネットで写真のデータを残せますが、おじいちゃんやおばあちゃんの世代は写真がなくなってしまったら思い出も残せないかもしれない」
「家が浸水して取り壊しになったり、家具や家のものがだめになったりする人がたくさんいる中で、思い出までも諦めてほしくないと思ったんです」
末吉さんは同じ写真部の1年生の協力を得て、Twitterで呼びかけを始めた。実際の作業では、東日本大震災後、各地で写真洗浄に取り組んできた「ハートプロジェクト」のマニュアルを参照するという。
末吉さんは活動を通じて、地元の人たちを元気づけたいと考えている。
「まずは、避難や復旧作業を優先してほしいと思います。そして、少しずつ余裕が出てきたら、写真や思い出が心の支えになればうれしいです」
Saori Ibukiに連絡する メールアドレス:saori.ibuki@buzzfeed.com.
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