博物館なんかで展示されている埴輪や土器を見て感動する人はどれくらいいるのだろうか。
「昔の人が作ったなんて、なんか凄い」くらいの粗略な思料の持ち主の自分からしてみると、それに秘められた歴史的価値や意味というのも思考回路から排除してしまいがちである。
しかし、そんな歴史無礼な人間ですら、埴輪や土器への興味が湧き出てしまう場所、埴輪の専門店「はにわの西浦」というお店がある。
今回は、前回紹介した「真壁石材ストリート」の道中で見つけた埴輪ショップを紹介したいと思います。
※前回の記事はこちら↓
「はにわの西浦」へ
「石材ストリート」の散策といえど、目標が無さすぎるのもどうかいうことで、直前に車で下見した時に見つけた埴輪が立ち並ぶ店を折り返しの目標地点として、県道沿いをひたひたと歩いていた。
道中では、本来の目的であった真壁町の石材屋さんで造られている石材彫刻を見たり、職人さんと会話したりしながら歩いていた為、下見の時ではスッと到着すると思われていた道のりを嫌に遠く感じていたのだが、急に歩道沿いの塀に現れたチビ埴輪の群れのおかげでそんな気持ちも吹っ飛ぶことになる。
▲塀の上にあったチビ埴輪たち
程なく歩くとロッジ風な建物と無数の埴輪がずらりと並ぶ。こちらがはにわ専門店の「はにわの西浦」(呼称は桜川市観光協会HPから)。
お店の周りを取り囲みながら、歩行者やドライバーを見つめる埴輪たち。
後に聞いた話だと、ここら辺では(勿論)かなり有名なお店だそうで、テレビの取材もたまにくるとか。(よく考えたら自分も観たことがあった)
▲お店の隣にある古屋。こちらも埴輪がぎっしり。
店内に入りきらないような大きいサイズの埴輪や土偶たちが外に置いてあるようだ。
▲植木鉢なんかもあるようだ
ちなみに、店回りの敷地内では収まりきらないようで、道を挟んだ向かい側の敷地(駐車場があるそうなのでたぶん駐車場)にもかなりの量が置かれている。
店内の様子
入り口前でもたくさんの埴輪たち。他にも傘立てや植木鉢なんかもあるようで、どれもこれもとても可愛い。
それにしても、このレパートリーの多さは尋常ではない。しかも、その全てが売り物なのだ。
万引きでもしようものなら、すぐさまこちらへ向かって来そうな程の視線を受けながら、いざ店内へ入る。
小サイズから中サイズの埴輪がずらりと陳列されている中で、最初に目に入ったのが左手側のカウンター。誰も居ないのだろうか、懐かしの黒電話の隣には電話番号とメッセージが添えられていた。
▲カウンター周りについては後述
ラジオの音がなんとなく聞こえて来たので、奥の工房?を覗いて見ても誰も居ない。
▲奥の工房?作業中の作品等が置いてあった
とりあえずお店を一通り見て回ろう。こちらは一階部分。
階段を上がって二階へ。
一階と違い日差しが入って来るので、雰囲気も良い二階。
▲二階は電気がついていなかった
どうやらここでは埴輪工作教室的な事もやっているようで、子供が作ったと思われる埴輪が置いてあった。
車で来て居たら大きめの埴輪を一つ買っていたかもしれないが、今回は断念。手頃なところでこちらのばかいぬを購入。
カウンターで山中さんに電話すると、今からこちらに向かうとの事だったので待機する。
待つこと、数分。お店へやって来たご主人にお会計をしてもらい、折角なので少し埴輪について話を聞いてみたところ、どうやら近隣の畑で赤土が採れる事がきっかけで埴輪作りを生業としているらしい。
たしかにカウンターの裏には野菜の段ボールが沢山あった。
埴輪一挙公開
お店の雰囲気は伝わっただろうか?
ここからは「はにわの西浦」にある素晴らしい作品を紹介したい。
▲動物の鉢大サイズ
▲たまに値札がついている作品も
▲小僧、サボテン、鶏、なんでもある
▲桃鉄でおなじみのビンボー神。頭に猿が乗っている。
▲説明文もなかなか味があっていい感じだ
▲これも鉢植えなのだろうか?鉢植え多し
▲縄文土器。細部まで抜かりがない。
▲お尻の穴がまた可愛い
▲仮面も作っているようだ
赤土から作られた作品の数はお店の中だけでも3000以上ありそうだ。そして、このバリエーションの豊富さは縄文人も見習いたくなってしまうだろう。
今回レポートを書くにあたって(例のごとく)wikipediaを参照している訳だが、概要の初っ端に
埴輪は、3世紀後半から6世紀後半にかけて造られ、前方後円墳とともに消滅した。
と記載されていた。
自分は割とwikipediaを信頼している人間だが、これについては異議を申し立てたい。
写真・文/平井利治