公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7日発表した2016年度の運用実績は、7兆9363億円の黒字と、2期ぶりに運用益を確保した。期間の損益率はプラス5.86%(前期はマイナス3.81%)となった。昨秋以降の株価上昇で国内外の株式運用益が改善した。金利上昇(価格下落)を受けて、国内外の債券は運用損となった。
GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を国内外の株式や債券に分散投資している。運用資産額は3月末時点で144兆9034億円となり、1年前(134兆7475億円)と昨年12月末時点(144兆8038億円)と比べ着実に増加している。
資産構成別の収益の内訳(市場運用分)は国内株式が4兆5546億円、外国株式が4兆3273億円の黒字だった。一方、国内債券は3958億円、外国債券は5962億円の赤字となった。
3月末時点の積立金全体の資産構成は、国内株が23.28%で、昨年12月末(23.76%)に比べて低下した。外国株は23.12%と12月末(23.16%)から小幅に低下した。国内債は31.68%(12月末は33.26%)、外国債券の比率は13.03%(12月末は13.37%)だった。現金などからなる短期資産の比率が8.89%と2016年12月末に比べ2.43ポイント上昇した。株式や債券相場の変動率が大きくなるなかで、運用リスクを取りきれず現金が積み上がった。
15年度末の資産構成は国内株が21.75%、外国株が22.09%、国内債が37.55%、外国債が13.47%だった。
【GPIFの資産構成】
17年3月末 16年12月末 16年3月末
国内株式 23.28% 23.76% 21.75%
外国株式 23.12% 23.16% 22.09%
国内債券 31.68% 33.26% 37.55%
外国債券 13.03% 13.37% 13.47%
短期資産 8.89% 6.46% 5.14%
〔日経QUICKニュース(NQN)〕