■てんでんこ 皇室と震災・第2部4

 1959年10月5日。伊勢湾台風の被災者を見舞い、名古屋で1泊した皇太子明仁さまは、午前9時過ぎに自衛隊ヘリに乗った。前夜までの雨で視察コースが固まらず、ヘリに乗ることが決まったのは午前7時過ぎ。隣に座る岸信介(きしのぶすけ)首相は背広に革靴だったが、皇太子さまは背広に長靴を履いた。

 愛知、岐阜両県の上空からは、一面泥水につかったまま、ゴミが多数浮かぶ被災地が見渡せた。津市に降り立ち、三重県庁で田中覚(たなかさとる)知事から説明を聞いた。

 皇太子さまの被災地訪問については、歓迎の声ばかりではなかった。

 訪問前の読売新聞(10月3日…

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