日本とEU、EPA協定で大枠合意 多品目の関税撤廃へ

トゥスクEU大統領と握手する日本の安倍晋三首相(6日、ブリュッセル) Image copyright AFP
Image caption トゥスクEU大統領と握手する日本の安倍晋三首相(6日、ブリュッセル)

日本と欧州連合(EU)は6日、ブリュッセルで首脳会談を開き、経済連携協定(EPA)について大枠合意した。

合意の下、世界最大級の経済規模を誇る日本とEUの間で多くの品目への関税が撤廃される。

しかし、具体的な合意内容については、ごく一部しか明らかにされておらず、実施に移される協定がまとまるまでには、なお時間がかかる見通しだ。

合意に向けた協議で焦点となっていたのが、日本の自動車と欧州の農産物だった。

ドイツ・ハンブルクで7、8日に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(サミット)直前の6日、日本の安倍晋三首相とジャンクロード・ユンケル欧州委員長がブリュッセルで首脳会談を行い、大枠合意がまとまった。

今年1月にはドナルド・トランプ米大統領が、日米を含むアジア太平洋地域の12カ国が長年の交渉の末に合意した環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱している。

ブレグジットに対抗

ドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は、大枠合意は世界貿易を強く支持するEUの姿勢を表していると述べた。「我々はやり遂げた。我々はEUと日本との間の政治・貿易協議をまとめた。EUは世界への関与をさらに深めている」。

トゥスク大統領はさらに、EUが自由貿易を推進できないという、一部のブレグジット(英国のEU離脱)支持者の言い分について、今回の合意が反論になると語った。「孤立主義と分裂の時代が再びやってくると言う人もいるが、それは違うと我々は示している」。

トゥスク大統領はまた、貿易がもたらす相互利益だけが今回の合意の目的ではないと述べ、「我々の社会を支える共有の価値、つまり自由民主主義、人権、法の支配」を合意は反映していると強調した。

人口1億2500万人余りの日本は世界第3位の経済大国で、欧州にとって7番目に大きい輸出先だ。

欧州にとって最重要品目の一つは乳製品。日本では近年、乳製品の消費が着実に増加しつつある。

欧州の酪農家は自国での需要減少や競争の激化に悩まされている。酪農業界は、生産コストが収入を上回っていると主張する。

合意の正式署名後も、海外との競合に準備する猶予期間を設けるため、関税撤廃に最大15年かける品目もある。


<解説>デイミアン・グラマティカス記者、BBCニュース

EUと日本は二つの取引を一度にまとめた。貿易協定と、それに加えられた「戦略的なパートナーシップ」だ。貿易協定では、主要な自由貿易圏が形成され、もう一つでは、気候変動などのほかの分野で両者が協力する。

二つとも「大枠」合意であり、一部詳細については今後の合意が待たれるため、今後も障害に直面するかもしれない。しかし、世界最大級の経済規模を持つ国と地域による合意が世界に送るメッセージが何であるかは間違いようがない。

2012年に始まったEUと日本の交渉は暗礁に乗り上げていた。しかしトランプ氏の大統領当選、そして米国の内向き化がEUと日本の背中を押し、意見対立を乗り越えさせた。両者とも、新たな経済機会をもたらす重要な合意がまとめられると、それぞれの有権者に示したいと考えている。

EUと日本はまた、国際社会にはっきりとしたメッセージを発信したいと考えている。民主主義を掲げる先進国・地域の日本とEUが、自由や自由貿易、法の支配に基づく世界を強く支持し、そのような世界を形作る役割を米国が担わないのであれば、自分たちでやるということを。 


(英語記事 EU and Japan reach free trade deal

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