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118.無限回復弾
アブソリュートロックが消えた後、その場に階段が現われた。
アウルムの時と同じ、最下層ながらも、レアモンスターを倒した後に現われる下への階段。
「ちゃんと出てくれたか」
「何が出たですか?」
「エミリーは見えないのか?」
「はいです」
「みんなは?」
セレスト、イヴ、アリスにも聞く。
三人は同じように首を振った。
目の前に見えている階段、紛れも無くそこに存在している階段。
それでも、四人には見えない。
俺にしか見えないのか。
「って事は俺しか降りられないって事だな。たしかダンジョンの主にあうのって何百年かに一度とかだったっけ」
「ええ、そう聞いているわ」
物知りのセレストがこたえた。
この世界でのドロップ関連を、おれは「おれだけ」と「だれでも」の二つに分けた。
ダンジョン外でのドロップ、ハグレモノからのドロップは俺だけ。
ダンジョン内でのドロップは誰でも、だ。
この階段も、過去に例があるのなら「だれでも」になる、俺があっさり出せるのはドロップがSだからだろう。
そしてみんなに見えないのは、俺がトドメを刺したからだろう。
そう思うと納得は出来た。
くるっと振り向いて、四人の仲間と向き合う。
「ありがとうみんな。ちょっと行ってくる」
「ファイトなのです」
エミリーがそう言い、他の三人も頷いた。
励まされた俺は、銃弾を念の為にあれこれ装填してから、みんなの笑顔に送り出されて階段を降りた。
降りた先はアウルムの時と同じような真っ白な空間、降りた瞬間に階段が消えたところまで一緒だ。
そして、空間の中央に岩が転がっていた。
岩は今し方倒した、アブソリュートロックそっくりだった。
「まさかな――リペティション!」
呪文を唱えて魔法をうった。
一度倒したモンスターを無条件で再度倒す魔法。
魔法は岩にヒットしたが、何も変化はおきなかった。
「やっぱり違うモンスターだな」
そうつぶやきつつ、銃に手をかけ、いつでも撃てるように身構えながらゆっくり近づく。
二十メートル離れたいたのを徐々に近づく。
十五……十……九……八……七……六……五。
約五メートルくらいまで近づいてきたところで相手が動いた。
変形した。
それまでじっと置物石のようにまったく動かなかったら石が、質量どうなってるんだ一体、的な感じで変形した。
体積が膨らみ上がり、内側から外に向かって大きくなっている。
石が石のまま、2メートルほどの人型になった。
「ゴーレムか」
頭の中にその単語が浮かび上がった。
岩素材で人型のモンスター、ごつくて、一目でパワータイプだと分かるフォルム。
ゴーレム、という呼び名以外俺は知らなかった。
そいつは形が変わっただけじゃない。
今まで決して動かなかったアルセニックのモンスターとは違って、動いて襲いかかってきた。
うなりを上げて襲ってくる豪腕、地面を蹴って真横にとんでかわした。
パンチは地面に突き刺さり、空間を大きくゆらした。当たりゃただじゃすまないな。
「これでどうだ!」
よけつつトリガーを引く。
まずは強化弾ましましの無限雷弾。
銃弾が電光を曳いてゴーレムに飛んでいく。
ゴーレムは手をつきだした、手のひらをあけて雷弾を受け止めた。
稲妻が荒れ狂う、ゴーレムの手の中でパチパチ轟音を鳴らした。
電光が収まった後、ゴーレムは無傷だった。
「やっぱり無理か」
パンチをよけつつ、あれこれ撃ってみた。
消滅弾から拘束弾まで、フルセットを一回ずつ打ち込んでみた。
ゴーレムは無傷だった。
「硬さはアブソリュートロックと同じってことか」
変形前の姿が頭に浮かぶ、上の階でさんざん苦労したレアモンスターの姿とまったく一緒だった。
性質もまた一緒なんだろう。
つまりこいつは、動けるアブソリュートロックってところだ。
やっかいだな――やっかいだが。
そこまでやっかいでもない。
攻撃をあれこれ躱していくと、ゴーレムの能力がおおよそ読めてきた。
こいつの硬さがSかSS並みだとしたら、力はB程度、速さに至ってはEもない。
メチャクチャかたいだけのモンスターだ。
力Bクラスはそれなりに脅威だが、アブソリュートロック級に比べるとものすごく見劣りする。
無視できる程度の能力でしかない。
銃をおさめた、その場で立ち止まった。
ゴーレムが腕を振ってパンチを放ってきた、全力でパンチを放って打ち返した。
轟音が響く、空間が悲鳴を上げる。
パンチとパンチが打ち合って、ゴーレムがよろめき後ずさった。
ダメージはない、よろめいただけだ。
おれはますます、こいつが脅威ではないと確信する。
パワーはエミリー以下、ただかたいまま動けるようになっただけだ。
だから上の階の時と同じ戦法をとった。
立ち止まって、全力のパンチを叩き込む。
殴って、殴って、殴り続ける。
攻撃してくるゴーレムの拳をカウンターで殴り続ける。
カウンター分威力が上乗せされたからか、ゴーレムはアブソリュートロックにに比べて少ないパンチで体にヒビが入りはじめた。
当然逃がさない、そのままたたみかける。
何度も何度も、ヒビが入ってるところに全力――力SSのパンチを叩き込む。
ヒビが大きくなって、全身に広がっていく。
そして――最後のカウンター。
空間を震えさせる程の一撃でよろめかせた結果、ゴーレムは腕から体へと、順に崩落していった。
ボロボロと崩落した岩の固まりはシュウウウ……と音を立てて消えていく。
それを眺めた、じっと眺めた。
ゴーレムが完全に消えたあと、そこに虹色の弾丸が現われた。
近づき、拾い上げる。
――無限弾丸を一つ選んでください
アウルムの時と同じ無限弾丸だった。
俺は即答した。ここ最近で必要度がぐんと上がった回復弾を選んだ。
虹色の弾丸が回復弾と誘導して、無限回復弾になる。
銃に込めて、うつ。
トリガーを引いて連射した。
回復弾は無限に打ち出される。
「これならリペティションでのガス切れも心配しなくていいようになるな」
副次的な報酬に満足しつつ、銃をおさめる。
そして――。
「よく来た若いの」
本命――しわがれた声の出現に、ここからが本番だと、気を引き締めたのだった。
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