『ひよっこ』の中には茨城がいーっぱい!

連続テレビ小説『ひよっこ』最初の舞台は茨城。
ドラマでは、撮影が始まる前から演出や美術の担当がロケ地を訪れ、地元の方から、茨城らしい服装や当時の食べ物、家に置いてあるものなどを取材。
実際に『ひよっこ』のスタジオセットにも取り入れました。

5月8日 UP!

しいたけの種打ち

5月3日放送の第27回(第5週)で、みね子にエールを送る茂(古谷一行さん)が庭で作業していたのは「しいたけ菌の種打ち込み」。農業指導の先生が、茨城から本物のしいたけや種打ちするためのナラの原木を持ってきてくれました。さらに、今は存在しない三角の種駒(木片にしいたけ菌を繁殖させるもの)をこのシーンのために手作り! 菌を埋める作業をするための準備をしてくださいました。
農業指導の先生いわく、1964年当時は、打ち込みハンマーで原木に穴を開け、三角の種駒を打ち込んでいたそうで、1967年ごろからは、穴を開けるのにドリルが使われるようになり、しいたけの種駒も丸い形に変わりました。

米俵(三男が働く米店)

三男(泉澤祐希さん)が働く、東京・日本橋の“安部米店”。その店先にある米俵も、茨城県常陸大宮市で一から手作りしたもの。今はなかなか米俵を見る機会も少ないですね。
農業指導の先生によると、今回、6俵の俵を作るのに、2人で10日間もかかったとか。俵をうまく作ることのできる人は限られていて、今回の撮影用に準備の作業をしたのは、地元の70代、80代の方が中心だというから驚きです。

納豆づと

茨城のシーンでは、家の中で農作業をしながら会話をする場面が多く見られます。実際の作業と比べ動きが不自然でないかどうか、演出と地元の方とで確認しあいながら撮影をしています。
5月9日放送の第32回(第6週)で君子(羽田美智子さん)がしているのは納豆の仕分け。農作物が取れない冬の間の作業でした。実は、納豆を包んでいる“納豆づと”は家で保存する物と売られている物とで縛り方が違うのだとか。ドラマで使用した納豆づとは全て、当時茨城で実際に作っていた方の手作りです。

茨城弁のこと

地域によって大きく異なる “茨城弁”。奥茨城村は茨城の北部にあるという架空の村の設定なので、その土地柄と、ドラマが描く60年代という時代性を考えて方言を作っています。そのうえで、全国の人が聞いてわかるような茨城弁にしています。
さらに『ひよっこ』では、キャラクターや年齢によって方言を使い分けています。例えば、性格が三者三様のお母ちゃんたち。美代子(木村佳乃さん)はお上品、君子(羽田美智子さん)は天然キャラ、きよ(柴田理恵さん)は力強いお母ちゃん、という具合に、完成した台本のセリフをそれぞれの性格が出るような茨城弁に直しています。
また、茨城弁は話す人のそのときの気持ちで、同じ言葉でもイントネーションが上がったり下がったりするため、「どういう気持ちでそのセリフを言うのか」を考えながら方言指導をしています。
そして、何より大切にしていることは、全国放送であるということ!
ヒロインのみね子(有村架純さん)が、全国の皆さんに愛されるようにと、茨城弁のかわいらしい部分が出るように意識しています。

4月24日 UP!

河合のほうき

茨城県常陸太田(ひたちおおた)市の下河合地区のほうき。『ひよっこ』の時代には、同地区内で約50軒の農家がほうき作りの仕事に関わっていましたが、現在はたった1軒となってしまいました。 ほうきの材料は、イネ科のホウキモロコシ。真夏に穂を収穫し、穂の長さをそろえて釜でゆで、天日干しにして保存。農閑期(農業がひまな時期)の晩秋に作ります。ゆでる作業を経ることにより、虫が付きづらくなり、穂も柔らかくなるのだそう。これは、昔の人の知恵です。ほうきの形には作られる地域で特徴があり、『ひよっこ』で使われているのは、穂を扇形に束ねた部分に穴が2つある特殊な編み方のもの。その形から、“めがねほうき”と呼ばれています。
4月24日放送の第19回(第4週)では、お母ちゃん(木村佳乃さん)が、大掃除のシーンでこの“河合のほうき”を使っています。このほうき、いつもはちよ子の部屋を出てすぐの壁に掛けられているんですよ。

薪ストーブ

谷田部家の土間にはテーブルがあり、その下には使い込まれた古い薪ストーブがあります。
この薪ストーブとテーブルは、谷田部家としてお借りしているお家にあるものを参考に、美術スタッフが用意したもの。
テーブルの天板は外すことができ、そこへ棒を渡せば、ストーブの上にお鍋を置いて温めることができるそうですよ。

神棚

谷田部家の神棚は、実際に茨城で使われているものをお借りしたんです。昔の伝統的な生活には神棚は自然と入り込んでいて、田舎のお家などに行くと見かけたりしますよね。
今は伝統文化が薄れてきていたり、近代的なお家が多いのでこういうものから離れて生活している方も多いと思います。
『ひよっこ』では当時の人々の暮らしをよりリアルに再現するため、この神棚を日立市の神社から、はるばる東京のスタジオまで運んできました。

縄もじり機

谷田部家に置いてある縄もじり機は常陸大宮市の資料館からお借りしているものだそうです。
出演者は縄の編み方を農業指導の先生に丁寧に教わりました。4月21日放送の第17回(第3週)で、茂(古谷一行さん)が孫のみね子(有村架純さん)に編み方を教えるシーンがありましたが、古谷さんいわく、有村さんの方が器用で上手だったそうですよ。

焼き団子

谷田部家の囲炉裏(いろり)には、串に刺さった「焼き団子」が並びます。4月27日放送の第22回(第4週)で、木村佳乃さん、羽田美智子さん、柴田理恵さんのお母ちゃん3人が谷田部家で女子会をするときもほら…!
うるち米でできた団子で、ゆずみそなどを塗って焼いてあります。おいしそうな香りに、出演者の方々からも思わず「食べたい…」という声が…。今回の焼き団子は、茨城県大子町の方に作っていただいたそうです。