なんか最近情勢が物騒だ。どこぞの北のデブが騒いで、アメリカさんに喧嘩をふっかけたみたい。ふっかけたにも関わらず日本海のEEZに落としたのは何でなんですかね…。
ということで、理解を深めるために、今回は「北朝鮮のミサイル」の種類を見て行こうと思う。その後、どうすれば核ミサイルが発射された後、生き延びることができるかについても解説している。
難解な理論なんかは全くないので、ぜひついてきてほしい。
核兵器とは
日本で一番有名な核兵器といえば「原子爆弾」だろう。
日本には過去2回原爆が落とされている。8月6日が広島、8月9日が長崎、その被害は甚大だし、語り継がれるほどのものではあるが、具体的にどんなことが起きて爆発してるのかを知っている人はなかなかいまい。
特に、中学時代・高校時代に化学が苦手だった方などは、どうしても核と聞くと難しいことやってんだろうな というイメージが先行しがちだ。
そこで、そういう方々にも理解しやすいよう、私が可能な限り噛み砕いて説明を行うので、ぜひついてきてほしいと思う。
以下、核って何や。原子ってよーわからん!みたいな人だけが読むことを勧める。
基礎的な知識になるがゆえ、今回伝えたいこととは少し違ってくるからだ。
(ここから先は、わかる方は飛ばしていただいて結構です。)
原子について
端折って説明すると、原子というのは「物質を構成し、物質を区別するための最小の単位」である。
例えば、あの甘い砂糖というのは、実はこういう風にできている。
六角形の角にはそれぞれ「炭素原子」が省略されている。
見えている「O」は「酸素原子」、「H」は「水素原子」である。
我々が砂糖というものを考えたとき、砂糖を極限まで細かくしていくと、一体何が残るだろうか。
小さな砂糖の粒だって、もっと分解することができるはずだ。
そうやって細かくするとき、最後に残るのが……「原子」という単位の集まりだ。
何だか不思議な話だけれども、「酸素原子」「炭素原子」「水素原子」によって、砂糖はできている。
これを言い換えると、「砂糖はたくさんの原子でできている」と言うことができる。
だが注意してほしいのは、「酸素原子」は「酸素」とは違う。
「炭素原子」は「黒鉛」とは違う。
「水素原子」は「水素」とは違う。
原子というのはあくまで最小限の単位であり、世の中のほとんどの物質は、それらの原子が複雑に組み合わさってできている。
だから、「気体の酸素と、黒鉛と、気体の水素を混ぜると、砂糖になる!」というような、錬金術チックな話をしているのではない!
原子のイメージ図
原子ってのはさらに「原子核」と「電子」に分かれてて、「原子核」の周りを、「電子」が回っている。
まあそういう名前なので憶えてってだけ。
「原子核」ってのは電気的にはプラスの性質を持っている。
「電子」ってのはマイナス。
静電気が起きるのも、この二つがそれぞれ電気を帯びていて、そのプラマイが釣り合っていたのから、片方に電子が移動して釣り合いが崩れるから……と説明される。
このレベルに行くとまあスケールとしてはメチャ小さい。
水素原子は1つあたり53pm(ピコメートル)、これは1cmの数億分の1スケール。
つまり1cmを数億に分けたうちの一つ、ということになる。
地球から見たピンポン玉の大きさと、ピンポン玉から見た水素原子の大きさが、だいたい割合一緒。それぐらいには小さい。
で、原子の真ん中にある「原子核」ってのは、実はさらに細かく分けられる。
それが「陽子」と「中性子」ってやつね。名前だけしか出さんけど。
さっき、「原子核」は電気的にプラスだと書いたけど、それは「陽子」のおかげ。
中性子は名前の通り、電気的には中性、何も帯びていない。
説明としてはそれだけ。
図にしてまとめてみる。
核力
でもそうすると皆さんはこう思うだろう。
「え、陽子と中性子は、どーやって結びついてんのよ?」と。
これを説明するのが、「核力」という力である。
我々が住む地球において、誰も重力から逃れられないように、この力はほぼ不可避的に原子核の中で働いている。めっちゃ強い。
そうして、陽子と中性子が逃げていかないようにしているのだ!
核分裂
しかし、核力とは言えども限界があって、「他の強い力が与えられる」と、陽子や中性子が引き離されてしまうことがある。(自然に崩壊するケースもあるけど)
他の強い力というのは、具体的には「中性子の衝突」だ。
他のところから中性子を持ってきて、この原子核にぶつけてやると、「今まで核力で引きあっていた陽子と中性子」が離れていって、より「軽い」原子になる。
軽い原子というのはいわば、「原子核が軽い」原子のこと。
基本的に、「重たい」原子ほど、これが起こりやすい。
自然界に存在する最も重たい元素は「ウラン」だ。
ウランに中性子をぶつけてやると、ウラン原子核の中の陽子と中性子が分かれていく。
この現象のことを、「核分裂」と呼ぶ。
この際に生まれるエネルギーは、ただの化学反応から出るエネルギーの100万倍ともいわれる。
分かれていった中性子は、他の原子核にまたぶつかり、連鎖的に反応が起きる。
これを利用することで、核爆発を起こすのだ。
人工的に作られるプルトニウムはもっとすごい。
無理やり原子どうしをぶつけて作るから、言ってみれば「不安定」で「不自然」な状態だから、ほっといても反応が起こるぐらいには敏感。
原子爆弾にはウランやプルトニウムが主に使われている。
原子爆弾・原子力発電所は、基本的にこういう原理で動いている。
実は原子爆弾のほかに「水素爆弾」という核兵器もあるのだが、こっちは「核融合」といって、今説明したことの逆を行ってエネルギーを取り出す。
実はここからが本題。
読み飛ばしていた方は、ここから読み進めてほしい。
テポドン
たぶん一番有名な核ミサイル。
ICBM(大陸間弾道ミサイル)の一つ。
(より詳細にはテポドン2号の話)
大陸間弾道ミサイルというのはその名の通り、海をまたいで、大陸を飛び越えて攻撃することができるミサイルである。
まあ単純に、「めっちゃ射程が長いミサイル」だと思えばいい。
テポドンの射程は6700km。
(http://www.afpbb.com/articles/-/2871226?pid=8780249より)
上の図の6000㎞が一番外側の円だから、かなり広いだろう。
ソースによっては13000kmとしているものもある。地球の半径が6371㎞、完全な球体と仮定すると、地球の表面積のおよそ75%をカバーできる。
なんかだいぶ誤差あるな。
しかしテポドン(というかICBM)の怖いところはこれだけではない。
発射後、上空数千kmまで飛ぶため、迎撃が非常に難しいのである。
飛行機が飛ぶのがせいぜい上空10㎞……といえば、そのすごさがわかるだろう。
大気圏なんか越しちゃって、そこからようやく降りてくるのだ。
すんごい速さで。
これを撃ち落とすための策は今、主に二つ。
イージス艦に搭載された迎撃ミサイル(SM-3)。
これならかなり精密に、そして広範囲に迎撃することが可能だ。
がしかし、そもそもイージス艦が遠くに出払ってしまっている可能性がある。
つまり、急な迎撃に備えて、誰かが起きてイージス艦で見張っていなくてはならないし、監視のためのイージス艦は訓練にも参加できない。直球で言うと効率が良くない。
もう一つが日本の最後の砦。
PAC-3(パック3)。
地対空ミサイル、つまり地上から、こっちに飛んでくる飛翔体を撃ち落とすための兵器だ。
しかし現行型では十数キロのごく限られた範囲しか届かないし、高速で飛んでくるミサイルを一発で確実に撃ち落とせる保証はない。
あくまでイージス艦が撃ち漏らしたものを迎撃するためのものだ。
それで撃ち落とせなかったり、範囲のところにいなければ……終わりですね。
知り合いのミリオタが、「針で針を落とすようなもん」とかなんとか言ってたけど、たとえとして適切なのだろうか。
もっとも、日本は最近になって陸上型イージス(イージス・アショア)の導入を検討している。
2、3基あれば日本全土を守れるというのだからすごい。
イージスというのはまあ、「敵の危険度によって優先順位つけたりして、同時にいろんな目標を捕捉する」という感じのシステムのこと。
普通はイージス艦という現代的な艦にしかついてない高価なもんなんだけど、その技術を陸上に転用、ということなのかしら。
ここで紹介されているTHAAD(サード)というのは、以前日本が導入を検討していた(と毎日新聞が報道していた)迎撃ミサイルのこと。実際は検討してなかったらしいけど。PAC-3よりも範囲が広く、大気圏(上空1000㎞とかそこらへんまで)に再突入してきたミサイルを撃ち落とすためのもの。
一体どうなるんだろう、今後が気になる。
ま、がんばってください。こっちは各自で逃げますんで。
スカッド
旧ソ連で開発された小型ミサイル。スカッドが初めて実戦で使われたのが中東戦争で、フセインがイスラエルに向けて計43発を発射。
この技術が北朝鮮でも流用された。
Wikipediaくんによれば「基本的な構造のため、貧乏な国でも作りやすい」とあったけど、本当だろうか。
それが本当かはわからんが、昔からあるタイプなので、今のと比べて技術的に古いのは確かだろう。
北朝鮮が2006年に発射したのはスカッドーCタイプで、射程はおよそ600㎞。
改良版も作られており、そっちだともうちょい長くなる。
日本で言えば九州に届く可能性があるが、それより脅威なのは、「発射の予兆を確かめるのが難しい」というところにある。
スカッドは割りと小さいほうなので、発射機に積むことができる……すなわち、車両での移動が可能ということだ。大がかりでない分、目立たないので予測が難しい。
アメリカが衛星で空の上から見ているとは言え、この予兆を見てから迎撃態勢にうつるまで、ちゃんと間に合うのだろうか。
来ないことを祈ろう。
ノドン
スカッドミサイルをもとに開発されたミサイル。1993年に試写会ならぬ試射会が。
射程はおよそ2000km(データによれば1000kmとするものも)なので、日本で言えば大阪らへんまでは届くのかな。頑張れば東京もいける?
によれば、最近、ノドンの改良型として、以前液体燃料だったノドンを固体燃料式にしたらしい。(というのは実は誤報で、のちに説明するムスダンの固体燃料式だったんだけども一応)
この二つの違いはいろいろあるが、固体のほうがコストがかさみ、相応の技術が求められるが、液体燃料と違い推進剤を入れるだけなので取り回しが効く。
うまくいってしまえば、発射までの時間がそう必要ないのだ。
また、液体と違い燃料も長持ちするし、テポドンに比べて小さく車両に積めるので、格納庫から取り出してそこで撃てば済む。
朝日のが誤報でなかったとしたら、ものすごい脅威だ。
ムスダン
中距離弾道ミサイル。射程は2500~4000㎞で、日本全土を射程に収める。
どころか、グアム基地まで入れてしまっている。
2016年にはムスダンが計8回発射された(ほとんどは失敗)し、
によれば量産が可能だという。
大量配備してるかもしれないというのが、ムスダンの怖いところ。
もしたくさんつくられていて、一気に日本に飛んで来たら、手の付けられようがない。
まあ、同時に同じ目標目がけて当てるほどの精度があるかどうか、ってのは、ちょっと疑問だけれども、用心するに越したことはないだろう。
今回のICBM
今回発射されたミサイルはICBM(大陸間弾道ミサイル)。
射程は6000kmで、アメリカ本土までを射程内にする。
(きっと軍事力アピールというか、「俺たちを舐めてんじゃねえぞ」的態度での発射もあったとは思うが)
発射後わずか12分後に防衛省から「日本のEEZ(排他的経済水域)に着水するかも」という発表があった。落下前に発表があったのは初めて。まあつまりめちゃくちゃ早い。
5月29日の発射では発射後35分後に発表があったが、飛行時間が短かったのと、早朝だったこともあり、落下に間に合わなかった模様。それを改良したのだろうとみられている。
今回は落下予測地点の発表はなかったが、これは日本の領土・領海に落ちないとわかっていたからだろう。もし領土・領海に落ちる場合は、Jアラートという速報のシステムが働き、各携帯電話に緊急のメールが送られる。
そうならないことを祈ってはいるが、落ちてきそうな場合はすぐに避難してほしい。
私のサイトで行う説明としては以上になるが、他にも「潜水艦から発射する」タイプのKN-11がある。水中からの発射なので予測が難しい。
KN-11 が詳しいので、興味のある方はそちらに。
とにかく逃げよう
Jアラートが鳴った場合、とにかく近くの頑丈な建物に逃げよう。
これは熱線を逃れるためだ。原爆でも半径数キロの人達は、強烈な熱線を直接浴び、苦しむ間さえなく焼き尽くされていった。
頑丈なレンガ・コンクリートの建物がよい。
できれば地下室のあるところがいいが、地上すれすれでミサイルが爆発した場合、クレーターができるぐらいには衝撃が強いので、その時は諦めよう(笑)
熱線をかわした後も油断はできない。その後の脅威は衝撃波だ。
適切な姿勢は以下の通り。
「耳を手で覆い(鼓膜が破れるのを防ぐ)、目を閉じ、口は開けたまま。地面に伏せるがお腹は地面につけない(地面からの衝撃による内臓へのケガを防ぐ)」
衝撃波をやり過ごしても、まだ油断はできない。
原爆投下の日らへんでは、その後「放射性物質を多量に含んだ雨」俗にいう「黒い雨」が降ってきたという。また、落ちてくる灰もやはり放射能を持つ。
これらに当たると被ばくしてしまうので、外に出ないほうがよい。
被ばくのリスクは直接的な死ではない。むしろ、数か月~数年後という長いスパンで効いてくる「ガン」だ。
ガンというのはいわば「おかしくなった細胞」によって引き起こされるもので、細胞分裂の際、放射線によって壊されたDNAをもとに分裂が行われることで、増殖していってしまう。
東海村の原発事故を見てもわかるように、最期まで非常に苦しい思いをしなければならなくなる。子どもにも影響が出ることがある。
そのため、投下から少なくとも数日間は外を出歩かない。
また、食べ物は外から持ち込まれたものではなく、予め準備しておいたパック状のものを食べるほうがよい。これは体内部での被ばくを防ぐためだ。
(ということは、頑丈な建物には数週間分の水や食料などを置いておくのがいいが、なぜか日本では核シェルターなんてものがほとんど配備されておらず、現状対策としては不十分すぎると言わざるを得ない。あんな変な国家が近くにあるのにね……。)
対策は以上になる。皆さんが有事のさい、テキパキ行動できることを祈っている。