今日(6日)は、昨年8月25日の高江の不当弾圧事件で起訴された山城博治さん、添田充啓さんの第6回公判を傍聴した。
今まで毎回の公判を傍聴してきたが、実は、今日の公判を傍聴するのは気が重かった。同じ8月25日の事件で起訴されたが事情があって分離公判を続けているYさんが、検察側証人として出廷するのだ。Yさんは、辺野古海上行動の船長として共に海に出ていた仲間だった。もし、今日の彼の証言が山城博治さん、添田充啓さんが有罪となる決め手になれば、もう取り返しがつかないこととなる。
正午過ぎから始まった事前集会では、三宅弁護士から次のような話があった。「Yさんは今日、検察側証人として引っ張りだされる。しかし、彼も権力の恫喝による犠牲者なのだ。敵を見誤らないでほしい。彼を、いつか再び、我々の仲間として迎え入れるようにしよう」
山城博治さんもマイクを握り、皆に訴えた。「共に闘った仲間が、今日、検察側証人にされてしまった。ここまで彼を追い込んだ権力の卑劣さには本当に怒りを覚える。しかし、彼の人間としての尊厳をなんとしても守りたい。これからも彼を仲間として応援していこう」
そして午後、裁判が始まり、Yさんが出廷した。
(事前集会で訴える博治さん)
Yさんの証言は、一部にあった不安を完全に吹き飛ばすものだった。長く厳しい拘留・取り調べの中で検察側に追い込まれ、彼自身の裁判でも厳しいやり取りがあったようだが、今日のYさんは、すっかり以前の自分を取り戻していた。崖っぷちで持ちこたえてくれた。博治さんらが訴えたように、彼を再び仲間として迎え入れる日は近いのではないかと思えてほっとした。
そして傑作だったのはケガをしたという防衛局職員I氏を診察した整形外科医師の証言だった。防衛局のI氏は、山城さん、添田さん、そしてYさんに「暴行」され、「全治2週間」のケガを負ったと主張している。医師は、「外傷性頸部症候群、右上腕打撲」で「全治2週間」の診断書を書いたのだが、アザはあったものの、本人の訴えだけでレントゲンや各種の試験等でも全く異常は認められなかったことを認めた。また、弁護団が「人に引っ張られただけで頸椎捻挫になるのか?」と聞いたのだが、彼は、「絶対に無いとは言えないが、私の29年の医師としての経験ではそのような事例はなかった」と認めたのだ。
さらに、証拠として出されていたカルテについて弁護団が追求した。なんとカルテには「希望により2週間の診断書」と書かれていたのだ。「全治2週間」というのは防衛局I氏の要求で書かれたことが明らかになった。また、Iさんが診察に来たのは、この1回だけだったという。
この日はいずれも検察側の証人だったが、検察の目論見はもろくも破綻したと言えよう。3人の無罪はもう明らかだ。
次回は7月12日(水)、防衛局職員I氏への弁護側の反対尋問が行われる。