プロジェクト概要

無菌室とは、免疫力が低下した状態にある子どもたちを感染症から守ることができる部屋です。そして今、無菌室を必要としているのは、小児がんの子どもだけではありません。昨年は、無菌室のベッド2床に対して、30人の子どもが無菌室を必要としていました。「小児がん拠点病院」の一つとして全国から集まる難病の子どもたちを診てきたこの病院から、不足する無菌室のベッドを増やし、療養生活を包み込めるような場所を作っていきたいと思います。

 

 

 

 年間2,000人〜2,500人がかかる小児がんと向き合い続けて

 

ページをご覧いただき、ありがとうございます。国立成育医療研究センター小児がんセンター長の松本公一です。

 

小児がんは、大人のがんと異なり、発症人数や認知度が低くあまり知られていませんが、年間で2,000~2,500人の子どもたちが小児がんと診断されています。

治療のためには習熟した専門医による治療が必要になり、私たちは、国が指定する全国で15施設の「小児がん拠点病院」の一つとして全国から集まる難病の子どもたちを診てきました。

 

かつては”不治の病”とされてきた小児がんですが、現代では約70%に長期生存が期待されるまで医療は進歩しました。しかし、その一方で現在でも30%の小さないのちが亡くなってしまう病気で、5歳以上の子どもの病死原因の第1位であり、依然として子どもの生命を脅かす最大の病気です。

 

 免疫力の低下した子どもを守る無菌室――療養生活を包み込めるような場所を、みんなで作りたい

 

小児がんセンターでは、感染を防ぐため綺麗な空気の中で過ごせる無菌室(クリーンルーム)を使って治療をする子どもの数がこの数年で2倍以上の増加率となりました。


増加する無菌室を必要とする子どもたちに対応するため、治療を望む子どもたちにとってより良い環境を作ることが求められています。そして、身体的・精神的な負担をもっと軽くしてあげるためにも、今、無菌室の新設を必要としています。


もう一度家族と家で過ごせること、保育園や幼稚園・学校で友達と遊べることを願って、今も治療に耐えている子どもたちとそのご家族、そして私を含む小児がんセンターの医療スタッフみんなの願いである「無菌室」の新設に力をお貸しください。

 

無菌室2床は常に埋まっています。またシャワーは壊れており、空調の調整も不便という声が上がっています

 

 足りなくなる無菌室のベッド。無菌室を必要としているのは、小児がんの子どもたちだけではありません

 

小児がんは、大人のがんに比べて薬物療法の効果が高いとされており、薬物療法が治療の中心になることも多くあります。
 
その一方で、 白血病やリンパ腫などの血液のがんでは「造血幹細胞移植」という治療法を選択することがあります。これは、血液中の赤血球や白血球、血小板などの血液細胞を作り出している元となる造血幹細胞を移植するものです。
 

 

 

造血幹細胞移植を受ける子どもは、もともとの病気による正常白血球数の減少、リンパ球の機能異常、移植前に行われる化学療法や全身放射線療法、免疫抑制剤の使用などにより免疫力が低下した状態にあるため、感染症に感染しやすい状態にあります。
 
また、小児がんだけではなく、骨髄不全や免疫異常など、造血幹細胞移植なくしては治療できない疾患の患者さんが増え、ベッドの不足問題が深刻になっています。

 

 無菌室は、子どもたちを感染症から守ることができる特殊な部屋です

 

無菌室とは、部屋外からの菌の流入感染を予防するために常にきれいな空気が部屋内を循環している特殊な空調設備が備わった部屋のことです。こうした設備・装置を有する空間があることで、免疫力が低下した状態にある闘病中の子どもたちを感染症から守ることができます。

 

海外の医療機関などでは、入院病棟全体が無菌空間になっており、入院してからの出会いや交流が途切れないようになっていたり、身体的な自由をより追求した設備を整えたところもあります。

 

臨床研究の推進、新規治療の開発、長期フォローアップ体制の確立などを通じて、小児がん診療をリードしている私たちの病院で、きちんとした設備を完備できることで、より良い治療を受けられる子どもたちを増やしてあげることができます。

 

外からは入れないよう仕切られ、この空間で約1ヶ月を過ごすことになります

 

 「無菌室」に入るからこその安心

 

無菌室に滞在する期間は、およそ1ヶ月であることがほとんどです。普段いた入院病棟から離れて、いつも以上に身体的な自由の制限された空間で療養する時間は、小児がんの子どもたちにとって、とても長く孤独に感じられるものになりますが、菌の流入感染を防ぎ、命を守るためにはなくてはならない場所です。

 

小児がん経験者の男性が話してくれました。

 

「無菌室に入ると、無菌管理の空間から出ちゃいけなくて、すごく暇だったし、ずっとひとりだから寂しくて。それまでに、入院病棟で仲良くなった人たちとも全然会えなくなってしまうし、親もクリーンカーテンのある廊下までしか来られなくて、寂しい思いをしたのを憶えています。それでも今、僕が生きているのは、他でもない主治医の先生たちの治療と、無菌室が感染から守ってくれたお陰だと思っています」

 

今、僕が生きているのは、先生たちの治療と、無菌室が感染から守ってくれたから

 

 最先端の医療を提供し、より良い療養生活を作り出すために

 

無菌室に入らないければいけない場合、その特殊性から孤独や寂しさを簡単に取り除いてあげることはなかなか出来ません。しかし、大変な病気だから、入院中の不便・不自由は我慢するのが普通という時代ではありません。辛い時を過ごすからこそ、最先端の治療を受けられ、より良い設備のもとで療養生活を送れるようにしてあげたいと考えています。

 

無菌室が増えることで、子どもの状態や病状として、より望ましい時期に移植ができたり、「卒業式までに退院したい」「修学旅行にいきたい」「長期休暇中に退院したい」などの願いも叶えやすくなります。

 

 治療を終えてからも続く未来「普通の女子高生になりたい」

 

中学生の時に白血病を発症し一度は退院したものの、その後再発して治療に励んでいる高校1年生の女の子は、「髪の毛をずっと伸ばしていたから、髪の毛が抜けると聞いてすごいショックだった」「”何で自分だけ”・・・という気持ちが、どうしても湧いてしまって、悲しかった」――そんな想いを抱えながらも、「普通の女子高生になりたい。テスト嫌だなって友だちと話したり、電車で通学したり。所属していた陸上部に戻って、できるならもう一度走りたい」と話してくれました。

 

将来の夢は、看護師さんになること。ベッドサイドでいろんな話のできるスタッフとの出会いが、彼女の未来に大きな影響を与えました。
 

友達がメッセージをくれたのが心の支えになった。無菌室でもそんな交流が出来るようになれば嬉しい

 

高校3年生になる男の子は、治療が終わり、入院するベッドで受験勉強に日々励んでいます。将来の夢は、大好きな生物を教えられる理科の教師になること。そのために、志望校合格のための準備をしています。

 

みんなの様子がネットで分かり羨ましく感じることもある。でも退院した新しい一歩に向けて頑張りたい

 

かつては”不治の病”とされてきた小児がんですが、たとえ小児がんになったとしても長期生存が期待されるまで医療は進歩しました。しかし、長く生きることが可能になったからこそ、病気になった体験を、悲しく苦しい思い出だけで終わらせくはありません。子どもたちが治療を終えてからも続いていく未来を、少しでも明るく照らしていきたいと思っています。

 

まだ言葉も話せない小さな子どもから、受験を控える高校生など、患者さんは様々ですが、家族や友だちがいてくれることが支えになって、治療を頑張っています。だからこそ、面会のご家族や兄弟との交流、そして入院病棟で出会った人たちとの交流も含めて、ひとりひとりの願いを、今よりもっと早く叶えられるような無菌室を私たちは目指したいです。

 

変えられるところから、私たちは一歩ずつ進んでいきます

 

 『人と人との交流、ひとりひとりの願いを大切にした無菌室』を目指して

 

幼く、がんのような難病に罹ってしまうことで、親御さんが「もっと早期に診断できていたら」「自分がもっと気を付けていれば」とご自身を責めることも少なくありません。
 
しかし小児がんは、特殊な場合を除いて発症の誘因となるようなものはなく、偶然の確率で起こる病気です。

 

入院中の子どもたちが願いを込めて

 

七夕の短冊に願いを
「元気になっていろいろな電車にのれますように」
「早くびょうきがなおりますように」
「娘の病気が完全に治って家族そろって幸せに暮らせますように」
「はやくたいいんしてかぞくでどこかいきたい」
「おぼうさんになりたい」
「元気になって家族みんなで美味しいごはんが食べられますように」

 

 

小児がんを克服した男性が当時を振り返って言っていました。

 

「入院それ自体、子どもにとっては心細いものですし、それでも非日常だったはずの入院生活もすぐに日常になってしまう。それなのにさらに無菌室という場所に連れてかれる訳で、そうなってしまうとそれまでの日常から切り離されてしまうんです。だから、それまで仲良くしてた人たちと交流できなくなってしまう。そうならないように、こどもが寂しくないような環境にして欲しいと思います。」

 

誰もが、なりたくてなった訳ではない病気。病気そのものを、早く治せるように。療養生活を、より良い時間にできるように。

 

一人ひとりの人生を支えるより良い環境を、皆さんと一緒に作っていけましたら幸いです。

 

 

小児がんと戦うみんなの願いを応援してください

7月7日の七夕に合わせて、子どもたちの夢を集めました。これからの小児がん医療・小児がん経験者に向けた願いや、あなたの夢をSNSで共有してください!

#小児がん #七夕 #七夕の願い事

 

病院のロビーにはたくさんの願いが込められた笹があります

 

 無菌室の新設・リニューアルまでのスケジュールと資金使途

 

無菌室の新設・リニューアルを行うため、本クラウドファンディングによる寄附金額を除いた残りの必要資金の調達を進めています。2017年度中に資金を十分確保できれば、皆さまから戴きました寄附金は2017年12月までに無菌室関連の医療機器購入費、入院病棟の設計・施工費等、充当先を決定し、2018年度には設計に着手する予定です。

 

2017年度中に十分な資金調達ができなかった場合は、引き続き資金確保を進める必要があり、頂いた寄附金は、無菌室・リニューアルのスケジュールが正式に決定するまで大切に預からせていただきます。スケジュールが確定次第、寄附金の充当先、施工スケジュールをご報告をさせていただきます。

 

また、ひとつの無菌室空間をつくるためには2,500万~5,000万円程度の費用が掛かります。(※施工費は時期によって変動)

現時点で想定しております新設の無菌室数は2床ですが、過ごしやすい療養環境とするために、出来る限りの資金調達を目指し、仕様設計を行って参ります。

 

そして、今回のクラウドファンディングにおける目標額の1500万円はあくまで第1ステップであり、新設分と既存の無菌室のリニューアルも含めた目標額は1億円となります。より良い療養環境のために、できる限りのみんなの願いを叶えたい。そう私たちは考えております。

 

次世代の未来を支える医療としての小児がん医療のため、みなさまのご理解・ご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

 

 国立成育医療研究センターについて

 

小児医療、生殖医療・胎児医療・周産期医療、そして母性・父性医療および関連・境界領域を包括する医療"成育医療"の中核的機関として、世田谷区において成育医療を推進しています。病院と研究所が一体となり、健全な次世代を育成するための医療と研究を推進します。

 

 

名称:国立研究開発法人国立成育医療研究センター(National Center for Child Health and Development)
住所:東京都世田谷区大蔵2-10-1

 

 

 税制上の優遇措置について​

 

国立研究開発法人国立成育医療研究センターは特定公益増進法人として定められています。当センターに寄付金を頂いた個人・法人は税制上の優遇措置が受けられます。

 

国立成育医療研究センターのご寄付は、所得税法上の寄付金控除の対象となる特定寄付金又は法人税法上の全額損金算入を認められる寄付金です。寄附金品領収証明書は2017年12月までに送付します。

 


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