北京=延与光貞
2017年7月6日19時17分
獄中でノーベル賞を受賞し、末期の肝臓がんと診断された中国の著名人権活動家、劉暁波(リウシアオポー)氏(61)の病状が悪化し、危険な状態になっていることが6日、支援者らの話で分かった。劉氏は妻の劉霞(リウシア)氏(56)とともに海外への出国を希望しているが、容体は外交交渉にも影響を与えそうだ。
支援者によると、劉氏は3日に1リットルほどの腹水を抜いて体調が良くなったが、5日に突然悪化。診察した専門医は家族らに「病気の進行が速く、肝臓の状態が悪くなって治療を続けられない状態」と話し、抗がん剤と漢方薬の投与も停止。家族はすぐに病室に駆けつけられるよう待機を求められているという。
劉氏が入院している中国医科大学付属第一病院は6日、劉氏の容体について、「肝機能が悪化し、左足の静脈に血栓ができている」と発表し、深刻な状態であることを示唆した。
劉氏の動向は中国国内ではほとんど報じられていないが、共産党系の国際情報紙「環球時報」は6日、英語の電子版で「劉氏の病状悪化に伴い、北京の専門医が(入院先の病院がある)瀋陽に駆けつけ治療している」と報じ、病状が悪化していることを認めた。
劉氏と劉霞氏の出国をめぐっては、夫妻の意向を受けたドイツが6月上旬から中国当局と交渉を開始。その後、病状が明らかになり、米国も受け入れの意向を示している。だが、中国当局は6月末、病状の重さを理由に出国要請を拒否しており、病状悪化により交渉がさらに難しくなる可能性もある。
一方、中国当局側は国内の著名な専門医によるチームが診療にあたっていると適切な対応をアピール。5日には米独の専門医らも招いて、治療してもらうと発表していた。
病状悪化を受け、支援者らは6日、「残された時間は多くない。友人としてお見舞いさせてほしい」と面会を許可するよう求める公開書簡を発表した。(北京=延与光貞)
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朝日新聞国際報道部