日本軍慰安婦の映像公開、「合意再交渉」のカギとなるか

 ソウル市とソウル大人権センターは5日、旧日本軍の慰安婦だった韓国人を映した映像を世界で初めて公開した。この映像は、歴史の真実を総体的に把握できる重要資料となると評価されている。

 現在、慰安婦研究に関しては、ほとんどが日本政府の公文書を利用している。デリケートな問題であるため、アプローチも容易ではない。

 ソウル市と研究チームは「このような状況で、海外での調査を通じて70年以上も眠っていた資料を発掘したことは非常に意味がある」と説明した。

 ソウル市のオム・ギュスク女性政策家族室長は同日の記者説明会で「これまで韓国人慰安婦に関する証言や文書、写真などが公開されたことはあったが、実際に撮影された映像が公開されるのは世界初。白書の一冊も発行できていない慰安婦研究において重要な資料となるはず」と評価した。

 今回の研究に参加した聖公会大学のカン・スンヒョン教授は「公開された映像は、これまでの文書や写真を大幅にしのぐものとは言えない」としながらも「映像の中の慰安婦女性たちの関係や行動、表情などから非常に多くの情報を得ることができた」と話した。

 今回の映像が「慰安婦合意の再交渉」など慰安婦問題を解決する上で重大な役割を果たすとの意見も出ている。

 人権連帯のオ・チャンイク事務局長は「慰安婦問題の加害当事国である日本は、存在自体を否定する態度を見せている。しかし被害者の女性たちの状態を推し量ることのできる映像が公開されたことで、この問題を究極的に解決できる一つの鍵となった」と評価した。特に映像は写真より確実な証拠となるため、影響が大きいというわけだ。

 オ局長は「韓日の慰安婦問題に関する各種論争を払拭できる重要な証拠を確保した。新政権が進めようとしている慰安婦合意の再交渉にとっても追い風になる」と歓迎した。

 しかし今回の映像を、慰安婦問題を立証する資料として活用することについて、研究チームは慎重な反応を見せている。

 カン教授は「外交的攻防という意味合いで、政府から頻繁に資料を要請される。しかし強制性について立証するのはむしろ慰安婦問題に悪影響を与える。この映像は全体的な歴史の真実を明らかにする資料と考えてほしい」と主張した。

 今回の映像は国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産への登録にとっても追い風となる見通しだ。

 韓国、中国など8か国、14の市民団体でつくられる国際連帯委員会は、慰安婦記録物のユネスコ世界記憶遺産登録を推進している。昨年5月にユネスコに計2774件の慰安婦関連記録物を申請しており、今年9月に最終決定される。

カン・ジウン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース