2017年7月5日22時47分
■「朝日新聞GLOBE」創刊ゼロ号(2008年)掲載、「越境する書評」から
政治家は、政治と経済の本しか読まないというわけではない。
書物の森をさまよう中で、私を含めて全ての人間は、自分たちはどこから来たのだろうかとか、宇宙の構造はどうなっているのだろうかとか、限りない謎に直面する。
以下の何冊かの本は、それらの問いにすべて答えているわけではないが、人類がどこまで到達しているかについて勉強させられる。
物理学の歴史は、人間の思想の歴史である。『物理学とは何だろうか』上・下(朝永振一郎著、岩波新書)を通読すると、それが刻々と変わっていくのがわかる。物理学はギリシャに始まり、コペルニクスの宇宙観、ティコ・ブラーエの天体観測とそれに基づいたケプラーの模索と発見、ガリレオの実験と論証、ニュートン力学の誕生によって大きな曲がり角を迎える。
この本を、小泉郵政総選挙で初…
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