エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

欧州からは「日本だけが勝手にどんどん貧しくなっている」ように見えている

20年間「ひとり負け」を続ける日本

ちょっと前にツイッターでこんな投稿がたくさんシェアされていたようですね。

これ本当によくわかります。1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本の経済は衰えるばかりなわけですが、これって海外から見ると「相対的に日本だけがどんどん貧しくなっていっている」ように映っているんですよ。

<各国の平均年収比較(2015年)>
※価格・購買力平価、単位ドル

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引用:List of countries by average wage - Wikipedia

諸々の統計が示すとおり、すでに日本は大半の主要ヨーロッパ諸国より貧しいんですよね。夏休みに1か月近くバカンスが取れて、サービス残業なんかしなくて、「人生は楽しまなきゃね―」とすぐに遊びにいってしまう人々ばかりの国々よりも、劣悪な環境で働き詰めの労働者ばかりの日本のほうが貧乏なのです(笑)

日本の少し後ろには、旧共産圏の国々が追いついてきているのも面白いでしょ。四半世紀前までソビエト連邦の一部で、国民が困窮していたエストニアと比べても、もうそこまで大きな差はないんです。

さらにアジアの新興国の発展も著しいですから、経済面においては日本ってもう完全にオワコンなんですよね。20年以上にわたって「ひとり負け」が続いているんですから、そりゃ相手にされなくなりますって。

日本は「安い国」

わたしは自分が在籍する大学でアジア研究を専攻している学生たちと交流があります。そのうちの一人で日本に滞在したことがあるエストニア人学生と話していたときに、日本に来てみて体験したカルチャーショックの一つとして、

「日本って外食の値段が嘘みたいに安くて驚いた!!」

ってのを上げてましてね。いやー、そりゃヨーロッパ人にとっては驚きでしょうねー。日本の場合、1000円も出せばそのへんで普通にランチが食べられてしまいますからね(ま、外食産業の従業員がどれだけ苛烈に搾取されているかという話なわけですが、そこは言わずにおきました)。

上記の学生とは別の、交換留学生として日本滞在経験があるエストニア人はこんなことを言ってましたね。

「留学中にエストニアから家族が遊びにきてくれたけれど、エストニア人が日本に行くなんて少し昔だったら考えられなかった。経済的な差が縮まったんだなあと思った」

まあそりゃそういう感想になりますよね。「四半世紀前まではモノ不足が国民生活を直撃していたはずなのに、あれよあれよという間に世界屈指の高度IT国家に発展した国」から、「20年以上にわたって衰退を続けるばかりの国」を見ているわけですから。

<ソ連崩壊直前・1990年のタリンのスーパーマーケットの様子>

www.youtube.com

しかしまだまだ日本の多くの人たちは「え、日本ってアメリカの次くらいに豊かな国なんじゃないの?」くらいには思ってるんじゃないんですかね。80年代後半くらいの感覚で止まってしまっているのではないかと。TVでもいわゆる「日本SUGEEE!!!」番組、自国礼賛番組というのが流行っているようですから、「日本はまだまだ世界屈指の経済大国!!」みたいな意識でいるんじゃないですかね。

しかしそんなことを言っている間に、

ですって。海外から見ると、すでに日本は「低賃金で過酷な長時間労働をやってくれる国」になりつつあるってことですよね。

実際にヨーロッパに住んでみて痛感したんですが、こっちの人たちには日本特有の「労働信仰」みたいなものが存在しないんですよ。夏はたっぷりバケーションを取るし、サービス残業なんてしないし、日本人労働者のように「人生の楽しみを犠牲にして身を粉にして働くのが美徳なのだ!!」みたいな考え方自体がそもそもありませんからね。

一方、日本の労働者は安い賃金で雇えるし、長時間労働も厭わずやってくれるし、労働条件がいくら劣悪でも文句を言わないので、雇用側から見ればすごく使いやすいじゃないですか。

なので、今後は「普通の人がやりたがらないような過酷な低賃金労働は、日本人労働者に外注しよう」ってのが一般的になっていくかもしれませんね~。ま、かつて日本の産業界が東南アジアなどの新興国に強いていたことを、今度は日本がやられる番になるかもしれない、ってだけなんですけれどね。