「目標は口に出して宣言しなさい。
口に出して宣言することで目標への責任が生まれ、周りも自然と協力的になる」
なんてことは昔からよく言われる。
意識の高い自己啓発本の3冊に1冊は似たようなことが書かれている。
目標を宣言することでより一層目標を達成しやすくなる、ということを指して「予言の自己成就」ということがある。
予言の自己成就については漫画「ドラゴン桜」でも紹介されていた。
一方でデレク・シヴァースがTEDで語った名プレゼン
"Keep your goals to yourself"
(目標は言わないでおこう)
では、目標を人に語ってしまうことの危うさを紹介している。
目標を達成することは、本来とても大変なことで、大きな苦労を伴うものだ。
しかし、目標を人に話してしまうと、その時点である程度の達成感は得られてしまう。
本来は得られないはずの達成感を「先取り」して得られてしまう。
そのため、目標達成へのモチベーションが薄れていってしまうことに警鐘を鳴らしている。
ここで僕自身の経験を振り返ってみる。
目標を人に語って「引き下がれない」状況を作り出したことは何度もあった。
たとえば大学受験。
「xx大学に俺は行きたい」
と公言することで、周りには同じ志望校の仲間が集まり、一緒に勉強する環境を作ることができた。
宣言したからといって魔法のように成績が上がるわけではなかったが、宣言しないで目標を自分の中に留めていた場合は、どこまでも志望校を下げていってしまっていただろう。
受験は辛く、苦しい時期が半年〜1年。ときにはそれ以上続くこともある。
そういう状況で「楽な方に逃げない」ために、周りに目標を宣言しておくことは非常に意味のあることだった。
このように「絶対にやるとあらかじめ決まっている状況」で、目標を宣言することは効果的だと思う。
大学受験、就職活動、部活動の大会など。
一方で、大学に入ってから
「医学部はモテそうだ。よし医学部を再受験するわ」
とか、
「英語と中国語話せるようになるわ」
のように彼女に宣言していた内容は全くと言っていいほど達成されなかった。ほとんど努力もしなかった。話していたときはあんなに気持ちよかったのに。
何が違ったのか?
大学生のときに彼女に話した目標は期限が決められておらず、危機感もなかった。責任もなかった。
危機感なしで高い目標を宣言してもうまくはいかない。夢を語って気持ちよくなって終わるだけだ。
目標は締め切りが決まっていて逃げられない状況で宣言するからこそ意味があるのだ。
「ダメでも大丈夫だろ」
「目標達成しなくても誰にも怒られないだろ」
「なかったことにしようかな」
というのが許されるような、危機感のない緩んだ態度で語る目標は言葉がフワフワと浮いていて、コミットメントがない。
特に社会人になってからの目標はよくよく注意が必要だ。
社会人になると、会社での目標は求められるが、自分の人生の目標は誰も定めてくれない。
そして、やる気がなければいつまでもダラダラと過ごして(でも会社の仕事はしっかりこなして)しまうこともできてしまう。
英語ができなくても、資格試験を取らなくても給料はもらえるだろう。
アップサイドを狙って転職活動しなくても別に死ぬわけではない。
このように、無数に「やらなくてもいい」という逃げ道が用意されている状況では、ついつい楽な道を選んでしまいがちだ。
楽で、楽しく、その場その場で気持ちよくなれるものに流されていってしまう。
あえて辛い道を選び、誘惑を振り切り、達成に向かって努力するには目標に責任を持たなければならない。自分のするべきことを認識し、一つ一つ駒を進める覚悟を持たなければならない。
これまで本気で頑張ってこれたときと、そうじゃないときの違いを振り返って、目標に全力コミットするにはどうしたらいいかを考えた。
山に登ることに例えてみたい。
1. 山に登る意義に心の底から納得する
「山に登ろう」という目標を立てたなら、なぜ山に登るのかを考えなければならない。
「そこに山があるから」
みたいな適当な理由ではなく、自分の人生において、どんな意味があるのかを考える。なぜその目標を達成する必要があるのか。
というのも、目標が高ければ高いほど、必ず辛い局面にぶち当たるときが来るからだ。
「なんで俺、こんなに頑張ってるんだろう」
と弱気になったときに立ち返る原点があった方がいい。
だから、まずは目標の意義を考えるべきなのだ。
2. 登頂できると信じる
どんなに目標に意義を感じていても、全く達成の見込みがないことを目標にしても、脳が「大切な目標である」と認識しない。
背伸びして、全力投球すれば達成可能である、と自分が心から信じられるレベルの目標にするべきだ。
自分が本心では「無理だ」とか「意味がない」と考えていることには頑張れない。
3. 山頂をイメージする
目標を達成したときに見える世界を想像しよう。目標は達成した後に自分がどうなっているかをリアルにイメージする。
辛く厳しい努力の末に、目標を達成した。
そのときの誇らしそうな自分を。
周りの反応を。
達成感を、想像する。
脳からドーパミンがドバドバと出てきて、これ以上気持ち良いことはないと断言できる。
先にある快感を得るために目の前のキツい状況を我慢するのだ。
4. 道が見えない山は登れない
目の前の山が大きければ大きいほど、その大きさに圧倒されて何をすればいいのかわからなくなる。
山頂へのルートが見つからない山には登れないのだ。
目標達成までに必要なタスクを洗い出して、「これだけやれば大丈夫」と信じよう。
何をすればいいのか?
何が必要なのか?
それぞれのタスクを細分化して、具体的な作業に落とし込もう。
それが目標達成の道筋になる。
期限を決めないと終わらない
いつまでに何をするか、締め切りを決めないといつまでもダラダラしてしまう。
人生は短い。タスクに期限を設定しよう。
3年かけてやりたいことは何か?→そのために1年で何をするべきか→半年では?→3ヶ月では?→1ヶ月では?→一週間では...
というように逆算して期限を切って小さく道筋を区切る。期限に向けて全力投球する。
計画は思ってるよりずっと大切だ
計画を立てて、その計画の正しさを信じる。
一週間おきに振り返り、遅れが出たら微修正を行う、というビジネスでは当たり前にやってることを個人でも行うことで、計画を管理することができる。
危機感がないと山には登れない
結局、大事なのは危機感だ。
「やらなきゃヤバイ」という危機感よりも人間を駆り立てるものはない。
1番いいのは、周りを同じような目標を持つ人間で固めることだ。
周りの人間から受ける影響は思っているよりずっと大きい。
周りが緩んだ空気だと自分の空気も緩んでくるし、周りが前向きに努力しているばかりだと、自分のやる気も駆り立てられる。
その危機感にはリアリティが必要で、ネットのコミュニティから刺激を受けてもなかなか芯には響かない。
やっぱり、良い影響は生身で受け止めて全身で感じるのが一番だ。
逆に、独りで危機感を持つことはとても難しい。
やらなきゃ死ぬ。やらなきゃ人生が終わる、と思い込んで、脳を錯覚させるのもいいかもしれない。
あるいは、ノートに目標を書いて毎日毎日見返すのもいい。
口に出すとなお効果的だ。
さて、昨日から意識が高い記事を書いているが、意識が高くなったのは明らかに「筋トレ社長」の本の影響だ。
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スキマ時間にちょくちょくと読んでいるとやる気が出る。
無性に意識が高まってくるのを感じる。
「意識が高い」はきっと悪ではない。
ただし、そこに実行力が伴えば、という条件がつくけれど。