コラム
1998年6月12日のテレビ欄(出典:『テレパル』第12号・東版)

僕らはあの年の今日、何のテレビを観ていただろう?

草なぎ剛主演の“隠れ名作“学園ドラマ 石田ゆり子が美人教師で篠原ともえが栄養士~1998年『先生知らないの?』より/懐かし番組表

1998年6月12日のテレビ欄(出典:『テレパル』第12号・東版)

地上デジタル放送化に伴い、テレビ番組表というものから遠ざかってしまった人もきっと数多いだろう。WEBメディア『テレビPABLO』では、そんな大人のためにかつての番組表を紐解きながらタイムトリップをお届けしたい。ウン年前の今日、夢中になって観ていたテレビは何だったのか? テレビ情報誌『テレパル』(小学館刊)の番組表と共に、当時の世相を振り返ってみよう――今日は1998年6月12日にタイムスリップ。

将棋の史上最年少棋士・中学3年生の藤井聡太四段の快進撃が止まらない。先週6月10日の第3期叡王戦段位別予選1、2回戦で梶浦宏孝四段と都成竜馬四段に連勝し、デビュー後連勝記録を25に伸ばして歴代第2位。「不滅の記録」と言われた神谷広志五段(1986年~1987年当時、現在八段)の28連勝が視野に入ってきて、情報番組の題材になっている。。今週15日順位戦C級2組の瀬川晶司五段との対局結果もきっとニュース速報に流れるだろう。

将棋界の話題と言えば、1998年。長野五輪、日本が初出場するサッカーフランスW杯の話題でスポーツ紙が盛り上がったこの年、将棋界では大事件があった。将棋界の大スター・中原誠十六世名人が当時将棋界のアイドルだった美人棋士・林葉直子との不倫をスクープした「文春砲」が炸裂したのは1998年4月。あれから19年後、将棋界は当時生まれてもいなく“不倫”ともまったく縁のない中学生が同じくらい世間の話題をさらっている。

今週はそんな話題のあった1998年の今日を振り返る。19年前の今日、1998年6月12日の『テレパル』番組表からはTBS21時『先生知らないの?』に注目。主演は当時SMAPの草なぎ剛。前年『いいひと。』(フジテレビ)でSMAPメンバー最後発で連ドラ主演を果たした草なぎ剛が『成田離婚』(1997年フジテレビ)に続いて3作目の主演を果たした作品。演じたのは元チーマーの小学校教師だった。

1998年6月12日『先生知らないの?』(TBS)/最近の“陰ある男”もいいけど、優しい目をした小学校教師は草なぎ剛によく似合う

  • 『テレパル』1998年第12号・東版の表紙
  • 『先生知らないの?』(TBS)/1998年6月12日のテレビ欄(出典:『テレパル』第12号・東版)

1998年は1月に栃木県の中学1年生が女性教師を刺殺、2月に東京都江東区の中学3年生がナイフで警官を襲い、3月には千葉県で男子生徒が同級生の父親を殺害、8月には東京都港区の女子中学生が同級生と教師に「やせ薬」と偽ってクレゾールを送付するなど、中学生が関与する凄惨な事件が多数発生。1997年の神戸連続児童殺傷事件に続き、ティーンの“闇”が大きく取りざたされていた時期でもあった。そんな時期だからか、テレビでは子供の心の問題に向き合おうとする番組がいくつか放送されたが、この『先生知らないの?』もそうした流れの中での放送だった。

かつてチーマーとして不良だった木下優作(草なぎ剛)は浅草小学校5年2組の担任教師。教師らしい振る舞いをせず大人げない行動をとる優作は、教頭の大河原博(小野武彦)をはじめクールな美人教師・中村春奈(石田ゆり子)らから疎んじがられていたが、校長の金沢隆輔(菅原文太)だけは、今どきの学校教育に足りないものを優作に感じ、自由にやらせている。

子供同士の幼い恋、仲間はずれ、ませた女の子のダイエット、親の離婚問題など、小学生が直面する問題に、優作は常に子供の目線で対応。最初は警戒していた子供たちも心を開くようになり、その姿に春奈も影響されていく……。

TBS金曜21時ドラマの母親役常連の白川由美も優作の母親役でちらっと出たり、優作が「ボス」と慕う校長の菅原文太の存在感も効いていた。そんなメンバーに囲まれての草なぎ剛の教師役は、やはり中学でも高校でもなく小学校が似合う。

体育の授業で鮮やかなバク転を披露したり、当時大流行だったハイパーヨーヨーの妙技を披露したりと、優作先生が“SMAPの草なぎくん”の素のイメージに近いイメージで、温かい教室になった。ハワイが好きでいつもアロハ姿の曾根田を演じた生瀬勝久、バラエティーの“シノラー”そのままのキャラで登場した栄養士役の篠原ともえ、寿司屋の出前やレンタルビデオショップの店員など毎回職業を変えて登場するふかわりょうなどお約束キャラの見せ場もあって、草なぎ主演ドラマの中でも隠れた名作だ。

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コラムニスト

亀井徳明

亀井徳明

『テレパル』創刊準備のために編成された、テレビ局専門取材チーム「ISプレス」の元メンバー。各テレビ局ごとに担当がおり、毎日テレビ局の広報や宣伝部を拠点に局内を徘徊、情報収集。「その日に仕入れた情報はその日のうちに処理する」ことが宿命だったため事務所は“不夜城”となっていた。「テレビPABLO」では、その頃の経験に基づいた「懐かし番組」などを執筆中。現在はフリーで活動している。

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