東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > 記事一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【栃木】

マダガスカルで森林破壊防ぐ方策調査 海越えつなぐ田中正造精神

マダガスカルで組み立てた「ロケットクッキングストーブ」(中央)を説明する上岡さん=佐野市で

写真

 佐野市で自然エネルギーを利用した機器の企画販売を手掛ける「里山エネルギー」社が5日、国際協力機構(JICA)の支援を受けて、森林破壊が進むアフリカ大陸東の島国マダガスカルで実施した現地調査の報告会を開く。同社の上岡裕(かみおかゆたか)社長(57)は「佐野と海外が自然エネルギーでつながる展開を目指し、長期的な視野で森を守る仕組みを考えていきたい」と語る。 (吉岡潤)

 調査は昨年二月、県内で初めてJICAの「中小企業海外展開支援事業」に採択された。森林破壊の原因の一つである、まきや炭の利用を減らす手だてとして、燃焼効率に優れる調理用「ロケットクッキングストーブ」の現地生産、捨てられるおがくずや、もみがらなどを原料とするエコ燃料の製造や販売の可能性を探った。

 佐野市生まれの上岡さんは、足尾銅山鉱毒事件の解決に尽力した郷土の政治家・田中正造の生き方を学んで育った。かねて環境問題への関心が強く、二〇〇〇年に自然エネルギーの情報発信や普及啓発を目的として、NPO法人「エコロジーオンライン」を設立。一二年に里山エネルギー社を起こした。

 田中正造が残した「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」という言葉を胸に抱く。「田中正造だったら、どうするだろう。精神を引き継ぎ、自分たちにできることを」と考えを巡らしている。

 マダガスカルでは、貧困が環境破壊につながっている現実にも直面し、「森林保護につながる仕事をつくれないか」と思案。森を守る教育の必要性も感じた。エコ燃料の作り方、牛のふん尿からバイオガスを生成して利用する仕組み、太陽光を利用した調理などを学べるように支援する活動を続けていくという。

 報告会は、午後二時から佐野市役所一階の市民活動スペースで。問い合わせは、里山エネルギー=電0283(23)9758=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報



ピックアップ
Recommended by