中国、映画館に党宣伝映像の上映義務付け 不満の声も
2017年07月05日 11:52 発信地:上海/中国
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【7月5日 AFP】映画を見る前は社会主義と習近平(Xi Jinping)国家主席の思想を学習──。中国の映画館で今月から、「社会主義の基本的価値観」や習氏が掲げる政治理念「中国の夢」に関する数分間の短編映像を本編の上映前に流すことが義務付けられた。中国共産党の主義や政策への理解を深めさせる狙いだが、来場者からは不満の声も上がっているようだ。
国営メディアによると、当局は公共広告である短編映像の制作に当たり、アクションスターのジャッキー・チェン(Jackie Chan)や国内の人気俳優に出演協力を求めた。
北京青年報(Beijing Youth Daily)によると、国家新聞出版広電総局の指導の下、習氏の中国復興思想を題材とした「栄光と夢──われらの中国の夢」というシリーズの映像4本が制作された。「国民が党の方針と政策をより深く理解し、受け入れやすくする」のが目的だという。
英字紙の環球時報(Global Times)は、北京(Beijing)の映画館で上映前に短編映像のうち1本を流すことが義務付けられていると伝えている。国内の他の地域の映画館もAFPの取材に対し映像の上映を認めており、全土で通達が出されていることをうかがわせる。
環球時報は映画館の従業員の話として「短編映像を見ないで済むように大勢が上映時間に遅れて来る。上映後に短編について不平をこぼす人もいる」とも報じている。
習氏は2013年の国家主席就任以来、中国で過去数十年で有数の強力な指導者になるべく統制を強化。党をたたえる半面、反対派に対して厳しい取り締まりを行っている。(c)AFP
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