挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
待て勇者、お前それジャングルでも同じ事言えんの? ~勇者に腹パン、聖女に頭突き、美少女騎士に回し蹴り~ 作者:吾勝さん

第二章

44/82

第四十四話『キング・オブ・キングス』

宜しくお願いします。
後書きにジャキのステータスを載せました
興味のある方はご覧下さい。



 イケてるなレイン。魔族では少ない碧眼もイカス。

 しかし、リザードマンは男も女も髪が無い、そもそも体毛が無い。

 あの髪はどこから生えているのだろうか?
 レインの頭にある鱗はどうなっているのか気になる……


『あの髪は鱗が変化した物です』

「あぁ~、鱗か。何の意味があるんだ?」
『雄ライオンのタテガミと同じですね』

「う、う~ん、他には?」
頭部防御力アデ・ランスが上がります』

「なるほど…… ヘルメット要らずだな、羨ましい」
『レインの総合力は997万4,896になりました』

「おいおいヴェーダ、レインに許可貰って教えろよ」
『既に了承を得ております』

「ならいいけどよ。礼儀は欠いちゃいけねぇ」
「……兄者、総合力とは何だ?」

「あ~、能力の総合値みたいなもんだ。条件付きバフ・デバフ効果を抜いた状態の、お前が出せる全力の数値、かな」

「……なるほど。兄者の総合力を聞いてもいいか?」
「ブッヒー、俺も気になるぜぇ!!」
「わたっ、私も、あの……」

「俺か? レベル35の2,400万パワーだ」

「ブッホ、マジかよ……」
「……フッ、さすがだな」
「賢者様……カッコイイ……」

「何言ってんだお前ら、眷属進化したイセとトモエはレベル5で総合力1億だぜ? しかも耐性・結界をブチ抜く【貫壊】持ちだぜ? 軽い舌打ち2回で俺を殺せるんだぜ? 総合力2,400万なんざ可愛いモンよ、アイツらから見りゃ俺なんてデケェ雄ゴリラのヌイグルミと同じだよ?」

「……妖蜂女王と妖蟻皇帝の妹御か、噂には聞いていたが」
「そりゃヤベェな、兄貴のアレだろ? 小指コレだろ?」
「あ、あの御二人は、ちょっとあの、怖いです……」

「ハハハ、まぁ、上には上が居るって事だな」


『ナオキさん、ミギカラとシタカラが妖狸の一体を釣り上げました。狼に乗ってこちらへ誘導しています』

「よし、他の眷属達は無事か?」

『ご指示通り、妖蟻族が造った浅部連絡地下通路に避難させました。ゴブリンの氏族長ハード、ナナメニ、カナリ、コカゲデの四名が、狼達と共に連絡通路を使ってもう一体の妖狸釣りに向かっております』

「危なくなったらすぐに撤退させろ、蜂を使って時間稼ぎしてもいい」

『了解しました』


 妖狸にはダメージを与えられなくても、運転手の人間は蜂の群れに耐え切れんだろう。数十匹の眷属蜂から毒を流し込まれれば間違い無く即死する。撤退までの時間は十分に稼げる。

 テイクノ・プリズナでレベルを上げた“精鋭蜂”の素早さなら、妖狸相手でも針を刺し込めるかも知れんな。精鋭の奴らはラヴ達の支援に回っているから大森林に居ないが、今のうちに人間狩りで蟲達のレベルも上げておこう。

 さて、猟師は狸を鉄砲で撃つ用意をしなきゃな。
 その前に、後始末~後始末~っと。

 フンフン~ン、フンフフ~ン。
 あんた方どこさ、肥後さ、肥後どこさ、熊本さ~――


「――熊本どこさ、船場せんばさっ。船場山には狸が居ってさ、それを猟師が鉄砲で撃ってさ、煮てさ、焼いてさ、喰ってさっ。それを木の葉でちょっと被せ~、神像にお供えして終了。アンマンサン・アーン」

「ヒデェ歌だなぁ兄貴。アンマンサ~ン」
「……鬼のわらべ歌か? マンマンチャン・アーン」
「ス、ステキ…… あっ、アンマンサン・アーン」

『供物を捧げる時は真面目に』
「あ、ハイ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 美しい。
 薄い紫から濃い褐色へと変わった艶やかな肌。
 腰まで伸びた黒髪は太陽に照らされて青く輝く。

 トパーズの様な瞳は黄金色に輝き、額に生える漆黒の二本角は頭頂部に移って天を衝く。

 細く形の良い眉、その眼光は夜叉そのもの。
 薄い唇の隙間から純白の牙がキラリと光り、獲物の体を硬直させる。

 身長182cm、バスト84、アンダー65のDカップ。
 トップとアンダーの差が19cm…… 完璧だ。


「完璧だ、メチャ・ディック=スキ」
「あわわ、あり、有り難きお言葉~」
『レベル134、進化一回、総合力742万3,281です』

「ブ、ブヒ、い、好い女に、なったじゃ、ねぇか……」
「……フム、メチャは何と言う種族に?」

『女夜叉【アハトマ・ヤクシニー】です』


 羅刹から夜叉に進化を果たしたメチャ。進化は一回しか出来なかったが、進化後の能力上昇率が高く、進化回数の少なさを補って余りあると言える。

 メチャのレベルアップと進化を以って、三人のノルマは達成された。

 え? ジャキ?

 アイツはメチャの前にミギカラとシタカラが釣った狸を仕留めている。

 ジャキのレベルはレインと同じ142、総合力は997万4,611パワーだ。レインと185パワーしか違わない、好いライバルになりそうだ。

 北都系猪人族は普通の猪人より体格が良い、ジャキもその例に漏れず巨漢だ。進化を2回果たしたジャキの身長は302cmになった。

 黄眼は変わらず、肌色は薄い緑から濃い緑に変化。産毛だった短い頭髪も、フッサフサの黄色いクセっ毛に変化。

 しかし、見た目のパンチが効いていないので、マハーカダンバ・オイルでジャキの髪を後ろへ流しつつ中央へ寄せ、さらにフロントを盛り上げ『ポンパドールヘア(略してポンプ)』、いわゆるリーゼントにした。ついでに、ナイフで額の生え際を鋭角に剃り上げ、ビーバップな『ソリコミ』を入れて差し上げた。腹を抱えて笑った。

 これには怒るかナ~っと思っていたが、アハトマイトナイフに映った自分の髪型を見たジャキは「ヤッベ、マジかっけぇ」と、体を震わせて喜んだ。

 すると、レインが「……あぁ、髪が鬱陶しいな、長くて鬱陶しい、短くしたい、短くして“後ろへ流す”髪型がいいかも知れんな(チラッ)」

 などと“独り言”を言っていたので、レインの銀髪を半分切って『渋いリーゼント風』に七三分けのポンプにしてあげた。直毛の七三ポンプはシブくていい。すごく喜んだ。

 すると、先ほど進化したメチャがサイドテールを弄りながらチラ見してきたので、彼女を『大森林のポンパドール夫人』にするべく、サイドとトップの髪を後頭部に捻り寄せて糸で縛り、フロントを少し盛り上げて、後ろの髪は垂らすだけのロックなスタイルにしてみた。

 これまた非常に喜ばれたが、そのメチャを見たジャキに問題発生。

 先ほどからジャキの様子がオカシイ。
 何度も生唾を飲み込み、鼻息を荒くしてメチャをチラチラ見ている。さらに、自慢のリーゼントを何度も触ってメチャの視界に収めてもらおうと必死だ。


「あ~、ちょっと“トサカ”がキまんねぇなぁ~、ちょっとキまんねぇなぁ~、もっとこう、何だ、竜巻きみてぇな? 力強い感じ的な? ドラゴンのブレスを感じさせる“トサカ”にしてぇなぁ…… どう思うメチャ?」

「え? ゴメン聞いてなかった、ミギカラさん達にお茶淹れるから、あとで聞くね」

「お、おぅ、キニスンナ……」
「……あれは兄者に恋する女だ、諦めろ」
「は、はぁ~? 何言ってんの? 諦めろとか、意味解んねぇ」

「……あの女が兄者を見つめる表情は恋する乙女のそれ、諦めろ」
「言い方変えて二回言うなよっ!! ぶっ殺すぞテメェ!!」


『青いですね』
「十八歳だしな、アイツ」


 若いうちは積極的に想い人へアタック(古い)して、色んな免疫を付けながらハートを強くするもんだ。振られたからって死ぬわけじゃねぇしな。

 ジャキの姿勢は嫌いじゃない、しつこくしない限り俺は支持する。

 メチャの凶悪美人ぶりに磨きが掛かったのは事実だ。ジャキの心情も察する事は出来る。メチャが俺の侍女じゃなかったら、ジャキをぶん殴ってでも先にアタックするね、俺は。

 最後の狸を仕留め終わるまで俺達の後ろに隠れていたミギカラ達も、狸が死んだのをヴェーダから聞いて出て来た途端、進化したメチャを見て呆然としていた。強く美しく凶悪な存在は、大森林の魔族にとって畏敬と憧れの的だ。

 これでまた、メチャの信者が増えるだろう。


『ナオキさん、最後の狐をドワーフ隊が釣り上げました』

「ドワーフ達はちゃんと覆面させたか?」

『大丈夫です。狼達も体の大きい個体を選んで乗せていますので、移動速度も問題ありません。あと4分ほどでこちらへ到着します』

「よし、最後は狐狩りか。誰にトドメを刺させようかね……」

『提案があります』
「ハハッ、言ってみな」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 レベルアップに必要な経験値。
 それは種族やランクによって大きく変わる。

 同レベルのゴブリンとアハトマ・ゴブリンが1レベル上げるには、後者の方がより多く経験値を必要とする。

 普通の猪人とジャキのような上位個体の猪人、この場合も必要経験値が多いのは後者だ。

 つまり、低レベルで進化を果たしていない者が大量の経験値を得た場合、進化を経ずにレベルアップするので、種族やランクによる必要経験値の増加が無効化され、段階を踏んでレベルを上げた者よりも早く高レベルに達する事が出来る。

 同じ経験値の量でレベルの上がり方が違う、と言うワケだ。

 このやり方は非常に効率的だが、大量の経験値カルマを溜め込んだ高レベルの獲物を倒すには、強者の協力が必須になる。

 だが、弱者にそんなお節介をしてくれる魔族の強者など多くはない、特に大森林は弱肉強食が極まった世界、エリアボスが下の者を強化し過ぎれば下剋上も有り得る。その場合はボスの目が曇っていたと言うしかない。

 下剋上や不義理を完全に防ぐ事が出来るのは、眷属の主だけだ。隷属魔法や従属契約でも面従腹背は当たり前、しかし、眷属と主の間にそんなモノは無い。

 ジャキやレインを俺が信じ切れるのは、俺が信じた彼らに対して、アートマン様が加護を与えて下さったからだ。眷属よりも弱い加護だが、腹に一物抱えた奴にアートマン様は加護を与えないだろう。要らぬ混乱を招いて信者の信仰を揺るがす必要が無い。

 俺の眷属はそんなアートマン様のお墨付きを貰った“完璧な眷属”だ、俺を超える強者になったからとて信頼に歪が生じるはずもなく、気にする必要もない。

 俺としては強力な眷属が増えて嬉しい限りだ。
 ガンダーラと仲間を守る戦士が増えて大助かり。

 ヴェーダが提案したのはそれだ。

 下が強くなって嫉妬も恐れも抱かずただ嬉しい俺と、ガンダーラを裏切らない眷属だからこそ出来る合わせ技。


「って事だミギカラ、お前が妖狐を殺せ」

「あ~、はい、え~、アハトマイトのナイフで刺せば宜しいのでしょうか?」

「いや、アハトマイト製の武器は絶対使うな。アレなら簡単にブッ殺せると思うが、魔竜の眷属が生きて目の前に居る限り、たとえ視界を奪っていたとしても使用は禁じる。使う時は最後、北伐の決戦で敵を殲滅出来ると確信してからだ」

「なるほど、畏まりました。では、狩猟用鉄ナイフで」

「ミ、ミギカラさ~ん、そろそろ仕留めてくださ~い」


 最後の獲物、妖狐。
 コイツが一番手強いと思っていたが、狸達と同じようにあっさり四肢を吹き飛ばして墜落させた。今はメチャが絞め固めている。

 妖狐は南の水濠を超えてすぐ、地上を走る狼とドワーフへ熟練レベル87という強烈な火炎魔法を放ったが、蜂糸布で出来た道着を纏ったメチャが炎の前に立ち塞がり、さらにレインのブレスとジャキの土魔法で炎を防ぎきった。

 蜂糸布の特性である魔力依存の魔法耐性、いつか出番があると思っていたが、良いところで役立ってくれた。蜂糸布道着を着たメチャが間に入らなかったら、ドワーフと狼に火傷させているところだ。

 ちょっと頭にキタので、一発余分にメス狐の腹へお見舞いしてやった。
 俺がもう少し早く狙いを定めておけば、皆を危険に晒す事は無かったと反省している。もっと岩仙術を鍛えねば。

 さて、死刑執行を見守ろう。殺れミギカラ。


「では、悪く思うなよ妖狐の娘、仁義を欠いたのはアンタらの“親”だ。往生しな――」

「ンガッ――……」


 ミギカラのナイフが、大きく開いた妖狐の腹から肺と心臓を抉った。

 カルマを吸収したミギカラが大きく体を反らせる。
 その体から放たれる光の量はジャキ達を上回り、ミギカラの咆哮が大森林の空気を引き裂く。

 シュウシュウと体から蒸気を上げ、赤黒く染まった肌が俺達の視界に入った。


『約300年ぶりに、センズリンの誕生です』

「おいおい姐さん、それって――」
「……まさか」
「あわわ、あわわわっ」

『キングです』


 よっしゃ。


有り難う御座いました!!

【名前】ジャキ・ブロンソン=ホクト
【種族】北都系猪人・オークユンピョウ
【レベル】142 【年齢】18 【性別】男 

【状態】絶好調 【ジョブ】北都真拳使い
【爵位】小エリアボス

【HP】51万6,800 【MP】99,630
【総合力】997万4,611パワー

【特技】
『鉄壁:Lv22』 『怪力:Lv27』 『一撃必殺:Lv10』
『北都真拳:Lv5』 『土魔法:Lv6』 『自然回復:中』
『威圧』

【称号・加護】
『アートマンの加護・微=総合力2%上昇』
『デブ=防御力20%上昇』
『テクニシャン=性交相手の満足度上昇』
『性豪=性交時に体力の消耗が無くなる』
『負け犬=仇敵を目にすると能力が40%下降』
『南都三男坊=兄弟が傍に居ると能力が30%上昇』

【耐性】
『毒・神経無効』 『土属性無効』 『打撃反射』
『精神耐性』
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ