公明党の山口那津男代表は5日の記者会見で、安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正について「政権が取り組む課題ではない」と明言した。「政権の課題は経済再生だ。そこにひたすらまい進する」と語り、経済再生を優先すべきだとの考えを示した。山口氏の発言は改憲を優先課題に掲げる首相をけん制したもので、改憲論議や衆院解散戦略に影響を与える可能性がある。
山口氏は自民党内の改憲案作成に向けた動きに関しては「自民党内の様々な状況認識を含めて見守りたい」と述べるにとどめた。衆参両院の憲法審査会で各党の合意をつくり、国民の十分な理解を得ることが必要だと強調。「与党の枠組みはただちに憲法の議論につながるものではない」との認識を表明した。
首相は2020年の新憲法施行を目指し、年内の自民党改憲案のとりまとめ、来年通常国会での発議の段取りを描いているとみられる。公明党内には東京都議選での自民党の歴史的な惨敗を受け「局面が変わった。憲法改正を無理に進めたら失敗する」との声が強まっている。