今回の回答者は三砂ちづるさんです。
◎相談vol.91(会社員・31歳・東京)
週末を地獄に感じる自分と妻に、光が見える日がくるのでしょうか? 結婚して6年、妻が病気で子供を望めなくなりました。
結婚前から妻には持病があり、どんなことがあっても自分が支える覚悟でいたのですが、子供を望めないとはどういうことなのか、日々現実と向き合う内に、週末に外へ出て家族連れを見るのも辛いです。妻が一番辛いのはわかっているのですが、子供のことだけでなく、妻も身体が自由に動くわけでもないので、週末が地獄のように感じられます。
また、会社で上司から孫の話を聞くと、親に孫を抱かせることができなかったという申し訳なさでいっぱいになります。今ある幸せを感じるよう努力しようとは思いますが、感情の波が押し寄せては引いていく繰り返し疲れてしまいました。時間が経つのをただ待つしかないでしょうか?
◎お答えします(今回の回答者 三砂ちづる)
あなたの文章から判断するに、今のあなたが一番お辛いのは、「週末」なのですね。あなたも奥様も、「週末を地獄と感じる」、ということのようで、この「週末を地獄と感じること」からどう抜け出せるのか、が、最初のポイント、と思います。
なぜ地獄に感じるのか。理由の一つが「外に出て家族連れを見る」ということのようですが、これは、解決はそんなに難しいことではありませんよね。要するに、「週末に家族連れがいるようなところに、できるだけ行かないようにすればよい」のです。週末の日中、家族連れは大抵、公園とかショッピングセンターとかにいるのでしょうから、そういう時間にそういうところに出ていかなければ、さしあたりは、家族連れを見ずに済みますし、見なければ、それなりに、刺激されないので、辛さも減るでしょう。
「週末が地獄」の他に、あなたの悩みは「親に孫を抱かせてあげられない申し訳なさ」、であるようです。このことについては、親御さんと心を開いて話してみられてはどうでしょう。あなたご自身の親御さんか、奥様の親御さんか、はっきりしませんが、どちらの親も、あなたがたの存在をとても大切に思っておられることは間違いありません。奥様が病気で子どもが持てない、孫を抱かせてあげられないことを親に対して申し訳なく思っている、ということを、機会を設けてどちらの親御さんにもおっしゃってみればよいと思います。
あなたの「申し訳ない」率直な気持ちを聞けば、彼らはきっと、よくあなたがたの思いを受け止めて、むしろ一緒に相談に乗って下さると思います。あなたが申し訳ない、と言っているのに、辛辣な言葉を投げかけるような親御さんでしたら、あなたはそもそも「申し訳ない」と思う必要すらないのかもしれませんし。
でも、どちらもこの質問の本質ではないように見えます。あなたの悩みの本質は、子どもが持てない、親に申し訳ない、というところにあるのではなく、病気であるという奥様との関係性そのものにあるのではないでしょうか。あなたは奥様を愛していらっしゃるのでしょうか。その人を愛する、ということは、何か条件をつけることではない。「こんなふうだから好き」、「こんなふうだからきらい」というものではない。
奥様が具合が悪いので、「週末が地獄に感じられる」というのは、ちょっとよく理解できません。あなたと奥様は、平日はあまり顔を合わせられなくて、週末にだけ、お二人で過ごしておられるようです。私がもし病気の奥様なら、ご主人とずっと一緒に過ごせる週末は、それだけでうれしく、「地獄」には感じないんじゃないかと思います。あなたにしても、普段一緒にいられない病気の奥様と、週末だけは一緒にいることができれば、それは、「地獄」というより、むしろ「うれしい」時間のはず。それが「地獄」なのは、おそらく、病気、とか、子どもが持てない、からではなく、あなたが奥様とおられること自体に問題があるのではないでしょうか。
あなたは奥様との関係を解消する理由を探しておられるように見えます。奥様を愛していないのなら、奥様が病気であるかどうかにかかわらず、そうおっしゃって、関係の解消に向かうしかありませんね。病気の妻を見捨てた、という周囲の批判や、あなたの罪悪感はあるかもしれませんが、少なくともあなたご自身の「地獄の週末」はなくなるでしょう。
私自身は、子どもより親より、愛し合う人との対の関係性こそが、まずは人間の幸せの基本と思っていますから、あなたがたご夫婦が、週末を地獄ではなく、一緒にいられる時間を天国と思い、今を受け止めて愛し合っていかれることをこそを、願っていますが。
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