異色の「ワイン起業家」 逆転の発想で大都会に醸造所 フジマル醸造所オーナー 藤丸智史氏
セカンドキャリアはワイナリー(醸造所)のオーナーに。ワインブームに乗り、田舎でワイン造りを夢見る中高年が増えている。だが、多額の建設費がネックとなり、道半ばで諦める人も多い。そうした中、わずかな資金で大都会の真ん中に相次いでワイナリーを建て、注目を浴びる異色の経営者がいる。
■心斎橋から徒歩10分
藤丸智史氏(40)。ワインショップやレストランを運営するパピーユ(大阪市)の社長だが、フジマル醸造所のオーナーと言った方が、ワイン業界では通りがいい。2013年、大阪を代表する繁華街、心斎橋から徒歩10分ほどの運河沿いに「島之内フジマル醸造所」を開いた。2年後、東京の下町、江東区の隅田川近くに「清澄白河フジマル醸造所」をオープン。いずれの醸造所も建物の2階がレストランになっており、ワイナリー「直送」のワインを楽しむ食事客でにぎわっている。
ワイナリーと言うと、一般には田舎のブドウ畑の一角に立つイメージ。なぜ、大都会の真ん中に建てたのか。藤丸氏に問いただすと、「ブドウ畑とワイナリーが隣接しなければならない理由はない」と明快な答えが返ってきた。
実は、日本の田舎は今、ワイナリー設立ラッシュ。国内には現在、260前後のワイナリーがあるが、その4割が00年以降の設立だ。国産ブドウから造る「日本ワイン」ブームに乗り、設立ペースはここ数年、加速している感すらある。主役は、ワインが大好きで自分のワイナリーを持ちたいという個人。脱サラ組も多い。
夢追い人の前に立ちはだかるのが、資金の壁だ。ワイン造りには、ブドウを圧搾するプレス機、発酵タンク、保存用の樽(たる)、コルクの打栓機など様々な機械が要る。それらを収納する頑丈な建屋も、もちろん必要だ。
これらをそろえるには、億単位のお金がかかる。個人には相当な負担だ。ワイナリーの誘致に力を入れる長野県の関連サイトには、「ワイナリーを設立するには、建屋や醸造機器などに数千万円~億単位の費用が必要です。自己資金だけでは難しいので、どこかから調達しなければいけません」とある。エッセイストの玉村豊男氏が03年に長野県東御市にワイナリーを建てた際には、1億6000万円の借金をしたと、筆者に語ったことがある。
この記事が気に入ったらいいね!しよう
NIKKEI STYLEの最新記事をお届けします
- 「出すぎた杭」 生意気男がアサヒ社長になったわけ
- 「和製テスラ」 助けた元ソニー会長とトヨタマン
- 宇宙のごみ掃除 「無理」と言われ、逆にやる気に
- 慶応医学部卒の内科医、米留学で起業に目覚める
- 「2度目の起業も」 79歳の元住銀副頭取、夢に挑む
出世ナビ新着記事
Daily Ranking- By 出世ナビ -
-
1
キャリアコラム
異色の「ワイン起業家」 逆転の発想で大都会に醸造所
-
2
キャリアコラム
14歳が火をつけた将棋ブーム トップ棋士はお得?
-
3
リーダーのマネジメント論
常務になったら、社長になる覚悟を アサヒ会長
-
4
臼井流最高の話し方
論理的に話す人の落とし穴 「立て板に水」なぜ不快?
-
5
最強のチームビルディング
電車内のけんか、一発で止めた達人の一言とは?
-
6
最強のチームビルディング
チームの「困ったちゃん」対処法 やるべきはこの4つ
-
7
ニューススクール
トヨタの誤算 なぜVWに首位を譲るのか
-
8
リーダーの母校
「つつましさ」は無用、自立心育んだ女子学院
-
9
孫子の「商法」
なぜ思わず笑顔? 孫正義氏の株主総会
-
10
キャリアコラム
「出すぎた杭」 生意気男がアサヒ社長になったわけ
出世ナビの最新情報をお届け
keyword
- アート&レビュー
- 家計
- くらし&ハウス
- 株式・投信
- フード・レストラン
- 外貨投資
- 旅行・レジャー
- 不動産・住宅ローン
- 健康・医療
- 保険
- 女性
- 年金・老後
- 趣味・ガジェット
- 相続・税金
- 働き方・学び方
- マネーコラム
- ライフコラム